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珈琲の混ざった粘膜に唾液が滲みる
先刻の鳩の血液も蹴り足から鼻腔を貫いたか
公園で撒いたパンにありついた鳩を執拗に追い回していた
追手の鳩を蹴ったのは気紛れ
砂糖のない珈琲では消えない後味
....
乗客の少ない
駅員不在のことも多い駅に
子供が取り残されて泣いていた
所々「ママ」「ママ」の混じった
ほぼ聞き取れない泣きながらの声は
受けとるもう一人の声がないままに
モノクロームの ....
手作りのミネストローネと讃美歌でいつもの通り飾り気なしで
蹴り足の微妙な狂い 引き裂かれ頭上のベルに歪んだ視界
ありふれた電飾に沈む客船に無理して笑う音楽と月
赤 ....
ノーギャラで出演迫る孤独すら知らない愚者の視線を察知
最初から不幸せにも幸せにもできない誰かに費やす心
触れてみない観察しない確かめない強制終了 血走る目付き
古 ....
離れてることを忘れ夢中になるそれぞれの布団のなかでのスマホ
ヤジ飛ばす安酒の唾ふりかかりファウルボールで逆襲したい
運命をしょぼい偶然と言い換える趣味の出会いの私の流儀
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いつのまに内緒話は死語となる 左下がりの枝に梨の実
「信じてる」 秘密のありか探る手で 画面で乾く目を伏せたまま
民族の衣装は乳を隠さない 壁が嫌になり踏み込む裸身
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打ち付ける雹と雨とが塞ぐ息 冷える身体を削る轟音
雷に震え蹲る子ら二人 水を防げぬ傘で覆った
光る空 二秒遅れの雷鳴に打たれて震え まだ生きている
子ら二人近くの ....