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枯れてゆく冬に名前はなく
キャベツ畑の片隅で枯れてゆく草花を
墓標にしても誰もみるものはいない

ただ今日一日を生き抜くことが
大切なんだと、うつむきがちに言う人に
ぼくは沈黙でこたえる、 ....
いつか真夜中に犬たちの遠吠えが
飛び交っていたことがある
あれはいつだったか

野良犬というものをいつからか観なくなり
町はひどく清潔で余所余所しくなった
リードに首輪、犬たちも主人により ....
誰もがそれとわかるように
名前をつけてみましょうか

花と名前をつけます
蜂と名前をつけます
光と名前をつけます

だけれど君がそれを指さすとき
花と戯れる蜂や蜂と戯れる花を
輝かせ ....
雨の夜の窓のなか
遠くに灯る赤い傘

赤い灯台、雨のなか
近くにゆけば遠ざかり

遠くにあれば懐かしく
夢路の窓は滲みます

あの灯台はなお赤く
赤子の頰もまた赤い

雨の町か ....
古物が集積された
墓場のようなビルの前
フェンスにもたれて
剥げた手足を
褪せた顔を
晒しながら
途方に
暮れて
きみは空を斜めに
見つめている

いつか駅にいたきみ
もうなに ....
老人はおまえに
ものを
放りこむ
赤々とした
その口へ

おまえの頭上で鍋が笑っている
数限りない夕餉の匂いがおまえに
染み付いている、また酒の芳しい香りと
血の流れと涙は静かに漂っ ....
動かない、くだらない
戯れ言が舌を翻弄して

降ったりやんだり、うまくない
雨みたいなもんだ、うまくない
嘘にまみれた言葉、うまくない

語りたいこと語りたくないこと
押し合い圧し ....
わたしは悲しみを拾います
だれの悲しみだろう
なぜ悲しいのだろう
取り留めなくおもいます

掌で包んでみたり
耳をあててみたり
抱いて寝てみたり
机の上に置いてみたり
床に転がしてみ ....
命を頂いて生きている
だから頂きます、というらしい
けれどそれはそんなにありがたく
罪深いのだろうか
鶏が産み落とした精の無い
卵をいくつも使ったケーキは
悪徳の味がするのか
命を失った ....
一羽の鳩は飛びゆき
一羽の鳩は堕ちゆく

空を見上げる子らは
羽ばたきしか知らず
星のかがやきに浮かれ

草葉の陰に横たわるものは
人知れず退場するだろう

さめざめと僕はたたずみ ....
枯れ葉がからから
秋の子どもたちの
足音、からからと

町ゆくひとの足を
いたずらに撫でて
風のような笑い声

枯れ葉を燃やせば
秋の子どもたちは
舞い上がりおどり

それを見 ....
常夏の陽が波にとけ
波の子生まれ遥々と
この島国へ流れ流れて
夏を運んで、春を流して

波の子ゆすら
ゆすら、すら
鰯の群れや鯨の髭を
気ままにゆらし
ゆすらすら

浜辺に埋め ....
右の頬を叩かれ
左の頬も叩かれ
まったく叩かれてばかりだ
女に叩かれ振られ
男に目つきが悪いと叩かれ
ふらふらして肩がぶつかり叩かれ
まったく叩かれてばかりの人生だが
ぼくだって毎日地球 ....
埋もれた一粒の麦のことを
考えている

踏み固められた大地から
顔も出せず
根をはることもなく
暗澹とした深い眠りのなかで
郷愁の念を抱いているのか
夏天に輝く手を伸ばし
希望の歌が ....
田中修子さんの帆場蔵人さんおすすめリスト(44)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
冬の墓- 帆場蔵人自由詩11*19-2-24
犬たちへ- 帆場蔵人自由詩4*19-2-17
沈黙のなかで- 帆場蔵人自由詩18*19-2-14
夜想- 帆場蔵人自由詩219-2-2
いつかの伝言板- 帆場蔵人自由詩8*18-12-26
埋み火- 帆場蔵人自由詩1218-12-23
雨を降らせたくて- 帆場蔵人自由詩318-12-10
いつものこと- 帆場蔵人自由詩7*18-11-21
シュガー・ブルース- 帆場蔵人自由詩818-11-16
- 帆場蔵人自由詩418-11-11
小春日和- 帆場蔵人自由詩718-11-8
波の子- 帆場蔵人自由詩7*18-11-8
触れ合う- 帆場蔵人自由詩4*18-11-1
一粒の麦よ- 帆場蔵人自由詩16*18-10-31

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