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百円のライターで火をつけて
燃やしたいものは何だったかな
役に立たない教科書の隙間に
少年は卑猥な落書きをした
悲しい眼をして大人を憎み
支えきれない自分の
捻れた感情
百円 ....
たとえ巨万の富を積み上げても
不老と不死を買い上げる
事はできない
スーパーマンでも
スパイダーマンでも
ウルトラマンも
仮面ライダーも
勿論、金八先生も
そこに容赦なく老と死の明 ....
川は切り立った山肌に沿って流れていた。
夏になると近隣の子供らが集まって水遊びした。炎天の空の下。子供らの歓声が山あいにこだまする。
山肌から突き出た岩の周りはかなり深くて、自然とその辺りが子 ....
寝台の上で瀬死に横たわっていた
虫のように息をしている
何人も神にも仏にもなれない
死人にしかなれない
死人にしかなれない
死人以外になれない
冬の夜は寒くて
冬の明かりは冷 ....
詩は朝食前に書いている
夜が明けない前に起き出して
詩は出勤前に書き上げる
汚れた水を絞り出すみたいに
私が私であるためには
どうしても詩が必要だ
理由はわからない
たとえ解 ....
目を離した隙に
幼い子供は大人になってしまい
取り返しのつかない歳月は
アルバムの中に閉じられた
明日へとかかる橋の欄干に寄りかかって
遠くに見える昨日の夕陽は
泪に霞んでしまう
....
地球儀を回して世界一周し少年はもう老いてしまった
そっと咲く花より花壇のなかに咲き競いあいたい女でいたい
人混みの人の匂いを避けたくて空いた電車を待ち続けてる
肌に薔薇彫っているのに ....
化粧をしない女と
化粧をする女
口紅を塗らない女の唇は渇くばかりで
あったかもしれない
口紅を塗る女の唇は艶やかに濡れていたに違いない
朝
彼が目を覚ましたのは誰かの足音が耳障りだ ....
人間
生きている間は生身
時には本能に逆らえなくなって
欲望に従順になるさ
男と女
女と男
たとえ愛し合ってなくても
一つ屋根の下に暮らしてしまう事はあるだろうよ
一つ屋根の下 ....
空から水滴が無数に堕ちてくる
違うか
落ちてくる
あれは地球の涙だなんて
普通に生活してたら思わないだろう
だけど
毎朝
毎日
毎夜
蟻みたいにに詩が湧いてくるから
雨 ....
天国へは
個々に専用のエレベーターでいく
押せるボタンは最上階のみ
そして
最上階が何階かは昇る人しだい
地獄へはエスカレータでいく
階段の上は人人人
死人で溢れ足の踏み場もない
....
むかし
私は反戦の詩ばかりを書いてました
他人の真似をして
だけど浅い心の底では
平和は水や空気と一緒でした
むかし
反戦詩人だった私も
今は救いようもなく歳を重ねてしまい
ただの ....
遺体と死体
なんで分けるの
死体は無言劇
遺体は饒舌だとでも言うの
遺体と死体
なんで目を背けるの
遺体と死体
どっちもどっち
遺体と死体
どっち ....
敵の飛行機が一機だけ群れからはぐれてしまった
首都を爆撃するために幾千の機体が飛来した夜に
無差別に投下された焼夷弾は
街を容赦なく火の海にした
それは
幾千の渡り鳥が
幾千の糞を ....
もしかしたら
ヒトの成分は
血と涙と汗だけで
てきているのかもわからない
喉が異常に渇く
「オーイお茶を」と妻に声をかけた
反応がない 無理もなかった 彼女の両の耳はイヤホーンで塞がれ ....
一人の女の人のお腹の中に10ヶ月と余りを滞在した
そこから出るまでの間に
私は
何度蹴っただろう
彼女のお腹を
胎児の足で
宿借りの分際で
でも
私が蹴る度に
彼女は自分のお ....
その頃
私は手紙に執着していた
記憶の引き出しにしまってある
その頃という一定の期間には
時間の埃がそれなりに積もっていた
ある日
何となく引き出しの奥から探し出して
太陽の光に ....
使えない男だ
どこへいっても何をしても
結果、使えない男だろう
極めて上から見下されたその言葉に
職業人としてのプライドはズタズタ
男としての立ち位置はグラグラにされた
「おい、も ....
お袋が危篤
数年に及ぶ認知症の果てに
俺を産んだ女
俺を育てたかも知れない女
ほんとうはほとんどほったらかしだった
親父の母親に任せっきりで
自分は金を稼ぐのに一生懸命だった
....
感極まって泪が溢れたり
感極まって射精する
普通だな
自然なふるまいだな
法に触れる事は何もない
したくても
できない
そんな事したら世間からつまはじきにされて
世間から著 ....
腐ってた腐りきってた世の中の泥にまみれて息を吸いはく
見ないふり聞かないふりで黙ってた一等可愛い自分の為に
ジャンケンをしなくなったな忘れたな縄跳びの縄首にまきつき
張りつめた気を緩 ....
そう言えば、俺は嫁さんにプロポーズなんてした記憶がない
気がついたら籍を入れて夫婦になっていた
気がついたら長女が産まれ
気がついたら次女が産まれていた
気がついたら、アパートから建て ....
愛なんて言葉にしたら軽くなる声にしないとただ重くなり
この世界あの世界へと掛かる橋その欄干に一人佇み
立っている人間だからその分の病の種が蒔かれているよ
結婚は契約だから印押した愛は ....
事故の多発する交差点では幽霊の類いがよく浮游している
突然の事故に、命を落とした奴等ははいつまでも死人を受け入れないんだろう
どうにもならないのにさ
この世の中から離れられずにいるんだろ ....
他人の人生
他人の人生
他人事
痛くもなければ痒くもないよ
本音を言えばどうでも構わない
問題は
俺の人生
俺の人生
俺の事
滅法痛いし痒くてたまらない
弱音を吐きたい
自分 ....
覚悟は何もできていない。
いっぼ一歩忍び寄って来ているに違いないが
覚悟は何もできていないんだ。
如何に老いても生への執着は剥がれて落ちないし
性への執着もまだ並大抵ではないのに
更年期 ....
私は詩人でもその類いでも有りません
ただ単純に自分は此処に存在しているんだと
生きているんだと
言葉を文字に文章にして
他者に知らしめたい欲望を充たしたいだけです。
それは込み上げて来て ....
落ちて来る、落ちて来る。訳も解らず否応なしに落ちて来る。真っ逆さまに落ちて来る。
地面に激突するまで落ちてきたから、その損傷の度合いは酷かった。
それが悪い夢なんだと気づいたのは眠りから覚めた ....
台風が近づいている
のに
今日は昨日と変わらず晴天で猛暑だとテレビで予報を伝えていた
何だよそれ
連日太陽に焼き殺されかねない暑さ、というより熱さにすっかり参っているのに明日は台風が上陸か ....
ヒトも猫も杓子もこの暑さに参っている
異常な暑さが連日続いていた
暑いと言うより正に熱いのだ
太陽は殺人兵器と化して
街も村も焼き焦がし
地上の生き物たちは灰になる
これから先の近 ....
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