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殴ったり撫でたりできない位置にまで離れてようやく対話ができる 太陽のように輝く無意味さと道の小石に過ぎない意味と 千キロの移動をしてもこの体からは一歩も出られていない 縛られていると落ち着く人もいてたやすく「解放」などと言えない 通信が途絶えた時の液晶の色より外の夜は明るい 近づくとうっかり殺してしまうかもしれない隣人だらけになった それはすごく運のいいこと 生きたいと思わないまま生きられるのは 雪でもなく砂でもなくただしんしんと眼の奥を埋めてゆく「もうやだ」 この身体しか知らないし引っ越しもできないという不自由がある 雨やまず やがて視界のまつしろな頁と化して捲らるるまで 生きている、という異常な状態がまだ続くので写真を撮った 突然に宇宙の真理を悟るとか、よくあるらしいから気にするな 点であることの宿命 消滅も遍在もすることができない 今、私に寒いと感じさせている私の皮膚と私との距離 「無駄でないことなどない」という一面の真理 一面の白い空 一瞬の苦痛というには長すぎる時間と感じるような設定 眼を閉じて出所不明の光など見たくないから眼を開けている 夜霧なす生殖不能の生殖器としてのソメイヨシノの万朶
鵜飼千代子さんのいるさんおすすめリスト(18)
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