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何もかもがあるべきところにない夜
君は月の鳥になって訪れる
冷たく冴えた光を浴びて
その羽の光沢はほのかな虹色

君はうたう
はるかな過去からのように
はるかな未来からのように
その調 ....
いつかこの世界が終わるなら
それは夏の終わりのようであればいい
光と熱はなおも強く地上を
支配しようとしているけれど
加速度をつけて日暮れは早まってゆく
僕らは睡くなってゆく

漂ってい ....
夏にだけあらわれる
小径の奥に
ひっそりとした場所
そこにやわらかな墓標がひとつ

あたりを囲む緑のざわめきの中に
なぜかいつも感じる
揺籃の気配
その中には多分 壊れた玩具の ....
君の耳にだけ寄せる波がある
その波に織り込まれた風を聴きながら
君は眠る
あるいは踊る

フォスフォラスが鏡に映れば
ヘスペラスになり
ヘスペラスが鏡に写れば
フォスフォラ ....
光の骨をなぞる指のことを もう思い出せない

言葉を思いかえすほどに
少しずつずれて嘘になってゆく
そのグラデーションをせめて美しく
夕映えに織り込んで
待っているうちに
身体は闇の鱗で ....
水の上に花が咲いている
花の姿が水にゆらめいている

それをながめながら
   幾重にも愛を囁きながら
   幾重にも別れにふるえているような
   このひとときに

   いちばん告 ....
チューブから絞り出されるのは 炎

いくつもの炎がのったパレットから
その人は筆に炎をとり 絵を描く
パレットはいくつもの炎をのせながら
焦げることもない
筆もまた
炎をのせられたキャン ....
そのお伽話は
あまりにも語られすぎて
すっかりすり切れてしまった
意味さえもこわれて
こぼれ落ちてしまった
君がかりそめの眠りを
くりかえしてきたその日々の間に

此処には誰も来ない
 ....
ヒロセマコトさんの塔野夏子さんおすすめリスト(8)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
月の鳥- 塔野夏子自由詩5*24-12-13
晩_夏- 塔野夏子自由詩6*24-8-19
やわらかな墓標- 塔野夏子自由詩11*24-7-21
- 塔野夏子自由詩6*24-7-15
水へ還る- 塔野夏子自由詩14*24-6-27
水_鏡- 塔野夏子自由詩9*24-6-9
炎彩画- 塔野夏子自由詩8*24-5-11
お伽話- 塔野夏子自由詩6*24-4-7

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