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果てしない闇の中
なぐさめの月を抱く
その瞳に映す僕の罪は
笑うたび優しく刺さる抜けぬ棘
欲望は満たされることはなく
偽りのぬくもりは
終わったその瞬間から
この手の中から零れ
漆 ....
足先まで
汗がにじむ
ぬるい風
重ねられたまま声をころして
白い白い窓辺から
青い夏を眺めている
(あ、あ、あ)
青空が
(あ、あ、あ)
流れていく
....
一人称にわたしを選んだときに、わたしの中で何かが定まったような気がしたことにも気づかずに生きてみました。誰もが等しくも、そんなに愛おしくもないけれど、立ち止まる分には時は同じように流れるみたいに。 ....
悲しみから抜け出せない時は
逆に明るくポップな曲を作ることにしている
あぐらをかいて床に座り
ギターを膝に抱き
最初の指は決してマイナーを押さえないよう
歌いながら
少しずつ構築さ ....
僕が見ているこの夕日
いつか
遠いAFRICAの地平線へ続いていく
境目のない空
光を残して
完全に未完成の色
太陽が宇宙に還る瞬間のオレンジ
涙がこみ上 ....
ラムネのビー玉を
半分あげるの、と鳥かごに入れて
じっと様子をうかがっている
握り締めたもうひとつには
何が映っているの
+
冷蔵庫の隅に
食べちゃだめ
と念を押されたりんご飴 ....
裏木戸を開けると
ひぐらしがないている
あの木の下
薄暗い桜の木の下で
闇間に鼻緒が見えている
そり返った白い足の指が
細い脛が折れそうにのびて
あの時もひぐらしがないていた
....
海の肉を食べたら
液体の味がした
フォークとナイフで切り分けようとしたら
テーブルが水びたしになった
海の肉を食べたら
口の中が青くなった
口中に水平線が広がり
のど奥に海底が生 ....
そこは暗い地中だ
酷薄なアスファルトの下で
だれがその闇の深さを知るだろう
行き場のない叫びが
硬くのしかかる中
陽の記憶がうごめくのだ
絶望をしりぞけ
陽の記憶のままに
永遠 ....
公園で蝉の骸を踏む乾いた音に
夏の日差しが醒めていきます
夏は生まれゆく季節ではなくて
燃え尽きていく黄昏だから
皮膚の下を流れるもののような色で
手の届かない場所へ
沈んでいくのです ....
夜の端から
空を見上げる
「月はどこだ」
そこにあるはずの光
耳を劈くほどの静寂
震えない鼓膜
僕という、不確かで嘘つきな存在は
また誰かの言葉を借りて
....
「頑張って!」
と思わず口に出してしまう
それは頑張っている他者への共感であり
ふりかかる火の粉を払おうとする
ある種の逃げ口上とも言い得て
決して自分の事ではないのだから
「それじゃ ....
080816
アウストラロピテクスが
ぽかんと空を見ていたら
ハイエナに飛びかかられて
喉頸を引き裂かれ
哀れ絶滅したという
見てきたような嘘を書 ....
曖昧と
矛盾が口に残って
痺れてる
それが嫌で
自由のガムをポッケから
ゴソゴソ取り出し
口に放り込む
神様は生きるって
紙芝居をやっている
....
080815
着地点が近すぎる
踏切の足がとまどう
利き足が不満を述べると
利き手がなだめ役に回る
踏み切り板がサボタージュする
砂場の砂は少しだ ....
さようなら、
がこぼれたときに
ついた足跡が泣いている様で
ダンボールから、のぞく
空の目は
ただ無色の息を吐いていた
寄ってらっしゃい
見てらっしゃい
時間に置い ....
これからぼくは
いくつのことばを殺すだろう
それを
知らずに生きぬいて
いつか必ず殺されるだろう
ことばへ死にゆく
ぼくなのだから
これからぼくは
いくつの ....
食事を始めた
一口目に
山盛りポテトフライの皿の
隅っこにのせられた
パセリを食べる
噛み切れない小さい葉達が、苦かった。
今日も世界の
あちらこちらの食卓で ....
「オクターブ」という
ぼくの素敵な詩友の本
表紙を照らす
オレンジの陽だまりが
不思議な熱で
夏風邪に冷えたぼくを
温める
頁を開くと、追悼詩。
若 ....
コンクリートの隙間へ
手をひたすとき、
かなしい人魚の
ほほえみが
過ぎる
その、
行方を追いかけやめた目の
放ってみせる空には
青のにじみが
よく似合う
....
音の陰の音たち
ゆうるりと振り向く
何もない場所に
署名はかがやく
落ちそうな首を片手で支え
どうにか眠り
どうにか覚める
音を見るたび さらに傾く
....
人間すなおじゃないとね
と
あのひとは言った
あなただって…
と
言い返そうとして
こ
としはまだ蝉の鳴き声を聞いていないことに気付いた
あのガード下へ行けば
聞く
....
探してる探してる
特に見当たらない気持ち
自前の希望は役立たず
持ち前の優しさも五里霧中
はがゆさの塊は投げるたび
弧を描いて僕に向かって
探してる探してる
特に気に入らない気持 ....
陽のあたらない
暗い道を
ポツン ポツンと
とぼとぼと
ただ一人で
歩いて行った ――。
やがて むこうから 青い快晴のもとに
真っ黄色の向 ....
粒を
クリックすると、水滴
水滴を
クリックすると、水溜り
水溜りを
クリックすると、海
海を
クリックすると、海にいた魚
魚を
クリックすると、鱗
鱗を
....
なにひとつ 同じでいることのできない私が
潮に洗われている
洗われているのは 海なのか 私なのか
あなたの口ったら おさかなみたいに うごいて
「ほら みてごらん海蛍だよ」と、教えてくれ ....
思考ははねる
途切れそして、繰り返す
そして思考は夏の日差しの中で
ぽわん、と浮遊した
クラゲみたいです。
水族館の中で
日の光を浴びながらゆらゆらと。
夏の街角で出会 ....
雨が降りやまない
世界ってそんなもん
光はたまに射すから美しい
価値に追いかけられて
青い蜘蛛の巣に絡まって
何かの拍子に思い出すこと
忘れた、もうずっと前に
....
「カワイイネ」
今日も買い手は5枚の諭吉(かみきれ)で
私から春を奪う
幾重にも重なった諭吉に
「苦シイ」と書いては投げつけた
帰る家なんてない
ラララ、ラララララ ....
I君は言った
貴方の右目は本当だが
左の目は嘘をついている
I君 君は正しい
私が語ったことは
心底そう思っていることで
私が喋ったことは
受け売りだった
....
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