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麦が降っている
魚が立っている
耳が語っている
あなたはかくも
祝福されている
雨を避けながら私は歩いている
傘に守られて私は歩いている
円形の
ぽっかり浮かぶその空間で
私は世界を眺めている

雨粒が傘の端から端から
あふれるように流れている
それは本来私の上に ....
あなたが近付く音に
冷たいはずの鼓動が脈打つ
けして触れてはいけない禁忌

シャワーから流れる
生ぬるい体温に
体の隅々まで
犯されていく感覚に犯されて
頭の中が真っ白に痺れてしまった ....
濡れはじめた空が
歌をくりかえすのに
私はピアノを弾けないでいる
雲が沈み雨音が遠くなり
やがて射しこむだろう光に
伸びた髪をさらす
地上が反転する雫のなかで溺れる
鳥の影が風に波打つ
 ....
空は 晴れて 
緑が 萌えて 
鳥は 唄う 

どうしようもなく 
春で 
朝で 
まぶしくて 

どうしようもなく 
私は
女で 
せつなくて 

風が「る」のような ....
私は
そらに放たれた宇宙飛行士
オフィスの
隅っこで見上げてる

ホワイトボード
お知らせのメモ
ホチキス

こんな朝から
遠い宇宙の孤独を想う
私とどこが違うのだろう

正 ....
受話器越しに溢れる沈黙が暖かい

私があなたに別れを告げる時
きっと私はあなた以上に誰かを愛することができるようになったか
あなた無しでも生きていける強さを手にいれたんだろう
ごめんね、どち ....
日は{ルビ翳=かげ}り
見上げた月は幾分か{ルビ朧=おぼろ}で
乳白色の湯船から浮き上がる手は
もう
あなたの手か 私の手か
わからないくらいに
溶けていた




わからないだ ....
塾の講師なんて仕事をしていると
子供の心に触れてしまうことがある

前に受け持っていた女子生徒が
授業中に突然飛び出して
二階のベランダから飛び降りようとした

「死んでやるー!」と何度 ....
たとえば
カーテン越しの陽だまりに
できるだけぽつんと
たよりなく座ってみる

時計の針の
こちこちという音だけが
胸にひびくように
明るみの中で目をとじる

いつの日かお ....
 
私はとても小さいので
海を見れば
海でいっぱいになってしまう


私はとても小さいので
空を見れば
空でいっぱいになってしまう


私はとても小さいので
風を匂えば
風で ....
久しぶりに三人で手を繋ぐ
いつもより寒い冬
汗をかいた小さな掌は
どことなく妻に似ていた

歳を聞けば指で
三本や五本を出していたのに
今では両手の指すべてを使わなければならない ....
傷だらけの手首に香水は染みたでしょう
いつもどこかで貴女のことを気にしているよ
私たちはお互いに女だからキスも抱きしめることもしないけれど

化粧をすることを覚えて
香水をつけることを覚えて ....
白いチョークで
道路にドアを描いている

白いチョークでは
どんなものも白く描かれるから

羽を描いても
飛ぶための空が描けない

だから僕は
ドアを描こうとしている ....
それは
突然届いた手紙
差出人の名前はなく
やけにさっぱりとした美しい文字で
私の名前がそこにあった

あなたに恋をした

たった一行だけ
そう書かれていて
顔のない差出人が
そ ....
穏やかな午後に
揺れる白いカーテン
ほんのりとアールグレイが香って
静かに思い出す

初めての今日は
初めての二人の春夏秋冬
初めての日々
なにもかも新鮮だった頃
そうしてさ ....
午前三時。
君はまだ喋ってる。

冷えたパスタを、
フォークで突っついて、
ぺちゃくちゃり。

ワインを、
手酌で注いで、
ごくり飲み干して、
ぺちゃくちゃ ....
花を差し出されたら
黙って口に含む
蜜を吸う

疑うという言葉は
知らないふりをしなくてはいけないルール

ねえ
毒って、甘いんだってね


   *


追いかけられるの ....
僕は飲んだくれて
恵比寿の裏通りで、げろはいてた
何もかも上手くいってないのに
何もかも上手くいってるように
取り繕って
でも、今夜は酒を飲みすぎて
げろはいている僕
そんな僕をじっと見 ....
いまのは世界中の石像が
月のちからにひかれ
変身しようとして
均衡をうしない
たおれて砕けた音だ
  {引用=ほら 見て
波の向こう
青い火が燃えてる
あれは きっと
妖精の燃えかす
薄い羽を残した空蝉のような}

ダーリンはそう言って
私の肩を抱きました。
抱かれたその手は節く ....
煙草を吸って待っていたのに
人間観察をして待っていたのに
スタバのコーヒー片手に待っていたのに
既に全ての行動に飽きても待っていたのに

テメェアホ面で遅刻すんじゃねェ

とか

ゴ ....
電車を待つ人々が
いっせいに
携帯を開く

今日の株価を確認する
プロ野球の結果を確認する
誰かとの 距離

同胞メール
という
機能が嫌い
いっせいに

私の孤独を送信する ....
心のどこを探しても、
怒りも憎しみも憎悪もない。

それとは正反対の感情が、
海の様に広がって、凪を打っている。

愛情と愛しみと友情。
そして変わらぬ大切さ。
 ....
僕はきっと虫なのだと思うありふれた夜。

その理由はいくつかあるのだけど、つまりそれは虫であるはずもない僕の外見からは想像もつかない。たとえば横断歩道をわたろうとするとき、わき腹のあたりがむずむず ....
腕から生える腕
腕から生え他の腕に潜る腕
すべて腕
てのひらの無い腕
てのひらだらけの腕
今日の天気は腕ときどき腕
ところによりにわか腕
という天気図を指し示す腕
腕そば一丁、腕大 ....
部屋はいつもGONESHのラズベリーを焚いて
赤いギターを吊るし上げている
ピックのネックレスを嬉しげにぶら下げた
あいつの部屋はいつも汚い
携帯電話の着メロをダウンロードしても
いつもマナ ....
十二番目で
いつも言葉を間違えてしまう君は
その次の交差点では
左折ばかりを繰り返している
東京
狭い夕暮れで
夢から覚めたばかりの抜け落ちた体を
ついでのような角度でドアの隙間に潜り込 ....
太陽を盗んで、
穴に落ちて、
暗闇で、
空っぽで、
誰もいなくて、
誰もがなくて、
誰も待ってなくて、
遠くで、待って、くれなくて、
悲しくて、
苦しくて、
 ....
何を忘れたかったのだろう
街に一つしかない小さな駅で
男は窓の外に向かって手を振った
無人のホームでは鉢植えに植えられた
カモミールの花がゆれるばかり
やがて男を乗せた列車が発車すると
駅 ....
かのこさんの自由詩おすすめリスト(207)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
そろもん(誕生日の話)- みつべえ自由詩306-4-17
傘をささずに歩く勇気を私はもたない- umineko自由詩19*06-4-11
ヘロインモルモット- 美味自由詩2*06-4-9
予感- こしごえ自由詩25*06-4-6
春愁- 落合朱美自由詩3506-3-27
るりいろ- umineko自由詩17*06-3-3
星を見ながら- リヅ自由詩3*06-2-17
- a.u.i.自由詩1006-2-13
知らないことを知っている- ベンジャ ...自由詩42*06-2-6
Lesson- 落合朱美自由詩40*06-1-15
私はとても小さいので- 松本 涼自由詩114+*06-1-2
初詣- たもつ自由詩5206-1-2
16歳- リヅ自由詩4*05-12-8
白いチョークで描いたドア- ベンジャ ...自由詩7*05-11-30
恋をした- 雨女自由詩205-11-23
白い午後- イオ自由詩2*05-10-30
「_それからどしたの?仔猫ちゃん。_」- PULL.自由詩13*05-8-31
花とスピード- RT自由詩18*05-8-24
子猫のシビット- 芳賀梨花 ...自由詩4+*05-8-23
そろもん(幻聴の話)- みつべえ自由詩905-8-3
青い火- とうどう ...自由詩10*05-7-28
遅刻魔- 無知アコ自由詩8*05-7-28
携帯ホーム- umineko自由詩13*05-7-26
「_いつまでも土曜日。_」- PULL.自由詩7*05-7-16
僕はきっと虫なのだと思うありふれた夜。- ベンジャ ...自由詩23*05-7-16
すべて腕- たもつ自由詩1905-7-14
自分を客観的に見てみようの会- 無知アコ自由詩5*05-7-13
トーキョータワー- 霜天自由詩4305-7-12
「_人でなし。_」- PULL.自由詩10*05-7-12
七人の男(手を振る男)- たもつ自由詩41*05-7-12

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