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砂塵がもうもうと上がる
町ひとつが燃え上がるようだ
夕景
しばらくして車がガタガタと揺れる
土の渦がフロントガラスの向こうを通り過ぎる
渦、渦。
もうもうと
風が通り過ぎる
春になると
あたたかい
おひさまが日差しを背負わせてくれる
味わいたいのはあたたかなスープで
抱きしめたいのは大切な体温
あたたかな一日である
ここのウリはこってりカレー
ぽってりしていて具はないの
っていうかみんなとけてる
沸かさないように
焦がさないように
朝からずっと煮て
ほぐして
漉して
....
饒舌な彼女の言葉をメモに起こしてみる
初めはほらこんな具合
きれいだ
でもだんだんと文字が乱れて
筆記体
草書体
ついには単語と矢印のチャートになって
絵記号 ....
一富士二鷹三茄子
一富士二鷹三茄子
親の意見と茄子の花は
千に一つの仇もない
春新月
花爛漫と
曇天の夜
中華街で食う
春節の肉団子は旨い
肉をこねて
揚げて
煮込んで
茶色の大きなかたまりに
春の息吹が押し込まれてる
たっぷりとした汁の中で
白菜やら
....
春が来るらしい
誰かが
わたしの肩を
抱きしめているような温みがあり
天と大地の鼓動が聞こえる
家に帰ったら
つぼみが
いくつか咲いていた
とてもさみしい
冬の道に蛾が落ちてきた
大きな桑子だ
冬をやり過ごし
羽を朽ちさせた太い蛾は
冷たいアスファルトに震えていた
二月
妙に暖かい日に
それでも凍てた道路に腹と羽を震わせた蛾の
末路は知ら ....
遠くから
常に
私の後ろを雷鳴がついてくる
ただ稲光りは私の身に起きているのであった