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まだ夏という季節が
迷いのない子ども
(のよう)だった頃の
残り香だけを頼りにして
つりがね草の
茎の中を歩けば
規則正しい配列の褥で
寝返りをうつ命たち
不完全な器を抱え
危ういバ ....
決別したつもりの海に
手招きをする影を見る
葉脈の震えが伝わり
白い夜に立ちつくす
コンパス
情動
頼りにならぬ
女の勘
子どもたちは梟の頭
不等号に揺れる眼球
傾いた試験 ....
オールクリア!
問題は何もない
いつものように大量死
アァ、今日も空が青い(腐)
朝食はベーコンエッグス
そして缶入りのトマトジュース
パンを焦がしてしちゃったよバカ
トランジスタ・ラジ ....
さわやかな朝に
無愛想なカッターナイフ
笑いながら手首を切ると
色とりどりのビーズがこぼれ落ちて
アタシは嫌でも
自分がコンビニだと思い知らされる
だから意地でも口紅は塗らない
薄利多売 ....
磨りガラスの向こうの公園で
外国人に話しかけられた
どうやら、フランス語らしいが
何を言っているのか分からない
家に帰ると母親が叫んでいた
ひとつひとつは意味のある言葉
けれど、つなげ ....
夕暮れが近づき
わたしの中に霧が生まれると
過去は砂糖菓子に姿を変えて
死者の日の祭りの喧騒へと
まぎれこんでしまった
何もかもが冷たく静かだ
退屈したわたしは
自分の隙をついて
....
いちばん最初についた嘘は
「ぼくはぬすんでない」だった
そこから始まるドミノ倒し
躓きなんてそんなものだ
大きな嘘に小さな嘘
許される嘘と許されぬ嘘
嘘で生きている奴らと
嘘に生 ....