夏だ
夕立はバリバリと瓦を噛んでいる
私は雷のようにゴロゴロと暇を持て余している
朝から付けっ放しのテレビでは
子供向けの絵画講座が流れていた
暇は右腕を勝手 ....
駅のホームには真夏が居座っていて
人々は影を求めて黄色い線のさらに内側に行儀良く並んでいる
「貨物列車が通過します」
たくさんのコンテナを載せた電車は
風を引き連れ ....
陰惨 画賛
インクが黒く死に重視
印紙が白く二重に
死は三重に、苦は七重に
午後に10号発破 六時 勇姿
破竹、死地中に獅子獣 666 三重6
産後、重合 肉汁は血
死後に銃
クク ....
砂漠に降った 春の雨
港に張った 薄氷
夕陽映した 水田や
虫泣き渡る 磨りガラス
あなたはきっと そのすべて
美しいと思うのでしょう
おやすみなさい 目を閉じ ....
夜眠り
朝起きる
夜がきて
あくびする
朝がきて
あくびする
いつの日も
あたりまえ
いつからか
あたりまえ
悔しくて眠れない日も
いつの間にか海の底
....
命綱が首に絡まって
死んじゃったんだ
昨日
よく覚えてないけど
安心しなよ
怖いのははじめの一歩だけで
あとは鳥になれるって
言われたはずなのに
どうして
背中を押されたわけ ....
マグカップの淵に付いた埃
靴下の中に潜り込んだ小石
知らないうちにいなくなった私
さっき考えてたことがわからなくなって
思い出したように詩を書き出して
伝えたいことは何も ....
大きく膨らんだお腹に手を当てると
ぐるんと窮屈そうに動いてくれた
明日生まれるよ
君は明日生まれるよ
後ろからそっと抱きしめると
安心そうに身を委ねてくれた
明 ....
{引用=一昨日の夜のこと}
薄緑の籠に
シャツや下着が
溜まってきたので
洗濯機にそれらを
雑多に放り込み
湯船に張った
冷めかけたお湯に
ホースを通したと ....
もう少しだけ待って欲しかった
きっともっとうまく笑えるはずだったのに
まだ恋が芽を出す途中
強制的に打ち切られてさ
なすすべもなく ほら さよなら
曖昧で でもそれ以上踏み込めなくて ....
赤信号を歩いていく人の背中を見ていた
急いでいる訳でもないその人につられて
ひとり、またひとりと流される
流行の最先端を行く
誇らしげに胸を張って
アスファルトに張り付いたガムを
幾人 ....
寒い日に「寒いね」って当たり前のこと
温かくて柔らかい吐息の色でわかっているよ
降り積もった朝の霜を踏んで
砂利道の上のキャッチボール
口遊んだいつもの歌も
溜め込みすぎて漏れ出した ....
夕方過ぎの薄闇の中
自転車に跨った
塾帰りの少年少女
信号機は止まれのままだ
いずれ青に変わる時が来るのだから
ゆっくり大人になればいい
僕はと言えば車の中
....
ケーキ屋のサンタクロースは眠れずに 家族と過ごす26日
酒を飲み不平不満をぶちまけて それでも明日はやってくるのだ
「仕事と家庭のどちらが大事なの?」 やや食い気味に「君だ」と答え
....
また新しい朝が来て
見慣れたカーテンの隙間から
初めて出会う光が射す
窓の外は少し寒そうに
木の葉が遊んでいて
足元を這う蟻はせっせと
冬の支度を急いでいるの
この部屋に引っ越してき ....
部屋の電気は消してしまって
まっくらで物静かな夜
十一月はひたひたと
毛布の重みと共にやってきた
手は繋いだままで
寝息の輪唱を続けた
手のひらの温かさだけ
....
鰹と昆布出汁のお味噌汁には
豆腐とあさつきを浮かべただけ
甘めの卵焼きをクルクルと
上手に巻いている菜箸兄弟
グリルの中では塩鮭の皮が
薄く煙と音を立てている
起こしにやってく ....
特等席で見た空は
ただただ青く だだ広く
特等席で見た空は
ただただ暗く だだ深く
特等席で見た空は
お星が一つ ただ一つ
特等席で見た空は
屋根より低く 音 ....
うどんの出汁をとった
ご飯の炊ける匂いが嫌になったから
ツルツルと食べられるものが良かった
掛け布団を洗った
柔軟剤の匂いが嫌になったから
今夜は少し寝苦しい夜だな
....
私が立っているビル群の下
そこには昔深い海があった
不燃の塊に埋め立てられ
魚は住処を失って
そうして海は死んでいった
濁った灰色の海を眺めても
波音は聞こえては来ない
私が ....
道端にタバコの吸殻が点々と
公園のゴミ箱に空き缶がなみなみと
今日の汚れが明日には雨に流されて
またいつも通りの表情を浮かべる街
漂うカレーの匂い
独りでに揺れるブランコ ....
あなたとわたしの違いは何だ
あなたはいくつも毛糸を編んだ
わたしはひとつの道を歩んだ
そしてあなたはその時言うんだ
正しいやり方はひとつじゃないし
汚いやり口も時には ....
蛇口をひねると水が出た
コップから溢れても水は出続けた
いつからかそれが当たり前になり
有り難みも薄まってしまった
母を頼ると愛をくれた
母は無償の愛を与え続けてくれ ....
毎朝の「いってらっしゃい」も最後の日
ひと休み 蜜柑畑にお茶の声
皺も増え顔も似てくる五十年
三回忌 手酌で交わす水の月
寝苦しい夜に絡まる指の紐
冷や麦茶 汗も滴るいい温度
輪唱で徐々に深まる両寝息
網戸風が鳴らすカーテンの風鈴
伝えたいことが何もなくても
電話が切れなかった
これで終わりなんて信じたくなくて
繋がっていたいだけだった
泣いてなんかないのに
辛くなんかないのに
いつもの素 ....
春には桜に頬を染め
梅雨の紫陽花に頬を濡らす
夏は向日葵と背比べし
秋の紅葉に赤く乾く
冬に山茶花の詩を書いたことがあるだろうか
詩人ってやつは流されやすくて困る
言葉を生ける為だけに ....
どこからが空なんだろうって考えてみると
手を伸ばせば触れられる気がした
鳥みたいに自由になりたいって思うと
空が果てしなく高く感じた
境界線はないのに
空も飛べないなんて思い込ん ....
飛行機雲
空を裁つ間に
霞みゆく 
澄み渡る青は
とめどなく
渦巻貝
海を嚥下し
淀みゆく
溢れ来る波は
とめどなく
夕列 ....
誰もいないこの世界が好きだ
ボタンひとつで誰もいない
みえない
みたくない
しらない
しりたくない
そんなことすべて置いていける
誰が僕を責めるだろう
....
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