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芝居観て朝顔市や万太郎
この風とバルコニーはいま猫のもの
父さんの歯のない笑い百日紅
キッチンの椅子は三脚センダック
六歳の背丈の君の夕焼雲
あるがままを享ける明日は花まつり
アイネ・クライネ・ナハトムジーク弥生尽
音の鳴る部屋で春猫着席す
誰も知らない部屋からの春の歌
パルティータに託す春一つ屋根の下
私は何も聞かないでしょう時鳥
君と在る風景や花知らずとも
ふたり連れ来たり桜に魅せられて
さくら咲き子に送る荷を詰めにけり
わたくしのいのちはたかだかすみれぐさ
行き止まり春の小川の瀬音かな
鶯の鳴き音くっきり藪の中
ごきぶりにうんざりされてなつめ球
カツを喰ふ独りの席や春の雨
未だ固き桜のつぼみ雨しとど
母の愛ねがい叶うや卒業式
種蒔いて育つうれしい今年春
さくら咲く開花宣言十五日
夕市の瓶きらきらと冬の詩
生きるため生まれてきたね春の猫
紫陽花や水飲み干して承諾し
アザラシや昆布が絡む傷のあと
よく目が覚めて涼しい朝で
昨夜の唐揚げがラップして置かれている卓上
食パンにチーズふる、ぶきような手
刻々と時間経つ 置いてきぼりか
曇天の、重い頭を支える
水気を含 ....
春星と過ぐる東京の君の夜
春霖や心の森の診療所
はるかぜのなかぼくたちのへやひとつ
ふりかえりふりかえりする炬燵
甘いものを摂ってためいき一つ
もう疲れちゃったなぁお金がないなぁ
遊ぶ 妻と遊び夜と遊び
野菜炒め食べて野菜炒めになってゆく
春愁やかつての君のマグカップ
母を恋う踏み絵のように春の泥
囀の麻のカーテンからひかり
忘れたこと思い出そうとするペン握る
朝は足の冷たかったこと 妻の
毎朝トーストの食事は祈りめく
くすり 鍵 財布 スマフォ そして私を持ってゆく
午前はマシン作業することの遊戯 ....
お金という存在を忘れひとひ過ごしたい
寒さ 急いで煙草喫っていた
きぶん悪くなることの陽の援護を待つ
アラームが鳴りつづく 消されて妻は起きない
大丈夫 食パンはある
....
まざまざとした、さまざまな夢たち
九時間眠りすっきりとして朝を迎えた
脳の疲れうすれ今朝はペンを握る
まだ暗いうちよりパンを喰らう
冬も麦茶の正座しつつ飲む
五錠 ....
冬菫インクとなって夕空へ
冬すみれ行き着く先は夕日かな
夕市の瓶きらきらと冬の詩
キッチンに一人っきりの秋思かな
祖母の手がせっせせっせと栗磨く
宵の秋コーヒー淹れて猫の横
まず今日の今を生きたし十三夜
温(あたた)め酒となりの部屋も灯りおり ....
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