窓越しに今日を見て
誰かが向こうへ手を振ると
明日へと勝手に動きはじめて
頼んでもいないのに席が空いて
ここがあなたの場所だと告げるから
大丈夫です。
みたいな曖昧な返事が降車駅まで必要に ....
「雨」
雨が天からフロントガラスにおち
たらーっと下方へつたい
ワイパーの根方のへんで溜まり水と同化する
人間の一生もこんなものか
と思う
川へいくにも
川は銀河系のずっと先だ
....
名前って、極めて純度の高い個人の情報だと思うよ
顔は知っていても
たとえ言葉を交わし合っていても
つい、気が引けて相手の名前は聞けないし
同様に自分の名前を言えない事って普通に有るよね
....
アンカー
その小さな出っ張りを描く、
それは新たな扉かもしれない
異質な残骸は新たな生を運んでいる
甘くもないものを頬張りぷにぷにと遊ばれては
感覚とたのしめれば時ともに声も漏れだしたもので ....
家は川沿いにあった
ぬかるみが渇こうとして
夕暮れは
大腸をひきずりだしたように
ながくなった
そのなかを這うように
ぼくは船出をして
帰りかたがわからなくなった
日の落ちかけ ....
「朝」
いただいた分だけ
お返ししたい
ありがとう
の言葉を
できれば添えて
けれども
ただ
生きていても
大丈夫
「海綿」
....
バスに揺られて考えた
いつかきっとこの哀しみを乗り越えるため
大変な勇気を必要とするときが来る
その時になって慌てないように
私は今日も生きよう
生活を自分の物とし
生き生きと生きよう
....
蜘蛛を決して殺さないこと、幼き夏の夕に僕は僕と約束をした。
左右の小指で指切りをし、指が切れ、僕は8本指の少年となった。
ひとりでいるのに
ふたりでいるような
たゆたう心は休日のまま
夏が静かに燃える
新聞紙はないけれど
明日は確実にやって来る
ジリジリと焼ける太陽が
お尻を持ち上げようとして
東の方角に ....
叫びは暗闇に飲み込まれ、おれたちは
財布を落としてきたみたいな心もとない気持ちでいる
神さまは金持ちにだけ整理券を配り
おれたちには聖書みたいに硬いパンを施すだけさ
適性検査を受けて戦いに ....
少しも
優しくないんだよ
私は
優しくなれないって
優しく出来ないって
何なの
優しさって努力なの?
違う
優しい人は
何も考えずに優しいんだよ
どうしようもなく優しいんだよ
腹 ....
針と糸でまつ毛を縫い付けて
空に夜をプレゼントするから
青いドレスの裾で生きる
蛇口を捻っても
きっと美味しい水は出て来ない
この部屋にあるものは
形を忘れてしまいそうなほど
影に呑まれ ....
干上がった海に熟れた西瓜が割れ落ちるよな
愛や恋を編み込んでいく箱に然られた綺麗事
傲慢な遺体たちに接ぐ 太陽とハロゲン帽
空いたハマグリのブローチに被されば曇天
気持ち取り残した朝日の影を踏 ....
解法を開放するとの快方を介抱した会報は、たちまちきんいろの瞬火と等価に交換されて消えていってしまった。吹かれていたよ。誰よりも。あなたは恰好よかったよ。でもそれだけだった。そのしらせが持ち込まれた時も ....
死ぬ気のない自分は、
死ぬ気で、物事を考えたことがない。
殺す気で白人警官は、黒人男の首を、
殺す気で踏んづけた。
眠らせる気で夢魔は、女の胸を、
眠らせる気で踏んづけた。
....
その話は終わりだ
あれが
雷だったのか
烏賊寿司だったのか
三日月だったのか
など
「 モー 」 と、
午
気づいたら
こうしてインターネットの宇宙に
言葉を蝶々の折り紙にして
息を吹きかけて飛ばしている
私がいた
だけど
表現の自由が無限に与えられてるなんて
あり得ない
けして
....
落ちこぼれの僕たちは、硝子瓶の外へこぼれ落ちてしまおうぜ。
美しいだけの硝子瓶の外へ、泥臭いトレッキングブーツを履いて。
幾重もの黄昏が
共鳴する中を歩いている
自分の黄昏
知っている誰かの黄昏
あるいは知らない誰かの黄昏
数知れぬ意識の黄昏
黄昏てゆくのは今日という日
あるいはなんらかの時世
あるい ....
降り続ける雨は永遠の化身
わたしたちは閉じ込められている
どこかで花の匂いがするけれど
確かめに行くことはできない
濁った窓の外から聞こえてくる
心を削り取る無数のノイズたち
に耳を傾 ....
なごり蝉が泣いている
生を燃焼しDNAを残し塵に帰る
雨風にさらされ
骸は蟻や微生物の餌になり
地球を構成する大地となる
なごり蝉よ
おまえに後悔はあるか
やり残した無念さはある ....
黒い廊下の奥の微笑
あなたの薔薇色の唇が
死者と雪の帯が
蒼白い樹氷を照らしていた
冬の街
鶫が羽ばたいていた
そして破壊された地に吹雪はきた
それから物言わぬ書物、先の空き地、ハン ....
前の住人が忘れてった風鈴。
干し竿で晩夏が首を吊ってるよ。
うれしくてうれしくて
とてもさみしげな青空を背景に
ひとりバカみたいに
笑ってる
とおい記憶をたよりに
あの海へ行けるのか
子どものころなんども行った
あの夢の中
のろいなど
....
ごめんね神さま
いますぐにゆるす、がほしい
この{ルビ心音=こころね}の証しに
樹海に奔って自爆したい!
行倒れの男のように
靴が片方 ぽっかり見上げている
我慢しきれず漏らしてしまう
重苦しい空はぽつりぽつり
悲哀をくすぐりながら
見定めていたはずの世界を沈め
アトランティス
瓶の蓋 ....
ふと、考える。
もしも私が、
あなたと同じように、
目がみえなくなってしまったら、
私は詩が書けなくなるのだろうか。
幼い頃は、
目がみえなくなることが、
とても怖かった。
怖くて怖く ....
冷たい壁の前で、
私は人形をにぎり立っている。
人形は、
いくら圧力をくわえても、
宙をおよぐ目をして
星のない空をみている。
私は昔から、
そんな目が嫌いだった。
何かを問われる度に ....
愛するものに あらんかぎりの表現をあたえるために
図書館はある
道の途中で
トンビがピープルって 巻き舌ぎみに 私を呼ぶ
鳥に言われるまでもなく 私は人間さ
書物のよさ ....
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