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蒲公英の繊毛には色がある
白色は視覚化されるが
赤、青、紫、橙は花の妖精しか見ることができない
その色によって着地点は既に決められている

人間の心も同様である
人間の妖精は太古に滅んだ
 ....
数をかぞえて川まで来たよ
回転木馬は考える
きみはガリガリ苦しくて
きっと神さま軽蔑だ


かんざし付けた観光ガール
カード片手にガイドする
こちらにござるは金華山
来る日も来る日も ....
*エロス

熱い唇が夜に溶ける
重ねた皮膚は
殻のないぬめやかな二枚貝

弄ばれた魂が
半周遅れの月影に
しろい波濤を刻んでいる

脱ぎ捨てられた衣に
まだ残る体温が
生温い喘 ....
氷の針が心臓に突き刺さって苦しいと思うとき 海から全ての海水が巻き上げられてぼくの口へ吸入器のように入れられるとき きっときみはひとつの歌を口ずさむ ひとつの祈りを口ずさむ、ひとつの海の駅名を口ずさむ .... 水になってひそむ
死んだ者たちの{ルビ通=とお}ったこのほそい水系に
官能の色彩はすでにない
光りの粒子のように時は流れ
序章のように生誕の時は流れ
星が囲んだ戦場につめたい炎の舌がみえ ....
   
 生きたまま花の化石になりたい
 という少女がいて
 街は、霞のようにかすかに
 かそけく 輝いているのだった

 ちちははの眠るやわらかな記憶の棺たち
 少女は母似の瞼をとじた ....
「笹舟」

ほそくふるえる茎をくわえて吹いてみた
ちいさいころの夕焼けが鳴った
{ルビ百日紅=さるすべり}のあった空き地
少年探偵団のぼくが落とした時間
材木屋のある路地は行き止まり
ふ ....
この前まで鉛筆をもっていたひとが
木の匣にはいる
燃やされてちいさくしろくなって
木箱にはいる
鉛筆で書いた文章が
もう そのひとだ
そのひとを見ると
鉛筆をもてない
あのひとのこ ....
夜 小鳥たちは哀しみの巣をつくる
発動機の音がちいさな心臓をふるわせ
人も鳥も水に逃げようとしている
死は同じひろがりで樹下闇を照らし
美しいものの名をわすれていく
冬 かじかんだ指先が ....
「孤島」

樹や動物と共に棲み
助け合うことを知っている
ひとに蹂躙されない
蹂躙しない
等身大の月のひかりにただそよぎ
喜び 哀しみ 反射する
時に痛い波濤をかかえ
消滅を怖れない ....
 
昔、{ルビ通=かよ}っていた中学校の屋上に
天体観測の丸いドームがあった


天体望遠鏡を覗き込むと
こころの暗がりがみえた


こころはどの星だろうと
それから何十年も探 ....
           

 あなたは夏をみる人だ
 うつむいたレースのカーテン越しに
 あなたは白い夏をみるひとだ
 窓辺にもたれながら、口をすこし閉じて

 
 花模様のレースの ....
あらかじめ充たされた{ルビ紅葉=こうよう}の場所は
ただ ここに ある
風に吹かれていることにとらわれず
枯れ葉になることにとらわれず
ただ ここに ある

蛇口をひねれば水がでる
その ....
秋の蛇口をひねると
空虚がぽとりと落ちてくる
管は水平に都市の闇を這い
水源地は{ルビ紅葉=こうよう}で充たされている


空虚で顔を洗うと
頬がすこし紅くなる
正直な肉の反応に
つ ....
 溢れる海の{ルビ思想=おもい}を
 透いた生命の鼓動にのせて
 ぼくはきみに語りたい
 {ルビ灼=あつ}い 熱い視線の息吹に恋い焦がれ
 ひとり 沈んでいった人たちのことを
 ふるえる ....
 

それを言うと
渡り鳥のことを思い出す
羽搏いていた鳥が
水面に映った自分の姿を認めると
鳥は堕ちる


波が代わりに羽を動かす
と言うのは便法で錯覚だ
鳥が波に{ルビ唆= ....
そろそろ すとーぶだしてよ ともいわない
きみは けなげだね
ねどこでほんをよみだすと
かならずわけありがおでじゃまをする
うるさいけど にくめない
たまに てつがくしゃのように
あおのさ ....
沈黙して眠るほかない
鬱積を投げ合う蒼い人語の地穴で
帆軸を極北に向けたまま
難破船のようにふかく朽ちていく


沈黙して眠るほかない
世界の清しい涯てをむなしくも夢みて
 ....
心臓に張巡らされた無数の血管のように
言いたいことがあるのに
それが言葉にならないって
きのう電話できみに話したね

勿論、お互いの苦悩や孤独のこととか
きみへの愛や関係性とかい ....
「わたくし」がいつもうるさい主語だから野花は咲いて名もなく揺れる

気をつけろ死の面さらす詩行から蒼い樹液がぽたぽた垂れて

紫陽花の枯れた姿は傷ましいさっさと首を落として欲しい

かくれ ....
 深刻ではなく 淋しい瞳をもった
 サーカスのピエロ
 ぼく きっと 透きとおった
 この時代の住民にちがいない

 古代マンモスのふかい皺をもった
 象たちが踊り 踊らされる
 過 ....
 幼い日
 ふたりで日向ぼっこをしながら
 影をみていた
 ぼくの黒い指先が
 少女の頬に触れようとする
 と 触れるその直前で
 影だけがふやっと膨らんで
 ぼくより先 少女に ....
    

水の{ルビ簾=すだれ}がそこかしこに垂れ下がっている夏の部屋に居て、ぼくはもうあの郵便配達夫が来ないことを知っている。ぼくの胸のなかには白い綿毛のようなほわほわした生命体がいつも棲みつ ....
そうして八月がやって来た
濡れた髪は山脈のゆるい傾斜をなぞるように戦ぎ
大地の荒々しい脈動を伝える両脚は
透徹した眼をもって立つことを求められていた

ぬるい渓流を走るわたしの血管
 ....
 
 にゃんこホアキン
 きみの硬直した屍体はぼくを悲しませた
 にゃんこホアキン
 ふさふさした薄茶のふさ毛とふとい尻尾
 ふた色に変わる不可思議な鳴き声
 覚えているよ にゃんこホアキ ....
葉月 祐さんの白島真さんおすすめリスト(25)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ふわりの旅路- 白島真自由詩17*17-11-11
きっとカジュアル- 白島真自由詩14*17-10-2
エロスと憧憬- 白島真自由詩10+*17-5-13
塩の柱- 白島真自由詩31*17-3-20
くにの記憶- 白島真自由詩27*17-2-26
花の化石- 白島真自由詩28*17-1-10
短詩2篇- 白島真自由詩24*16-12-22
鉛筆- 白島真自由詩23*16-12-10
- 白島真自由詩14*16-12-4
短詩4篇- 白島真自由詩22*16-11-18
天体とこころ_Ⅲ- 白島真自由詩21*16-11-8
夏をみる人_- 白島真自由詩22*16-11-4
続_秋の蛇口- 白島真自由詩13*16-10-27
秋の蛇口- 白島真自由詩13*16-10-25
ぼくの内側から崩れていく海- 白島真自由詩21*16-10-20
渡り鳥伝説_- 白島真自由詩4*16-10-18
いつもの挨拶- 白島真自由詩8*16-10-14
薔薇の痛み- 白島真自由詩16*16-10-8
天体とこころ_Ⅱ- 白島真自由詩11*16-10-7
廻る輪っか- 白島真短歌4*16-10-7
サーカス_- 白島真自由詩13*16-10-5
- 白島真自由詩15*16-10-2
水の簾- 白島真自由詩616-9-28
天体とこころⅣ- 白島真自由詩8*16-9-27
にゃんこホアキン- 白島真自由詩6*16-9-26

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