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さすらうには勇気が足りないかな
どうせならもっと風の強い日がいい
靴下を左から履いてしまった
メガネ拭きが見当たらない
レンズが曇ったままでは
都合が悪いんだ
だから明日にしよう
今日じ ....
初めて触れた彼女の素足は
子供のように小さくて
すべすべとしてなめらかで
指が六本あったけれど
幸せを運んでくるための
六本目なんだと
そう言ってくれた彼女の笑顔が
愛らしいことこの上な ....
手の甲に痣ができた
どこにぶつけた訳でもないのに
赤紫のそれが鮮明に色を放っている
そして不安を覚える
夢見心地に徘徊しているのではないかと
月も星も輝くことのない暗い空の下を
どれほど歩 ....
青い空
わずかながらに流れ行く白い雲
軒下には
蜘蛛の巣に滴る雨粒が輝きを放つ
夏休みが懐かしく思い出され
向日葵畑の跡に立つ案山子は
夕陽に照らされ
土手に履き捨てられた
幼 ....
靴が脱げた
いや
脱げかかっている
右足だけ
白いスニーカー
薄汚れている
このまま脱いでしまおうか
立ち止まって
立ち直って
履き直そうか
左はなんともないのに
右だけ脱げ ....
放り出された左手は
ゴロンと転がったまま
流血することもなく
その細長く美しい五本の指が
微動だにすることもなく
ただそこにそうしているだけで
いついつまでも眺めていたい
芸術作品のよう ....
紅の夢が輝く
こんな夜は
鮮やかな黄色のワンピースを
翻して淑女が踊る
蒼い月の冷たい闇が広がるけれど
緑萌ゆる朝は遠くない
だからさあ出かけよう
爪の先に光の雫を忍ばせて