拝啓と書く
敬具で〆る

小学生のとき
電話とメールというメディアの違いを考えよ、という課題があった
今はもう、そのどれもがふるい
既読がつき、いいねがあり
三分の空隙にすら意味がうまれ ....
終わりをできるだけ遅らせる努力をしよう、と友は言った

終わりをできるだけ遅らせる努力をしよう
終わりをできるだけ遅らせる努力をしよう

口のなかで転がす友の言葉
面映ゆい心地
友の深い ....
あなたはジャスミン香料の原液を嗅いだことがあるか

かぐわしき清楚な花、ジャスミン
花言葉は
You are cheerful and graceful(あなたは朗らかで気品がある)

花 ....
絡まるイヤホンを揉んで
非接触に移行できない未熟な時間
その痛みにさわるな
わたしはそれが苦痛だときちんと知っている
だれに認められずとも
たしかにそこに存在してる傷

その痛みにさわるな
わたしはそれをおまえのために
加工したりはしない
爪がずっとぼこぼこなんだ
前に聞いたことがある
これは不健康な時間の地層なんだって

でも、人差し指のだけ桜貝のようにつるりとしてる
どうしてだろう
人差し指だけは社交的だったのだろうか
 ....
深夜、明かりを落としたベッドの横に
弟の友の顔をした妖怪が困り果ててやってきた
助けてくれという彼に
たまごスープを提供し
添い寝した

小声で尋ねる
ねえ、あなたは他人の顔になって生き ....
ああ、ともだちに会いたい
顔を見合わせてバカ笑いして
河原で生牡蠣焼いたりして
ビール飲んで
このやろーとどつき合って
また笑って
夜通し深刻な話をして互いの涙を拭い
抱きしめあって
 ....
胸のなかに石がある
いつ呑んだのか知らない
ゴロゴロ、ゴロゴロと
このごろそいつの座りが悪い

胸のなかだからとりだして見ることもできない
いったいぜんたいどうしたっていうんだ
濁ったり ....
夜ごと枕カバーに涙をすりつける
外はトラックが跳ね回っている
家が小さなビートを刻む

わたしがわたしである重み
まるでゾウに踏みつけられてるよう……!
こんなものを背負って歩いてると、肩 ....
あなたはわかる、と言いました
わたしはわかられた、と思いました

花が咲き乱れ、天国の鐘がなる
果てのない全能感、無敵です
もはや孤独ではないのだから
なんでもできることでしょう

背 ....
名を与える。
それは魔法。
そのもののかたちをあらわし、いつでも呼び出すことができるようになる。
ひとに伝えることができるようになる。
口から口へ、文字から文字へ
なにもかも、どこまでも伝播 ....
四角いガラス面をするすると撫でますと
指先は青く黄色く染まり
眼球は吸い込まれ
奇妙に近く感じます。
錯覚でしょうか。
いつもすぐそこにいる気がするのです。
だってあなたの朝ごはんも晩ごは ....
チリチリと薬缶が燃える
怒りで燃える
グラグラと蒸気が噴きあがる
焼けた石を何度も何度も投げつけられてベコベコに凹んでる
舌の根に酸っぱくて苦い味がいつもしてる
行き場のないやりきれなさ
 ....
知らないよもうあのTシャツ、パジャマだし、忘れていった君が悪いし よくわからないけど
人は土でできているらしく
それなら私、自分に種を植えよう

今は秋だし、春咲きの花なんていいんじゃないかな
お芋とかトマトとか、おいしいものもいいし

ねえもしかした ....
夜泣いたぶんだけ世界がきれいになればいいのにならねーよクソ しろい いき
の すいじょうき
は たいない を めぐり
消費された さんそ
の なれはて
を 吸いこむ わたし
の 目から でる なみだ
を うけとめる あなた
の  ....
ひとりぼっちのこころは 栗だ
かたいトゲトゲ
その下に
カブト虫の羽のように さらにかたい皮
もひとつ下に
渋皮につつまれ虫食いにあっている

虫食いのあなから、ひゅーひゅーと漏れている ....
仕事帰り
汗も渇いてひび割れたホーム
ペンキのはげたベンチの下から
皺だらけの切符を拾ったよ

それは きのうの日付
はるかなあまの川
カンパネルラの降りた駅から
140円のやつで
 ....
ちぎって、ちぎって
ゆびさきがあかく腫れるまで
すてた葉っぱから

青くなみなみと
流れ出でた血
海のように辛(から)くて
うまれた魚は悪夢のようにおいしい。


わたしたちは悪魔 ....
汁気のたっぷりとした桃へナイフを差し入れるように、おまえの血で手をべとべとにしながら、その心をえぐり出したい
あるいはわたしにそうしてくれ
それくらいさせてくれよ、それくらいは
2013-02-09(土) 00:25:24



分厚いゴム長。きしり、きしり、足跡をつけ、渡っていく。
見渡せば
たんぼはひろく、白い海原。
とおく、あおくうねる山々。
な ....
日だまりで我の手を引き歯を立てる人のたたえる仏さまの笑み

くるくると跳びゆく記憶万華鏡、幾年(いくとせ)も前瞬きの今

だれだれの娘妻母と来て今はじめて送るキヨさんの日々
うあうー

きみは言う

わあー

と言う

きみのことばは これだけ
たぶん ずっとこれだけ

そしてとても饒舌

声色は
青く沈んだり
黄色く浮かんだり

好物を ....
わたしたちはうつくしい城にいた
記憶の赤い海の上にあり
そびえるさまは誇らしく
ひとつの羅針盤として分かちあっていた

それは夢だった
海底に白く折り重なった無数のひとびとのみる
夢であ ....
猫のびゃあびゃあ鳴く夜には
アイロンをかける
ハンカチを熨して
ブラウスを生き返らせ
スラックスには折り目をつけて

折り目正しくなるように
折り目正しくなるように

だれか私にも折 ....
竜宮は暴れん坊の子だくさん18番目呼ばうキャスター

ぐるぐると天気図の渦の巻く週まわせない吾の服とその山

過ぎ行きし暴風雨の日蜜柑から柿に沈なむ虹の出る暮れ
線香の白い煙の糸がたちのぼる
追って見上ぐれば
黒い梁から見下ろす遺影の果て
白い路(みち)はほどけてく
おそらく、天上界まで届いたあたりで

夏は喪のシーズンだ
祖霊が帰り
私も帰り ....
指の股すり抜ける夏とどまらぬ羽毛のごとく軽くなる水

いつの間に居なくなったの、わたくしと部屋に棲んでたコバエさんたち

はちがつの森林浴はイメージの虫に阻まれ果たせない夢
凍湖(147)
タイトル カテゴリ Point 日付
文通自由詩1821/10/10 12:56
終わりをできるだけ遅らせる努力をしよう、と友は言った自由詩221/10/2 4:24
ジャスミン香料自由詩121/9/26 2:19
イヤホン短歌221/9/21 17:05
その痛みにさわるな自由詩521/9/21 10:08
人差し指の不思議自由詩221/8/28 7:16
訪問者=妖怪自由詩121/8/28 3:06
ああ、ともだちに会いたい自由詩421/8/28 2:40
肋骨のあいだの石自由詩221/8/25 2:33
孤独自由詩321/7/5 9:28
わかる、あなたとわたしはおなじ自由詩521/6/18 2:52
名を与える自由詩320/5/1 15:36
露を受ける自由詩520/4/23 3:57
薬缶―怒り自由詩120/4/21 1:42
百合短歌短歌518/12/28 15:18
塩でも砂でもないんだし自由詩218/10/17 22:16
_短歌218/6/17 1:26
循環自由詩017/12/14 16:06
ひとりぼっちのこころは栗自由詩2*17/11/25 2:25
カンパネルラの切符自由詩2*17/8/18 23:46
青桐の血自由詩4*17/8/18 18:09
桃のように自由詩117/5/14 23:04
冬に自由詩217/5/14 12:24
恍惚の人たち 三首短歌1*17/2/4 22:25
木登りが得意な子のこと自由詩317/1/19 20:57
わたしたちはうつくしい城にいた自由詩315/9/20 0:25
折り目正しく自由詩415/9/12 1:15
天気予報短歌0*15/9/9 20:01
シーズン自由詩5*15/9/3 3:07
まだ半袖を着ていたい 短歌215/9/2 23:14

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