あなたが亡くなって世界はこんなに美しい
 
おばあちゃんにせがんでおんぶしてもらっている子供
赤く染まった南天の葉
まるく結実した八手
 
冬の日差しのなかにあなたのまなざしだけが残っ ....
 この頃 冬といっても
 僕の国や
 何も知らない人達の国では
 ギリシャ世界のアネクメーネのように
 どんなに寒くても
 明日への蓄えがなくても
 火の点し方さえ知らなくても
 飢 ....
痩せた背中に我思うあるいは思わなくてもいい
じっとしていれば砂に埋もれて砂を吐くだろう
公園で
砂場にうずくまってひとつかみひとつかみ喉へ

気付かなければ永遠に忘れ去ってしまうだろう
気 ....
僕は彼女に嘘をついている
僕がいちばん好きなのは彼女じゃない
だけど好きな素振りをしている
もちろん嫌いではない
好きだ 大好きだ
でもいちばんではない
きっとそれは彼女がすぐに手に入った ....
君はまだ熟れる前の青いバナナだ
その若々しい青さ
まだ薄い精臭(におい)
その瑞々しい果肉
実のつまった堅さ
ぶち抜きそうな長さ
ほおばれないほどの太さ
緩く弧を描く曲線
顔の無表情さ ....
君は僕の胸にナイフを突き刺し悪魔のように嘲笑う
剣先についた毒が動脈に流れ込み
心拍に合わせて毛細血管まで染み込んでいく
嗚呼 これで僕も君の奴隷になってしまった
嗚呼 これで僕も君と絶頂を得 ....
人間は牛じゃないのに

大砲は豆じゃないのに

あれは

きっと

花壇の音







 
                       詩集「時遊時間」より
いかなる理由があろうと、
人間による人間の殺戮を正当化するわけにはいかない。
そこから発語する、
そこからしか、詩は生まれない。

気の遠くなるような、
辛い、とても辛いことであっても
 ....
真冬の風に押されて入る
どこか樟脳くさい昆虫館は
暖房でひどく乾燥して。
こんな昆虫館には必ずいる。

この大物を忘れたら
昆虫少年たちが怒るものね。
確かにすばらしい虫だものね。
あ ....
僕はいまだに迷っている

君しようか
あの子にようか迷っている

君を選べばこの先安泰であることはわかっている
あの子を選べばそのうち捨てられるのがオチだ

君との愛はとても義務的で温 ....
彼女は早起きしてお弁当を作って
今日はピクニック
いいお天気
彼女の調子もいいみたい
ひさしぶりのピクニック
外に出るのもひさしぶり
彼女の退院記念

彼女の作ったお弁当の中身 ....
意味など
何もない世界に
今 私たちは
生きている

もしかしたら
この世界は
誰かの夢の中でしかないかもしれない
もしかしたら
この世界は
何かの本の中でしかないかもしれない
 ....
なぜだか忘れてしまったりするので
書いておく
そこにも あそこにも

ピリリと鳴ったり 震えたりすると
ポケットの上から触れずにはいられない
現代人なのですか といわれればそれはそうですが ....
綿ぼこりを握りしめていた
お乳を飲むときおっぱいを押した
初めの一歩バランスを取るために前にのばした
泥まんじゅうを作った
じゃんけんをした
桜吹雪のなか母の手に包まれた
ハナハトマメと書 ....
愛に必要な事っていったい何だろう
「安らぎ」?
それとも「刺激」?
「安らぎ」ばかりを求めていると
刺激のない生活に飽きてきてしまう
「刺激」ばかりを求めていると
安らげる場所を探してしま ....
君が投げた
寂しさに透き通ったボールが
あちこち跳ね返って
やっと
僕に届いた

受け取った僕の
縮こまる胸の奥が
痛い痛いと
一人泣く

あの日
遠くを見て笑う僕を見ていた
 ....
照り返しの眩しい白い階段をのぼる
六六段を数える
栗の木の緑がむせる
コンクリートの階段だ。

後ろを振り向くとまだのぼってくる人がいる。

毎朝沢山の伝票を抱え
昔のぼった経理部への ....
三丁目の角を曲がったところでふと
君の匂いを感じたとき
なんてことないと思っていたのに

電子レンジに卵を入れて
しばらく眺めてから取り出し
破裂するかどうかを少しだけ考える
あれと似て ....
今夜もまた
毛布を
かける側と
かけられる側に
わかたれる

夜ごと
息絶えてしまう人々のせいで
仕事のない両手と
凍える胸たちが
あぶれてゆく

失った者たちは
寝どこ ....
ある朝
右のみみがきこえなくなりました

ある朝
左手のこゆびがうごかなくなりました

ある朝
右のあしくびがまがらなくなりました

ある朝
左のめがみえなくなりました

わた ....
君がいつまでも気にして
うつむいているので

木の精だよ
気にするな

なんて言うわけないのだが
君にはそう聴こえたようで

わしは百歳じゃ

と低い声で
木の精の物真似をする ....
ある朝 鏡を見ると
もうひとつ 口ができていた
口の横が 赤く腫れて
みるみる膨れあがり
ぱっくりと割れた
もうひとつの口は
本物の口より大きくなった

もうひとつの口は
思いも ....
会えないほど 遠くても
喋れないほど 遠くても
それでも 好きは大きくなるばかりで

どんなに好きになっても
会えるわけじゃないのに
どんなに好きになっても
喋れるわけじゃないのに

 ....
あたらしい
いのちが
うまれてくる
えいえんをゆめみても
おわりはくるけど


かみさまが
きみたちに
くださったのは
けして
くじけない
こころ


さみしくて
しず ....
冷蔵庫が嫌いな人になる
それが唯一の特徴になる

ぶつ切りのチーズ
ぶつ切りのフィルム
どちらも最後には朽ち果てるので

本当なら何もない部屋がよかった
断面図はシンプルなのが ....
エレベータの中で
一人の羊飼いと出くわした
私はその羊飼いのことは知らないし
羊飼いも私のことを知らない

二人とも
なんでこんな所で出くわしたのかわからずに
どうしたものかと
す ....
いくつもの季節が過ぎて
君の笑顔しか思い出せなくなっていました


田舎へ帰ったと聞いて
いくつものアルバムの中の君を探しているのですが
探しているのは笑顔ではないのです
悲しみを探 ....
確定されないと
思った

誰とも話をしなくなって
一週間が過ぎ
学校に行くのをやめ
電話も捨ててしまった
人とすれ違い
社会と関わることなく
存在が陽子よりも
小さくなり
消えて ....
にのうでから溶け出した、夏
へたれ女の股間はぶちまけた生ゴミ

アスファルトのように全て受け止めて
なくした鍵、唾液、おでこ。

頬にまとわりつく、湿った夕べに
ぐずぐず過去は漏れゆく
 ....
飯を炊いていると
すごく性交のことを考える
すごい性交のことを考える
湯気がもわっとたちこめて
白濁している
「白濁しているよ」と言う
ずっと鼻を近づけていると
非難の目を感じながら ....
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