グッドラック
ミナト 螢

鳥のような羽根を失くした日は
どこかで雨宿りすれば良いのに
立ち止まると不安になるから
景色を連れて自転車に乗った

ペダルを漕ぐと空を飛べそうな
パイロットの夢が語られる時
シートベルトを外したあなたに
精一杯の笑顔を見せたい

ハンドルを握る両手は熱く
丸くなった背中は似た者同士

ゴールテープを切る事の幸せ
僕には辿り着けない場所がある

旅立つあなたに贈る言葉は
瞳を閉じたままの僕等の体を
行き交う為の最後のフライト

燃え尽きた後で灰色になった
記念写真のパーツを集めたら
セロハンテープで元通りにした
二人の間に風が吹いてゆく


自由詩 グッドラック Copyright ミナト 螢 2016-12-20 15:31:29
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