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赤信号
ここの信号は
変わるまで長い
運転席から見やる舗道は
眩しいくらい明るい
紅葉した連なる木々が
夕日に照らされて輝く
ひらひら
赤、黄、茶の葉が
人々の上を舞う ....
モスリムは土葬だか何だか知らねえが
ここは日本だかんな
焼きに焼いて焼きまくるから
嫌なら死ぬ寸前に
祖国に帰りやがれ
ところで自称詩人は
ポエム丸出して
「私の骨は海に撒いて下さい ....
万華鏡を廻すと
次の結晶が像を結ぶように
調子っぱずれのメロディは
次の照点へと向かい始める
狂った時計が夜を告げている
午後9時の騒めきは
書くことばに不協和音を混ぜる
純粋を望む ....
硬派、なんて四角い発泡スチロールの断片のようなものだ。恋心、という風神にいとも容易く巻き上げられて、何度も同じような軌道をぐるぐると巡らされるのだから・・・。
ああ!愛しきもの
残りの人生
あと、何回この食事するだろうか?
ああ!愛しきもの
残りの人生
あと、何回この景色を見るだろうか?
ああ!愛しきもの
残りの人生
あと、何回君 ....
つまらない嘘、付き合うような
関係になりたく無いって
私言ったよね?
つまらない花束が目前
花に罪はない
あなたの罪の行方は何処
被害者面して
差し出すなら
こんな花束
今す ....
「もう、寝てしまうん?」
酔った頭の横で
やさしく囁く声がする
──その声が好きなんだな
突っ伏したまま
好い心地で聞いている
時折ぐるぐる回るので
それを止める為 ....
いまはたまたま歩いてる道が
違うだけだろ仕方ない
あんたもわたしももがいてるから
すれ違ってもわからないかな
ただもしこの先お互い生きてたら
いつか交差点で見かけたら
グータッチしよう ....
雨の声は小さくて
耳をそばだてた僕をカラスが笑った
どんな時を過ごしたの
小川に溶け
また上昇し降りる
雨の声は
雨音ではない
雨音は
ごま粒のような擦れ音
雨の死骸のすれきれる匂い ....
綿毛、その種、
ほとんど重さのない、
雪のしたの土のなかでも、春へと耐えしのぶ、
石ではない、ちいさな有機の礎、
晩秋のくもり空の下、
とてもめずらしい、
綿毛のタンポポが、白い球体のまま ....
午前2時の沈黙は
私を深海へと{ルビ誘=いざな}う
そこにあなたはいない
私はゆっくりと呼吸しながら沈澱する
ひかりも届かぬ真宙の海で
腕も脚も折り畳まれたように
小さく蹲り
このま ....
故郷に帰るも
人も町も変わり果て
あの頃の故郷は今はない
あの田んぼ
あの空き地
あの店
あのクラスメイト
あの空気
あの関係性
もはや記憶の片隅にしかない故郷
なんだかよ ....
出会ったのは公園の芝生だった
不思議な笑顔で空を指差し
無は確かにあるだろう?と話しかけてきた
晴れたある日には
降り注ぐ陽射しの中で
いつも持っているトランクの
小物類を少し広げて
....
手を見た
死体の手のようだ
死んで少し経てば
赤みもなくなり
温かみもなくなる
俺の身体
今はふと
手を見て生きている
身体とは
虚しいものだ
少し経てば
空っぽの
からからだ
観測した事象は数光年遅い
気付くにはまだ早い
歴史はページよりもずっと重い
小説の命は万里よりも長い
聖書は最も膾炙した図書である
星座の名前は取り返し難い
ついてしまった嘘は ....
最近、インディー・ジョーンズに出てくるような
デカいタマキンに追い掛けられる夢を見るので
首班指名選挙で下手打ったタマキン代表をバカにしたせいで
タマキン代表の怨念がそんな夢を見させると思って
....
私たちは
軽く口唇を合わせたまま
呼吸を繰り返し
徐々に溶け合っていった
あなたは私で
私はあなた
腕が溶け合い
胸が溶け
腰はひとつになり
脚は絡まったまま溶けた
そうやって光合 ....
握り締めた拳を
柔らかく開いて
ほら、
世界はそんなに残酷じゃない
追い詰められた果てに
切羽詰まってついた嘘を取り消して
ほら、
涙が真珠みたいにきれい
自分自身を嘲笑った傷 ....
あの頃はよかったって
昔大人が言ってた
昔はよかったって
今は俺が言っている
便利さや手軽さは手に入れた
それでどうした どうなった
飾ることも隠すことも出来なかったも ....
言葉は時計の針みたいにぐるぐる回って
心が真ん中で立ち尽くしている
箒で払った箒星
何もない暗闇で目を覚ますのを待つ
大地に落ちた雨つぶは
雨つぶ同士ひかれあいくっついて
水の筋となる
大地を這う水の筋は
水の筋同士ひかれあいくっついて
川となる
大地を流れる川は
この{ルビ地球=ほし}で
一 ....
私は
美貌に恵まれず
おんなとしては不出来だ
男に負けたくないと
一生懸命
牙を研いだ
いつの間に
おんなになってしまったのだろう
なぜ、
男ばかりを好きになるのだろう
魂に性 ....
もしピストルがあれば
薄汚いおまえの眉間に
一発撃ち込んだあと
左のこめかみに突き当てて
銃爪を引いてやる
銃声が地下鉄のホームに
響き渡ると
会社帰りの女が
狂ったように金切り声 ....
心ころころ石っころ
いしっころには心はあるか
せめても言葉を知ってくれ
淋しいかなしい聴いてくれ
心ころころい石っころ
石っころ一つポケットに入れて
せめても少 ....
枯葉鳴る頃
私はあなた方に会いに行く
今度は
“わかば”とワンカップを忘れずに
お母さんには昔のお菓子を
フラレた話とかフラレた話とかフラレた話とか
一人暮らしを始めた話とか
たくさん話 ....
黄緑色の葉を広げ照りつける日差しに
まるで大きな掌のように翳す無花果
葉脈が透けて見える
去年は実ることなく
秋にはさっぱり綺麗に葉を散らし
今年はミニチュアサイズの
赤紫色の可愛い実 ....
秋は夕暮れ
まだまだ明るいと思っていたら
もう空が赤黒くなって
夜はすぐそこ
夜を待ちきれない星が
うっすら顔を出し
月は黄色い光をたたえる
鈴虫が鳴けば
冷やりとした風が吹き ....
9月の暑さが残響していた部屋は
ようやく冷いやりとしてきた
秋の空気が気温を下げる
今年の秋刀魚は脂が乗ってた
こんがり焼いて
大根おろしを添えて食べた
栗おこわはコンビニで
松茸は流石 ....
濃紺のとおいとおい沖
そこだけ白く光る帆
透いた筏の上に
栞が挟まっている
厚い無地の記憶に
プレスされた 絵はわたし
どんなにのぞんでも
やさしい明け方の帯は
沖へと踊らされる
....
もうすぐ冬が来て
冷たい空気が肺の中に
幾つも部屋を作る
秘密を抱えたような
答えを出さないような
そんな曖昧なままの熱が
何故か心地よくて
目覚めた朝に頬擦りをした
靴下みた ....
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