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鳥かごを作った
鳥は空にいるので
それで良かった
代わりに魚を入れると
苦しそうに跳ねた
花や玩具を入れても
どうということはなかった
鳥かごは
誰のものでもなかった
鳥は空にいた
 ....
僕は男だから
産む痛みを知らない
同じくらいに
産まない痛みを知らない
痛みなんて知らない
ここは戦地ではないから
僕はあなたではないから

幸せになる方法を知らない
幸せにする ....
小高い丘に店を開いた
お客が来た
出入り口なので
お客は出ても入っても良かった
晴れた日は
見渡せることろまで見渡せた
雨の日は
屋根や壁に雨があたった
ただここにいて
何かを待って ....
冬が終わりそうなので
ひだりの方を向いたら
そこにはひだみがいた

ひだみと名づけられたひだみは
自分が何であるのかわからないので
大そう困っている

僕もひだみと言ったものの
ひだ ....
上司のお母さんが亡くなったので
お通夜に行くことになった
周りの人の香典をいくつか預かり
初めての列車に乗った

これから何度乗る機会があるのだろう
列車は住宅街を抜けるように走った
民 ....
咳をしたらたまたま側にいた
隣の課のえむさんが
フルーツのど飴をくれた
えむさんがフルーツのど飴を好きだなんて
初めて知った

えむさんは僕より十歳くらい下の女の子だけど
背は僕より十セ ....
背中国の背中法廷では
今日も背中裁判が開かれている
背中!
裁判長の素晴らしい判決に
原告も被告も
手をとり歓喜の涙に
背中を震わせている
背中国の人々の背中に当たる日の光は
 ....
野原の真ん中に
ぽうっと突っ立ていたら
ノックの音がした
誰からも忘れ去られたドアが
今日も何処かにある
もうそろそろ
出たほうが良いのかもしれない
ノートの隅に書いた
遺書のこと ....
ちりとりの群れが
空を飛んで行く
南の方へと
渡る季節なのだ
僕らはその姿を見送り続けた
トリはトリでも飛べないトリは?
隣で君がつぶやく
答えなんて
いつか見つかる
頁をめくる指に
降る水がある
温度とそうでないものとが混在し
それは仄かな懐かしさで
やがて積もっていく
一月の末日
漢方の匂いが漂う診療所の待合室
あなたはまだ誰にも知られていない
 ....
エレベーターに乗ろうとして
エベレストに乗ってしまった
家のローンもあと二十年くらい残ってるのに
まさか自社ビルで遭難するなんて
眠ったまま電車を乗り過ごすこと数回
失恋十数回
上司に怒鳴 ....
今日は朝から
角を曲がる犬にたくさん会った
いま目の前を歩いているこの犬も
やがては角を曲がるのだ
君にその話をすると
頷きながら聞いてくれたけれど
僕がどれくらいの角を曲がってきたのかは ....
脊椎動物として生きる
その悲しみ

そして
珍しく雪が降った
朝の喜び

もし君が生まれてきたら
おもいっきり抱きしめて

そんなことのいくつかを
教えてあげたい
割れた小窓の向こうに
子供の靴が転がってる
幸せはいつも
シャボンが泡立ったときの
匂いに似て苦しい
どうしてわたしは
名前を書いておかなかったのだろう
指を動かして
桟に父の旧姓 ....
檻の中には
消しゴムがひとつあった
動かなかった
夜行性
と書かれていた
夜まで待ちたい
君は言ったけれど
その前に
閉園時間になってしまった
帰り道、赤信号で止まった
右左よ ....
改札口の向こうで
ピアノに蟻が集っている
きっと甘いんだろう

ハモニカを忘れてきた駅員が
時刻表に小さな落書をする
間もなく秋が来るのに
量が足りてないのだ

まだ君と僕とが出 ....
もう間もなく第二回批評祭が終わる。
読み手として参加している人、
書き手として参加している人、
皆様、お疲れ様でした。
以前、詩の合評会でお疲れ様でした、
と挨拶したところ、
別に ....
信号機が故障したので
シマウマがやってきて
代わりの信号になった
白と黒しかない縞模様で
シマウマは精一杯頑張った
多少の混乱はあったものの
車も歩行者もそれに従った
強いものは ....
haruさん「約束」

http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=98460

たった三行のショート・ポエムなのに、読んだ瞬間から心を捉えて離さない。
 ....
友人からの年賀状には離婚したことが添えられていた
数年前、結婚の挨拶に来た二人
こんな美人お前にはもったいねえな、なんて
憎まれ口にもニコニコしていた二人

昨年もいろいろな人がこの世を ....
アスファルトの道路になりたい
たくさんの人の足や手に踏まれ
動物の糞尿に汚され
言葉を読むことも書くこともせず
さよならも言わない
それで何が許されるわけでもないけれど
なだらかにカーブし ....
帽子を覗くと
中には都会があった
かぶることも出来ないので
しばらく眺めることにした
頬杖なんてしたのは
いつ以来のことだろう
自分にも重さがあったのだと少し驚く
風変わりな光景があるわ ....
だるまさんがころんだので
うしろを振り返ると
大切な人たちはもういない

草原のように広いものがただ延々と続き
中くらいの動物が
美味しくなさそうに草を食んでる

わたしは組成 ....
僕らの虹が逝った
二人で棺に入れると
弓型に過不足なく納まった
最後まで色たちは
混じることも濁ることもなかった
一緒に入れた物がはみ出ていたので
係の人が少し押し込み
蓋は閉め ....
休耕田に群生する
セイタカアワダチソウをかきわけるように
一両の気動車が港の方へと走っていく

スズメガの幼虫にかじられた痕のある
サトイモの大きな葉が
その風に揺れている

排水 ....
人形の人の死体が
石積みの河原に落ちていた
右ひじから先が無く
首も変な角度で曲がり
埃と泥にまみれていた
見たことのある人の死体は
どれもきれいに整っていたので
とても汚らしく ....
夢を見て泣いていた
スリッパが重たくて
空を飛べない夢だった
食後、健康に良いからと
母親がみかんを一つ勧めてくれた
外に出ると
街にサーカスが来る日だったので
誰も淋しくなどなかった
 ....
夏のショッピングモールは
何かの記念日のように
沢山の人で溢れかえっていた
前を歩く老人のTシャツに
ウィンクをした大きな
マンガの猫が描かれていた
猫が好きな人ならいいのに
そ ....
月曜日は新聞当番なので
いつもより一時間早く出勤する
業界紙も含めた各紙を切り抜き
部長室分もあわせて十三部コピーする
厳密に言えば著作権違反という議論も
今ではどこかに行ってしまった
そ ....
洗濯物を取り込む音が
二階のベランダから聞こえてくる
言い争うことも無く
君はもう産まない
とつぶやいた

僕らは同じ悲しみを
分かち合って生きる
多分同じくらいの
分かち合えな ....
たりぽん(大理 奔)さんのたもつさんおすすめリスト(181)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
鳥は空にいた- たもつ自由詩907-3-1
花束- たもつ自由詩3507-2-28
開店- たもつ自由詩2107-2-25
ひだみ- たもつ自由詩1007-2-24
迷信- たもつ自由詩907-2-21
えむさんの草原- たもつ自由詩3707-2-17
- たもつ自由詩607-2-16
ノック- たもつ自由詩907-2-14
渡り- たもつ自由詩1307-2-10
指、記憶、形- たもつ自由詩1307-2-1
遭難- たもつ自由詩1707-1-30
制度(角を曲がる)- たもつ自由詩1607-1-25
制度(悲しみと喜び)- たもつ自由詩1107-1-23
窓からみる- たもつ自由詩14*07-1-20
制度(動物園の帰り)- たもつ自由詩1607-1-18
制度(駅の周辺)- たもつ自由詩1707-1-13
■批評祭参加作品■第二回批評祭- たもつ散文(批評 ...507-1-8
優しい日- たもつ自由詩18*07-1-5
■批評祭参加作品■「約束」haru- たもつ散文(批評 ...1007-1-4
新年- たもつ自由詩29*07-1-2
アスファルト- たもつ自由詩507-1-1
都会- たもつ自由詩2206-12-29
- たもつ自由詩12*06-12-25
- たもつ自由詩2206-12-22
帰宅- たもつ自由詩17*06-12-21
降り注いだ- たもつ自由詩13*06-12-16
みかん- たもつ自由詩1506-12-14
好きな動物- たもつ自由詩906-12-5
公務員なんかにならないでよ- たもつ自由詩14*06-12-4
空にあってよかった- たもつ自由詩2106-12-2

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