深夜、裸、横たわったまま
きみに電話をかけられるので
わたしは科学に感謝するが
その超軽量・収載辞書数世界一の
電子辞書は捨てなさい
わたしは高度を欲しない
ベル音は
ベルが発明した瞬間 ....
きみの言葉
岸辺の水草
抱き合った夜のまるい小石
わたしの言葉
艶やかな泥
探り合った分だけ{ルビ嵩=かさ}んだ枯れ草

ひとつずつ拾い集めて
一年間を歩いていく
ほら、
晴れだと ....
わたしたちは
ノートを破る

  戦争は、ありました
  原爆は、おちました
  南京大虐殺は、

「無かった」
と言う
きみはいつでも
修正液を用意している

「お前だけだ」 ....
どこへ飛んでもいいんだよ、という
やさしい解放に
抑えつけられている

  この羽を燃やす人がいる
  大気圏への怖気を見抜いて
  好機とばかりに灰にする
  灰になるまで
  後ろ ....
なにひとつ盗まず手首を差し出して捕まろうとするあなたが憎い きみの奥にいる四人目を
億千万から探る夜

朝は遠く
遠くで始まるバイク音は
億千万に投函している
億千万の活字のなかに
それは書かれているのだろうか

獏の逸話が本当ならば
とび ....
きみにとって
あの女は
海でしたか

アラビア数字の布団のなかで
きみは
真水に少し飽きたのか
熱いからこそ{ルビ膚=はだえ}に滲みる
濃度に泳いで
それ以上に塩辛い汗をふんだんに流 ....
長雨は
母の辛抱
わたしの鏡に降り続く

快晴は
彼の信頼
わたしの鏡を照りつける

そしてうつくしい反射が生まれ
記号化していた言動が
{ルビ漲=みなぎ}るダンス・ステップになる ....
何回目の向日葵だろう
わたしは到底知らないけれど
去年は台風で咲き損じ
今年は少しだけ多く芽吹いた
眼前の厚ぼったい黄いろ、黄いろ、黄いろ、

溢れる規則的な渦巻きに
いるのがおじいちゃ ....
扉が
壁になった
観音開きの合わせ目には一ミリの窪みもなく
錠前も、蝶番もなく
光も、ざわめきも、向こう側の気配はなく
ひた駆けてきたあなたの
汗と、一千万秒が
消散した その静寂で
 ....
繋がって
また
諦めた
歯がゆさで
ワンマン電車が走っていく

わたしの
肯定を知りたい

たくさんの競争心を
おぼえたふりをしていたらしい
甘やかされている時間にはふと
だれ ....
こじつけて
逃亡します、今夜
明かす寝台列車
明けるわたし

行き先は戦地ではないから
安心して送り出して

きみの脳内の
道徳をくすぐった名作を携えて
逃亡します、今夜
逃げ出 ....
狭くても
遠くでも
学生の賑やかが同じ

産み出そうとしたひとに
海がそうっと手助けをするから
不断の惰性が同じ

回転し続ける
日の出、日の入、コンビナート、
資源が好きなきみの ....
「と」でなく「に」だと気づいた片道のきみを疎んで揺れる{ルビ鬣=たてがみ}


月光と言語をすり替え降雪に名前をつけて笑っていたが


ひとがみなひとりでは生きられぬならわたしはひとでなく ....
胎内で飾られた
くるわない羅針盤が
まだ胸で光っているのがいけない

この先を覆っているものが真白い羽根なので
どうにかなると思っているのか わたしは
この発電器が雨にうたれて
錆びてい ....
ひとりが
ふたりになっていくのがわかる

噛み合っていた歯が抜けていく
背中が剥がれて
一分が長い

あなたはあなたと会話する
わたしはあなたを盗み見る
ひとりがふたりになっていく
 ....
干あがりはじめている
眼球に満月がうつって
わたしの魚類は決起した

精度をあげた
鱗は
  鋭利になった
  鱗に覆われた
そこを掻きむしる指先は真っ赤
な爪の間に平然と住んでいる ....
裏返しのミラーボールが
わたしを残して膨張し続け
鋭利はない、
鈍器もない、
じゃうじゃうの手足しかない、
わたしはわたしを壊そうとする
怖そうなわたしを壊そうと
するのにわたしを壊せな ....
おととしもきょねんもことしもらいねんも無鉄砲を撃つ火薬が濡れて 未成年が
足を引っぱるには幼くて
夏の真ん中は撹拌された

期待通りの{ルビ化学反応=ハロー・グッバイ}
急回転からの{ルビ摩擦熱=ロマンティック}

  ばっかみたいだ
  ばっかな ....
駿足が湯船に浸って弛緩してキスに砂粒が混ざって苦い 無意味と独創
のあいだに立っている

冬の小鳥の
さえずりを演繹したら
おだやかなわたしがいた

ひとりで
ひとりの救いを確立するための
戦いがはじまる

寒くなる
寒くなれば ....
きみは
{ルビ無重力=マクロ}の落雷にうたれた
{ルビ最前線=フロンティア}に魅せられて
とんでゆく
その脳内に
{ルビ霊長類=わたし}は窒息する

アローン、
アローン、


 ....
十二月に飛来した
結び目の青い鳥
八月に墜落した
羽ばたきが反射して
空が青い

慈愛が一番星だという
警戒‐牽制‐疑念の星座、
等距離の光年を
正義感の彗星が
ながれて
遠く
 ....
じゃくり、じゃくり、
掘る深夜
青いシイツに堆積する
湿った土はやさしさだ

肉刺、弾けて、抉られる
親和、臭って、掘り返されて
漂っていて
湿っていて
巣喰っているのは
人工的な ....
その身を守る戒めを
守り続けた青年に似た
ひとつの砦がある年月に

新宿/小学校の窓ガラス

壊されたがっているようで
わたしの拙いピッケルが
亀裂を走らせたがっている

葉脈め ....
日向
欠伸をしている わたしの
弛緩したくちびるに
消防士が侵入をする
繊細な内臓
大音量のなかで わたしの
太陽が鎮火した
 焦げ臭い
拒むきみを探るゴムホースの舌
ちろちろと ま ....
プラスで
廃品の
螺子を外して
新しい文明を浮かべている
叔父の頭の
螺子は外れて
いるけれど
ずんぐりとした小さな背中、
埋没させる金属に
持ち寄られた期待に添いたい、優しい、
 ....
きみをひきのばして大きな一枚にして体に巻きつけたい、くるまったままで、そうすればどこへ行くにも一緒だ

わたしを抱きしめながら言う空想を
わたしは空想をして

よく言われるのは
「頭小さ ....
ぶら下がっているわたし
の、創立八十年
の、生後十一年
の、柔軟を奮って弾丸になり
この袋を突き破るのは
口のゆるめ方がせこせこしているので

権力は
狡猾なのではなく
短絡的なので ....
伊月りさ(83)
タイトル カテゴリ Point 日付
空耳の夜自由詩10*09/9/2 21:11
自由詩7*09/8/31 2:50
確信〜the core ack. sin〜自由詩4*09/8/29 1:11
羽骸〜it's of good behavior〜自由詩1*09/8/27 17:48
短歌2*09/8/27 16:39
発覚〜hack and eat〜自由詩3*09/8/27 2:25
[group]自由詩4*09/8/15 1:35
全天の踊り子自由詩5*09/8/5 1:17
輪生〜the ring is saying〜自由詩4*09/8/1 14:18
春の終わり自由詩16*09/6/9 12:34
黒潮鉄道[group]自由詩35*09/3/9 16:33
サンライズ[group]自由詩5*09/3/9 16:33
回帰自由詩4*09/3/4 13:42
獣篇短歌4*09/2/8 0:46
知命〜take leave of my senses〜自由詩5*09/2/7 23:03
たしかめる自由詩3*09/2/6 12:51
An ENPTY OVEN自由詩3*09/2/5 13:16
鑑別〜till the winter me do part〜自由詩5*09/2/5 2:02
賭し念短歌1*09/2/4 14:59
邂逅〜from the summer upward〜自由詩4*09/2/1 21:51
事後短歌0+*08/12/29 2:11
冬眠自由詩4*08/12/27 0:33
進歩自由詩8*08/12/24 16:00
空映え[group]自由詩1*08/12/19 9:57
発掘/ある方策自由詩1*08/12/11 0:52
Critical Choice自由詩1*08/12/11 0:34
交絡自由詩4*08/12/10 1:09
この螺子は叫びながら自由詩5*08/11/18 22:27
生地のはなし自由詩4*08/11/17 12:56
有袋[group]自由詩6*08/11/13 13:39

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