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雨の気配が春を連れてくるから
煙草の味がわからなくなるくらい
泣いてしまいたいのに
涙は出てこない
小さな井戸からかなしみを汲み上げても
ここまでの距離は数えられないのだ
どこかへ向か ....
はじまりの海は遠浅で
かなしむことをまだ知らない透明なさかなたち
約束したはずの場所を
ゆききする微熱の波
遠い遠い夢の話
記憶をいくつも交差させて
分かれ道をまどう
ひとりあそび
....
かすかな気体が母音をまねて
つつましく
遠くの空をながめる子
瞳に映る季節、また季節
繰り返される慈しみ
陽射し
向こう側へ手をふる
帰れないと知っても
魂は旅をするかしら
平行 ....
小さな凧になって
白い干潟の方へただよっていく
そんな夢をみた
空はいつもの人見知り
いそがしく雲がゆききして
染まるべき色を探している
そんな風力2の午後だ
君がリリアン編んで
見上げた空は花と同じ色で
ぜんぶ、ぜんぶ春だった
ゆびさきで、光源をたどる
なくしたもののかたちは
思い出せないけれど
なくしたものから芽ぶいたのは
街でいちばん ....