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風を横切り
聞こえる唄
暑くも 寒くも
ひとつの唄
やがて雨になる眠り
薄く重く揺れる原
灯る花は揺れることなく
ただ上方を照らしている
空の力や理が
....
あれから 何年になるだろう
きみのくるはずのない
湖の近くの
想い出のカフェのドアをあける
きみがお気に入りだったのは
さざ波や船をみわたせる水辺の
海辺のカフェテラスとこの ....
茶色い瞳のその奥に青い瞳が眠っている。
揺り籠から墓場まで、漂い人は驢馬に跨り町を出て、
二度と同じ場所に帰る事は無い。
天上へと続く道も途中で途切れている。
ならば進もう、 ....
フナムシを怖がる
都会の子供たち
岩棚から
クリフダイブして遊ぶ
地元の子供たち
彼らはそれぞれ
何度目の
夏を過ごしているんだろう
夏は永遠に巡ってくるけど
命に永 ....
ちぎって、ちぎって
ゆびさきがあかく腫れるまで
すてた葉っぱから
青くなみなみと
流れ出でた血
海のように辛(から)くて
うまれた魚は悪夢のようにおいしい。
わたしたちは悪魔 ....
みつばちのささやかな羽音に
ひかりが絡まる
かけてはうだる夏のあかるみに
みせびらかした琥珀色
やわらかな土を踏みならし
踊ったあしもとに
すこやかな針をさしとおしては
はれあが ....
昨日の大空にあった太陽の光には苦痛があった
今日の曇り空の太陽の影には物語がある
泣きながら飛ぶ鳥達が姿を消していく
街は何時も通り、目を覚まし
街は何時も通り、闇に狂うのだろう
瞬間は ....
花びらを握りしめた
手のひらをそっとほどく
花びらは蝶になり
夜明け前の赤い空へむかって
円を描きながら飛んでいく
*
指先から聴こえる
川の鼓動をたよりに
目を覚ました足で
鼓 ....
風が吹いてくる
夢をさらって 追いまどい
所かまわず星を散らす
遠くから歩いてきた
揺れる陰に怯え
さまよい歩く道の果て
落ちてきたリンゴを磨き上げ
かぶりついた
罪の味 ....
今日も雨だね、
そうだね、と返す
季節外れの雨好きよ、
君も物好きだね、
無名のコーヒー飲みながら
僕らの会話は続いていた
湿気と雨が纏わり付いて
苦手だった ....
天空には いろいろな道があるという
虹がとおる道や 光がすすむ道は
人にはみえなくても
確実にそれは 存在している
幾千年の時をかけ
地球にとどく星たちの輝きは
こ ....
握りしめた手のひらがほどけるときがいつかやってきたら
私は何か大きな憎しみに似た罪を赦せるのだろうかそれと
もまた別の何かを求めて自己を握りしめる旅をはじめるの
だろうか。いつかは私一人にな ....
雨色の絵具
乾かない涙と癒されない傷のために
散り果てた夏の野の花を
鎮魂に疲れ果てた大地へ捧げる
生者の燃え盛る煉獄へ
死者を捉えて離さない
空砲の宣言と
紙で織られた翼のために
憤 ....
蝉の声が木霊する八月
風もいくらか涼しく感じる
この頃一日が飛ぶように過ぎてゆく
一時間が 一分が 一秒が
飛び去ってゆく
人生も暮れかかり
淋しく感じるこの頃
蝉時雨の ....
行きたい場所があると思う
過去の感情を大切にしたい
空洞になったとしても
続いてゆく所作に美しさがある
真夏でもひやりと冷たい樹皮のような
さめた しなりとした摘み心地は
暖かくな ....
涙は溢れ、暮色に触れて、花と為す。
鷺は佇み、川面は艶やか、凛と為す。
石は固く、蜉蝣の舞う、誰が聞く。
風が立ち、影は霞、泡沫の夢を見る。
夢亡き後に山は燃え、心に映る。
....
命のことなど問われれば
とってもエライ国会議員
「七十歳になってもまだ生きて」って 怒鳴ります
「七十歳になったら死ななあかんね」
六十九歳のお母ちゃん
淋しく笑って固まった 父の ....
指先に流れ込んでくることばたちが綴る詩は
川の流れにたゆたう髪のように絡みついては
また流れていく。ことばたちは生まれては海
月になって遥か彼方の階段をめざしていく。
ことばたちが昇っていく階 ....
キーボードの上で
テントウムシが{ルビ触覚=おぐし}を直している
ENTERの右の
7HOMEと8←との間
溝にハマった姿勢だが
寛いでいるようにしか見えない
{引用=どこから とか
....
もう、盆を迎える
年のはじめに亡くなった
祖母のことをおもう
弔いとは何なのか
酒は酌み交わせないから
話を汲み交わして
そうやって
いっときの
なぐさめのように
祖母の生前 ....
ああ なんていい風だろう
みんみん蝉が緑の木立に鳴いて
大きな鳥が素早く飛び立ち
鬱々とした気分が
涼やかに洗い落とされていく
この高曇りの八月十一日
[目を閉じれば未だ
橙 ....
はなをたむける
みずをそなえる
てをあわせる
そしておいのりする
かみさまに
ごせんぞさまに
きのうのわたしに
いまここにわたしがいるのは
きのうのわたしががんばったから
み ....
太陽と海
向日葵と風がうたう
忘れては 思い出す
風鈴の音と蝉の声
笑いあい
遊びまわった
終わらない時代に
僕らは夢を見ていた
スタンドバイミーが
聞こえてくる
....
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