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深まる闇に誰も気付かず
忍び寄る足音にも誰も耳を傾けようともしない
偽善の仮面を被った悪魔は聖職者の身形で白々しく
神の言葉を説いて回る
まるで我こそが真の聖職者なりと虚栄心を募らせながら
....
「ごめんや」
虚ろな眼差しで
そっと握る祖母の手は
ほっこりと温かくて
懐かしい香りがした
独裁者が命を絶ち狂った世界が終わりを告げて
世の中に平和が訪れると信じていたのに
違う形の独裁者が再び現れて横暴を振るう
もし本当に世界が変わるなら
意味もなく人を傷付けたり
ひとつのモ ....
冷たい肌で引き裂いた滲んだ鉄錆の味が苦く口に残った
まるで罪を罵るかのように
あゝ、どんなに振り返っても君はいない
君の醒めた横顔が瞼の裏に映る
見込み違いの幻が僕を責め立てる
どう ....
慰めさえ効かないぐらい哀しいときは泣いたらいいの
我慢するときほど悲しいことったらないわ
ただそばにいて寄り添ってくれるだけでいい
背中撫でて頭撫でて何も言わないままで
時間すら忘れてひと ....
雨露な濡れた葉を止まり木に羽を休める揚羽蝶
何を考えているのか
何をしたいのか
騒ぐ風が大きな羽をユラユラと揺らしても
不安定な足場の上でか細い脚を踏ん張らせ必死に耐えている
仲間が近くを通 ....
体を刺す鋭い痛みは皮膚のより深くへ
まるで太陽の攻撃だ
一斉に放つ光は眼の裏を焼き尽くす
滲み出る汗は止まることを知らず
次々と生まれては肌と服を濡らしてゆく
髪の毛を挟んで黒い ....
車窓から揺れる街の灯
四角い光のなかに幸せが眠る
時には笑い時にはケンカし
日常に閉じ込められたドラマ
私の知らない私の求める
ごくごく平凡であたたかな夢のカタチ
傷跡裂ける
めりめりっと
亀裂から溢れる赤い体液
静かに眺めたまま堕ちゆく雫舐め掬う
舌の感覚柔らかく
途となった跡を指で辿る
生温かな触感に怯えながら屈折しつつ伸び上がる
....
無機質な翼に覆われて
耳をつんざくような轟音に侵されて
辺野古は美しい珊瑚も海も空も奪われる
街を営む人々のコトバすらヤマトには届かず
ただアメリカの思うがままに
これで《美しい日本》だ ....
短い言葉に想いを込めよう
長々と多くを語らず
ただコンパクトに伝いたい言葉だけを語る
密着しあった言葉と言葉があなたの胸に届くまで
声なき声に耳を傾けよう
あえて大きな声は挙げず
ただ ....
微睡のなか
みた真実は果たして真実か
吹き消された橙色の尾っぽのように後は一筋の煙と化し
目の前で展開された走馬燈は煌びやかな夢
緞帳をめくり舞台裏覗けばそこはコンクリートの壁肌
冷たい灰色 ....
時の権力者はいつも横暴で気まぐれ
どんなルールも色んな言い訳をしてぐちゃぐちゃに壊してしまう
周りを自分の思い通りにさせるためにあらゆる言葉で惑わし
今あるルールがあたかも悪法であるかのように思 ....
柔らかな微かな香りが鼻を掠めたら
少しずつ少しずつ
君を過去の記憶から消していこう
共に過ごし
苦さも優しさも初めて知った想い出を
君はもう僕とは違う道を歩んでいく
新しい道を
....
白い虫が騒がしい音符となって飛び廻る
縦横無尽に休む事なく攻撃的に急降下してはぶつかるように
まるで羽音は騒音
そうただ虚しく響く中味のない夢
私は一人立ち止まり耳を塞ぐ
意味すら持たぬ ....
争いの国へビジネスのために命懸けで出かけた邦人を
すっかり頭の中から取っ払って
皆が目の前にある快楽にばかり躍起になって追いかけている
ご当地の美味しいグルメを芸能人が食してご満悦だとか
....
この胸の痛みに耐えなくては
いま
人を愛することの難しさを知ったような気がする
生まれ育った環境で嘘や裏切りに遭い
肉親ですら憎み
信じることすらできなくなった彼を
どうして助けること ....
穏やかな時間
静かに雨が降る
過去に熱線で焼かれた街が
いまは優しい顔で観光客を迎えている
あの地獄は夢だったの?
七十九年前の悪夢が私の肌を
焼き尽くしたのに
「水を・・・みず ....
煌めく夢に手をかざし
君は笑むよ、愛のため
優しい君のその夢は
きっと叶う、君のため
そう君はいま、どこにいても
苦さ厳しさ乗り越えてゆく
囁く夢は夢ならず
君は果たす、皆のため
強き ....
振り向かない君
その瞳に僕は映らず君はそのまま僕の側をすり抜けてゆく
忘れなくちゃ、君を
もう君は必要ない
そう心に言い聞かせながら
それでも僕は未だムダな期待を持ち続けている
言 ....
タオルによじ登る蟻を払いのけようとして
ナゼかふと年老いた蟻は主に
外回りの仕事ばかりさせられるという話を
思い出して思わず身震いした
体力有り余る若い蟻ならいざ知らず
年寄りを外へ追い ....
蒼い吐息が私を誘い休日という個室に閉じ込める
緩やかに動く人の波が
まるでその場で止まっているかのように錯覚させる
先ほど食べた白い柏餅から滴る甘い味噌餡が黄色い膿となり
今頃になってゆっくり ....
平らな和はいつ訪れるのだろう
でこぼこで湾曲した泥の道を軍靴が整列して歩く
そんな世が近付くのを私たちは
「恐ろしい、恐ろしい」と道端で震えて見送るのか
軍需色の空の下で
体がほんわかあったかい
体をさする風も柔らかく長く伸び生えた草を靡かせる
泥川の表面も袈裟のように皺を寄せては白く輝き
身を乗り出し目を凝らさない限りさも美しき川にみえる
小さき鳥らしき影は足 ....
明日はどうなるのか
眠れない夜
またどこかで多くの難民が安全な場所を求めて彷徨い
またどこかの国が愚かな戦の準備を始める
ナゼどうしてヒトは哀しみを停めようとしない
まるで学習を停めた機 ....
背中に残る仄かな体温
お祖母ちゃんが私たちと共にいた証
微かに唇が動き息もしているように思えて
思わず左耳を口に近付けるけれど
「もう息はしてないよ」
職員のひとことで錯覚だと気付く
....
今日が終わってしまう
楽しかった今日は終わり、明日が来てしまう
あの強烈な午後の日差しも
自転車で駆けた土手の道も
青々とした草の匂いも
自転車を漕ぐ度に噴き出す汗も
食べ物屋の店内で ....
漆黒の蛇腹をくねらせ
茶色がかった半透明の羽を羽ばたかせ
いやらしく光る複眼と長く伸びた細い触覚が襲い来る
どこにも逃げ場はない
鋭い牙で突き刺され恐ろしいほど真っ赤な口に飲み込まれるまで ....
さあ、きれいなものをみよう
ヒトを慈(いつく)しむ心
愛をはぐくむ精神(きもち)をもって
さあ、きれいなものをみよう
憎しみや悲しみから己を解き放て
さあ、きれいなものをみよう
零 ....
赤いおべべで着飾った小さな客人
憂いに満ちた瞳でじっとこちらを見つめている
白い肌にバラ色の頬
小さな愛くるしい口からは生えたての歯が覗いている
むっちりとした子どもらしい白い腕が手持ち無 ....
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