すべてのおすすめ
見つかって、見つからないよと君が言う。まるで透明人間みたいに。
目に見えない電車に昨日乗りました。ゆられていく先すら分からずに。
打消し線の線を取り上げ弦にする。ラ音の調べ、この世のものか ....
「キミ」といったボクの心を、
あの青い空は吸い上げていた。
マンションの中に入ってきてまで、死ぬ、
蝉。
彼らは種を残し得たのだろうか。
茫洋とした想像がとめどなく続く。
「ア ....
こかげ、こかげ、
あのゆらゆらと、
くろい、
いいえ、
きっと、ダークブラウンやモスグリーンの。
前線と前線が衝突する、
だから、
あたまが重いよ。
どこへもいくことができないと、 ....
(透明ではない)
(灰色の一匹の魚)
透明ではない、薄く曇った一つのガラス球のなかに、
一匹の魚が泳いでいる。それは灰色。
「もう泳ぐのに疲れてしまった」と、魚は言う。
わたした ....
晴れた空の中に、{ルビ時間=そんなものはどこにもない}を探している。
このお店は改装中です。
ですから、お立ち入りにならないでください。
改装が終わったら、
あなたも入ってみると良いですよ。
わたしは言葉を商っています。
わたしは「無限」という言葉の意味を ....
((蒼穹を飛んでみせてよ))
((そんなのいやだ))
((どうして?))
((だって、「蒼穹」なんていう言葉は古すぎるもん))
((じゃあ、「青い空」 ....
さみしい夜にはいつも君がいてくれた。
寒い冬でも君がいっしょなら大丈夫だった。
さして面白くもないことにも君は笑って、
さもありなんと僕はおもったりした。
さあ何をしようかと、いっしょ ....
恐竜の骨のようなもの、を、みたいな、
探していたんだと、
思う。
でも、そんなものは、
ど ....
戸外にいる気分を味わいたくって、
セブンイレブンから缶コーヒーを買ってきた。
ああ、街中には僕たちが一息つけるところなんでもうわずかしかない。
(そうでない人たちもいるのだろう)
君は君自 ....
くるくると空が流転する。
葉がさざめく。
海の底を人魚が泳いでいく。
悲しみは積り、積り、
切なさで、
わたしはそれを胡麻化している。
あなたたちも同じでしょう?
細やかなことが ....
現代ならば夜行列車ではなく、
夜行バスに乗っていく。
でも誰も、
銀河バスなんていう奇妙なものは思いつかない。
(あ、毛糸で編むのを忘れた)
(あれはあなたのための毛糸だったのに)
車窓に ....
つめたい雨が降っていてね、
つめたい過去がつめたい手ざわりで、
ふれてくる。
つめたい雨が、冬の雨が、
降っていてね、
この心を濡らせばいいと。
あなたのその頬に滴らせて、
....
青い色の湖のなかであなたはたゆたっている。
青い色の水があなたの塵と埃とを洗い流す。
(わたしのことは忘れてしまったのでしょうか?)
遠い空には、シリウス、ベテルギウス、プロキオン。
この ....
空疎な空をかかえながら、
掌のなかに空色を握っている。
機械仕掛けの古城に、
冬の点し灯が灯るのはいつのこと?
荒野に風は吹き曝しになって、
人々にマントを被らせる。
皆希望や ....
七色をしたイルカが、
妥協を許さないスピードで海の中を進んでいく。
ああ、わたしたちは誰の子供たち?
皆、神の子供ではないのだと、
そのことを知っている。
皆、神の子供ではないの ....
一つの手がわたしたちに所属する。
ありふれた闇のなかで。
わたしたちはレベリオンを目指して、
レボリューションを目指さない。
哲学者や詩人のようには、
決して語り得ないわたしたちの抵 ....
ああ、それは、崩れた空の。
誰にも聞こえない、 響き。
どこにも届かない、 谺。
空に、 焼かれた者の。
空に。焦がれた 物の。
崩れた、
ジェンガの
様なも ....
落ちていった……ビルの底に。光は星から降り注ぐ、気泡のように溶けていく月を後に残して。……星から光は降り注ぐ、見上げる目に刺さる、一つの痛みとして。落ちていったのは、ビルの底に、人の形としてある影と ....
赤の女王? 誰も走り続けなどしない世界の中で、女王一人が走り続ける。孤独の赤の女王。吹き抜ける風も、時代の息吹も、走り続ける彼女に目もくれず、静寂と暗黙のうちに、東から西へと渡る日の元に、過ぎていく ....
I
そよかぜがふく
冬のちいさなすきま
まわりでは雨がふっている
かさをわすれたわという
II
4色のセレナード
1つめはレモンいろの雲
2 ....
青菜摘みの乙女の墓は、ただの土くれの土饅頭で、その骨さえも焼かれなかったかもしれない。青菜摘みの乙女の墓は、ただの透明な空隙で、訪れる者さえもやがていなくなった。青菜摘みの乙女は、霊に囚われたまま死 ....
透き通った世界の境界には、透明な獣がいて、澄んだ夜を吠えている。明け方の明星を夢みて、夜明けの明けない空に遠吠えをする。透明な獣が夜空を嘆く時、そこには無限の連なりと重なりがあって、透明な獣を優しく ....
落ち葉を探して、歩いて行こう。落ち葉は桜が良い。桜の落ち葉は、花よりも美しい。落ち葉を探して歩いて行きましょう。希望は常に彼方にある。遠くにある虹が大きく、近くにある虹は小さいように、希望はいつでも ....
君の目のなかにある夢の滴を、
君と言う。
ただ君のなかにある夢だけを、
わたしは追いかけて。
それを光とは呼ばない、
あまりにも遠いのだから。
君はいずれ、
わたしを去るのだ ....
しろい砂浜の、
土のしたによこたわって、
あら、私はいつから死んでいたのでしょう……?
波の音がちかくに聴こえる。
都市のすきまかぜ
吹きこんだはざまから
顔をだすのは、
あなたと小鳥。
星になれるのなら、死んで
星になってしまおうと、ささやくのは
誰? 私という、古びた、下葉の上へ
雨粒がきれいに虹になって降りる。
崩れていた古城の壁、
流れていた、{ルビ街中=まちなか}の ....
花園は雨に憂えている。その{ルビ間=なか}を、
ミツバチが叫びつつ、跳ねめぐっている。
幾百もの花が、その実をちらしている。
地は、しゃがれ声とともに水をながす。
湖は{ルビ水煙=けむ ....
そのおおきな階段をのぼりながら、かたわらをとおりすぎるとき、そこにすわっていたのは誰だったの? 小鳩のむれが波をうって空を灰いろに染める。── 印象派の画家たちなら、空をにじいろに描いたかもしれない ....
1 2