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表通りの あわただしい正午に
ようやく腰をおろすと
さっきまで 見知らぬ背中が座っていたはずの
この 革張りのカウンターチェアが
ぽっかり冷たい
ーー記憶を失くした 若いピアニストのよう ....
目が光を生み、
鼻が香を生み、
耳が音を生んだ
葉が風を生み、
幹が水を生み、
根が土を生んだように
次に命は、何をこの世に生む
(わからないのだ、
目を持たない三葉虫が ....
いつかわたしが生まれ帰ってきたとき
もういちどこの詩をみつけたい
なまえも知らないひとの詩として
ささやかだけど悩みや哀しみ 楽しみなんかを書きとめて
人肌のあやうさを伝えたい
....
ゴリゴリゴリって描くんだよ
なるべく新鮮な方がいい
血の滲むくらいがいい
ラバーの指サックはめて
己の魂を伝えろ
ゴリゴリゴリって
頬をきざめ
額を
鼻のハイライトを
....
気疲れに夕焼けて
それが自分だと思い込んでる
椿事をどうにか撮ろうとするけど
カメラ買うために流した汗は忘れて
襟足揃えればリズムが出るけど
肌は剃刀で炎症をおこして
辞書の中 ....
それはおそらく血の記憶だろう
未生以前に何度もみた風景
空を見ていると思い出す
場所も時代も飛びこえて
同じ空の下に佇むただの目
この幸福感はなんだ
覚えのない郷愁は
私に遠 ....