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朝、
電線は
小鳥たちがさえずりあうところになった
声を投げかけてかえし
うけとめては投げかける
にぎやかないとなみ
ひかりさすほうへ小さなからだをむけて
羽毛に今日の熱をとりこんで ....
夜の舟
櫂はいらない
ゆられているのは
こころのありか
星くずは
あかるく燃えながら
一瞬で消えてしまった
とても遠い闇が
触れるほど近くに落ちてくる
ここは宇宙の湊
願い ....
父母が買った墓を見に行く
高台にあるそこからは
海が見渡せ
なんのわずらいもない風が吹き渡り
小さな飛行機が雲間に光る
このお墓に入ったら
この景色を見て暮らす、という母に
いい ....
ドラッグストアの棚に並んだ
石鹸の類い
これでもない
あれでもない
おそらくどこにもないのだろう
探している香りは
高電圧のくしゃみのように
蒸発してしまって
世界のどこにも、ない ....