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玄関まで水が迫っているのでどうしようかなと考えていたところに、甲斐さんがボートで来た。そこら中で孤立しているので拾ってまわっているそうだ。ここもあと一時間もすれば完全に水没するというので、慌てて最低限 .... 縁日で掬った金魚をどこにやっただろうか
庭の片隅、物置の陰のあたりに
古い水槽が転がっていて
水と水草を適当に入れて
そこに放り込んでおいた気がする

誰も世話をしないまま
ただ、気まぐ ....
思い違いをしているのではないか

君は寝床に身を横たえているのではなく
もういつの時代に作られたのかも
さだかではない古い古い風呂桶の中に
身ぐるみ剥がされたままの素裸で
(しかも生温い蒟 ....
一度間違えてしまったのだから
何度間違えても同じことだろう
そう思って暮らしていると
次第にばったのような顔になってくる
顔がばったのようでは外にも出られないので
その部分を消しゴムでこすり ....
畑の畝を踏みつけて歩くような
大きな台風が過ぎていったあと
庭中にたくさんの青柿が落ちている
渋くてとても食べるどころではないやつだ
うちには昔から柿の木なんて生えてないのに
こういうことが ....
塀のそばをとぼとぼ歩く
五月のゆくえはただ次の季節を目指し
露を散らしたばらを放つように咲かせている
人はいない 付き添いの影だけで
影と影が二人で歩いているのか
葉陰の路地になにかが焼けた ....
迎えにきた おまえを
切っ先を腹に埋めこんでいるさむらいを
かつて桃太郎と呼ばれたおまえ
殿様の不興を買ったおまえ
梨の木の下で死を待つおまえ

おお おれは鬼の屍
といっても はじめか ....
むかし 納屋の整理をした折
古箪笥の引き出しを開けると
中が炊きたての赤飯でいっぱいだったことがある
春の川でとれた蟹の甲羅を剥ぐと
どの蟹にも赤飯がぎっしり詰まっていたこともある
それから ....
それについては因縁がある
なにせ前世の仇だから

うららかな冬の日
わたしはそいつを探して山にきた
皮をなめして枕にしてやろうと思ったのだ
鉄砲をかかえ 神社の脇を通った時
昼寝している ....
寝ているうちに夕方になった
夜になる前に起きなければならない
けれどどうしても布団から出られなくて
カーテンの陰にいる母に
起こして と言ってみる
母は不思議そうな顔をしている
見ているだ ....
{引用=
奥は暗くておそろしければ… 和泉式部

ふいに戸を閉められて
暗い場所に置き去りにされてみれば
息をするのもままならぬほどで
手探りで進む手に
布がひらひらとまといつく
天 ....
晩遅く帰った宅の
戸をからからと引いて
玄関先に靴が揃えられている
その脇をすっと通る
長い廊下にはぼんやりと俯き加減の
男や女が行き交っていて
もうさすがに惑わされることはないが
とう ....
ちょっと一曲流していってくれと
手を引かれた先にはいかにも豪農風の屋敷があり
その内庭といおうか畑地といおうか
平らにならした広場にはすでに人が立ち集まっていた
聞けば数十年に一度の祭りの前祝 ....
りゅうぐうのつかいを飲んでしまった
寒天のようだったから つい
つるつると飲みこんでしまった
せっかく遠いところから来てくれたのに
まさか飲んでしまうとは と
母屋の人たちは驚いている
わ ....
鵜飼千代子さんの春日線香さんおすすめリスト(14)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
洪水- 春日線香自由詩118-10-9
水槽- 春日線香自由詩1618-3-28
思い違い- 春日線香自由詩1217-12-28
ばった- 春日線香自由詩516-9-21
青柿- 春日線香自由詩216-9-7
路地にて- 春日線香自由詩314-5-12
桃太郎- 春日線香自由詩214-4-18
赤飯三題- 春日線香自由詩514-1-29
むじな- 春日線香自由詩314-1-27
起こして- 春日線香自由詩314-1-26
暗峠- 春日線香自由詩713-9-9
錯視- 春日線香自由詩6*13-8-30
竹林- 春日線香自由詩510-5-4
りゅうぐうのつかい- 春日線香自由詩510-5-2

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