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月がゆれる
星がゆれる
短夜の
せつなくゆれる
まにまに
あらゆる意味を
ほどいてゆく
溶かしてゆく
....
晴れている
蝉も鳴かない
正午
巨きな空白 が
其処に置かれたような
静寂
その静寂には
不思議な重さがある
その無が
世界ひとつ分と
釣り合うかのような
あるいは
....
君と私の
淡いあわいに
泡のように
浮かんでは消える
気持ち を
春
小径の菫
曲がり角のスウィートピー
淡いあわいに
浮かんでは消える
泡
....
静かな朝
君はチューリップを活ける
春の心臓を器として
脈打つ器の中で
朝の光を溜めてゆくチューリップ
を見ている君
を見ている僕
衣装という過剰と
わたしという過剰が出会う
わたしの過剰は
欠落の過剰
そこに
衣装という過剰が容赦なく流れ込む
わたしの欠落も
流れ込む衣装をしたたかに咥え込む
衣装はわたし ....