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美しいと感じる心が砕け始めたとき
月は輝いていた
どこか遠くから
かなり遠くから
何者かの雄叫びが轟いた
身構え
四つん這いになって
後ずさりをしてみたけれど
目の当たりにする ....
燃ゆる炎を宿したこの翼を
閉じる術を知る由もなく
それでも過ぎてゆく{ルビ時間=とき}の中で
愛しさや甘美なそれを知りたいと
束の間過ぎったその想いこそが
そもそもの過ちの始まりであった
燻んだ空が
呼びかけてくるようで
俯いたまま走り出した
このままどこへ行くんだろうか
自分に問いかけながら
スピードスケート選手のように
腕を左右に振りながら
走り続けていた
....
湿った肌が疼くのは
長く続いた雨が束の間
止んだからかもしれない
深く重く連なる雲の向こう側に
隠れているであろう太陽など
垣間見たいとは思いもしない
仰向けになって
腕で額と目 ....
雨が嫌いなくせに
今日だけは雨が降る予感に
嫌悪感が伴わない
子供の頃から認識している
七夕には雨が降ると
いつもそうだった
織姫様と彦星様が年にたった一度
会える日だから
今 ....