「雨だれ」
幾多も宇宙が膨張しては落ちていく
手のひらに掬えば
昨日の私の涙みたいで
もしかしてこの中にあの時の自分が
小さくなって住んでいるのかも
瞼を閉じて
何度も聴こえてくる
....
優雅なるおのが自虐の洗礼に母性あなたは鏡のごとく
聖典を真夜にひらけば一本のわが少年の髪ユダにありき
さようなら僕のジュラ紀よ骨格の恐竜だけが透明だった
一本の濃きまみどりの樹と生れ ....
誰も知らない海でした、(けしてあなたのほかには)
舟は出てゆく
夏の入り江、あなたの瞳の奥を
白い鳥は羽根を休めることなく
空にすべる手紙
返事はいらない、ただひとこ ....
ミミミみどりのゆめがみみたぶに1ミリきしませてはよるのひるね
あるいちにちがおちるころなきました海辺できみを引用しながら
たよりなく気まぐれな手紙がとどく誘惑してってきれ ....
影が、
薬缶からのびて
傷んだ壁にのびて
夕暮れとつながった
懐かしさや情けなさや怒りや
いつまでも尽きそうにない悲しみと……
そしてわ ....
キレキレのラジオ体操秋の蝉
どうしても選べないみどりいろの服着ている彼女どこか優って
雨の夜あしたを想う想い過ぎまたキッチンで珈琲点てる
部屋のなかまで連れてきてる自転車は世界で一つの自転車だから
....
首都高に沈む夕日や秋彼岸
薔薇の花をおくるよ
ふかく悲しませたあとに
気にしないでときみは言うけど
鋭いナイフをおくるよ
歓びをわけあったあとに
面倒な人、ときみは言うけど
....
びいどろの 雨もうれしや 手毬花
かりかりと ペン先の音 こだまする
詩歌を紡ぐ 私は生きる
約束と手帳の枠をはみだした歩み孤独の文字は不揃い
千鳥足で本をかすめて籠る部屋 百五ページの夜に呑まれる
右側を愛し左側を憎む鋏いつもの切れ味はなく
吐瀉物の薫り ....
眠れぬ夜鈴虫唄う子守唄
くらがりに無口な蝉の解体屋
雑誌捲り冬から春になる内容桜並木の特集を読む
石が持つ豊かなパワー受け入れる肉体の悪い部分を癒やす
寒い時ミルクティー飲み温まる春深まっても朝晩寒い
次々と開花させてる能力は人間誰し ....
手にしていたのは
小さなひしゃく
星が消えた途方もない夜は
蛍を連れて
そしてたどりつく水源の
ほとりは
どこへつながっているのか
どこへもつながっていないのか
汲み上 ....
黒い影が心を塗り潰そうとするとき
思い出に浸されふやけきった夢にうつつを抜かす
声でなく君の姿が欲しい日に空の十五夜指で突き刺す
ギター弾くピアノも奏でるその指が昨日を歌う夜の顔して
約束の指切りよりも正直な顔をしてると指差すあなた
その指が何本あるか数えてない ....
(わたしは秋
枯れゆく落ち葉のしたで
春の夢を待ち焦がれている)
北国の夏はぬるい
日焼けした肌
汗臭いTシャツ
サングラス
海と空がひと ....
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