すべてのおすすめ
霜柱踏んだ昔の三叉路で明けの明星目印に進む
習慣の高速再生壁打ちの言葉駅まで溢さず走る
喋り方ゆっくりしてるあの人とキャッチボールで肩慣らしする
引き込み線の形残 ....
珈琲の混ざった粘膜に唾液が滲みる
先刻の鳩の血液も蹴り足から鼻腔を貫いたか
公園で撒いたパンにありついた鳩を執拗に追い回していた
追手の鳩を蹴ったのは気紛れ
砂糖のない珈琲では消えない後味
....
乗客の少ない
駅員不在のことも多い駅に
子供が取り残されて泣いていた
所々「ママ」「ママ」の混じった
ほぼ聞き取れない泣きながらの声は
受けとるもう一人の声がないままに
モノクロームの ....
「訓練生が訓練について行けなくなったとき、何が起こるか知ってる?」
「ここでのことに限って、訓練生の記憶が消える、だろ。」
「表向きはそうね。ここを離脱すればここの記憶は自然に消える。もちろん何者 ....
手作りのミネストローネと讃美歌でいつもの通り飾り気なしで
蹴り足の微妙な狂い 引き裂かれ頭上のベルに歪んだ視界
ありふれた電飾に沈む客船に無理して笑う音楽と月
赤 ....
ノーギャラで出演迫る孤独すら知らない愚者の視線を察知
最初から不幸せにも幸せにもできない誰かに費やす心
触れてみない観察しない確かめない強制終了 血走る目付き
古 ....
離れてることを忘れ夢中になるそれぞれの布団のなかでのスマホ
ヤジ飛ばす安酒の唾ふりかかりファウルボールで逆襲したい
運命をしょぼい偶然と言い換える趣味の出会いの私の流儀
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地下鉄の駅とはいっても高架線上にある、そんな駅から5分ほど歩いたところに、フィットネス倶楽部Ichida はある。父、幸盛が始めた小さなスポーツクラブが最初だったが、いまでは指導員も施設もそれなりに ....
夜に喫茶店に誘われるというのも珍しいし、この時間に開いている喫茶店も珍しい。ここに誘った男が力説するこの店のよさについての話に、大袈裟な相槌で新鮮な驚きを演じながら聞き入る振りをする私を、さっきから ....
そのときそれほどピンとこなくても、似た者同士の魂は引かれあう。そんなことが確かにあるのだと思う。澄花さんの半生は思ったよりは平凡なもので拍子抜けしたけれど、抱かれた余韻もあって少し夢心地で、いちいち ....
眠らせることが仕事になったから月の光の底で生きてく
泣き止まぬ嬰児の不安受け止める作戦いくつも立てて過ごした
綺麗事くさす粗雑な匙加減 まどろむ居間で誰かを探す
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平日の散歩 みえない境界を侵しみえない迎撃に会う
バールのようなものでこじ開けた栓 闇が溢れて夜がまた来る
行き止まりで掴む鈍器のようなもの 来た道戻る鉛の視線
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期待する答えを外す それだけが性格ブスの烙印の理由?
置き去りにされた記憶とした記憶 独りを選ぶ今とこれから
辻褄のあう自我だけに絞り込む 振り回す鞭はよく手に馴染む
....
つるりと逃げ出す言葉は
重心を同じところに留めようとする
こちらの思惑を知っていて
その裏をかくイタズラを仕掛ける
追いかけるとき進む道は
こちらが選んでいるようで
あちらの作戦通りのポイ ....