寒い寒い しんと冷えるね 今夜は雨か霙(みぞれ)になるらしいよ
肩が冷えて 体がカチカチだよ まいったな つま先はチリチリしているよ
だけどマッチの火みたいに私の心臓は燃えているよ
....
好きときらいがいっしょになっているあなたを
どうしたらいいだろう
どうおさめたらいいだろう
きらいがどんなに大きくなっても好きをころすことができない
そう気づいたけれど
....
よいこともわるいこともあるけれど
よいことを見ていきたい
よいことをひとつでも多くしたい
できることはやりたい
もっとよろこびを もっとたのしみを もっとやすらぎを
....
カーテンのむこうの窓ガラスが
いちめんに結露して
ひとしずくがとなりのひとしずくとひとつになり
つるつるとつたって流れおちた
ボトリというおおきな音が
ねむりについた鼓膜 ....
おなかがくるしいほど 食べ過ぎたり
市販薬を飲んだときなんか
つい 楽になろうと
うっかり 横になると
泥のような 眠りについたりして
数時間の あいだに
いちね ....
過去のことを思い出すことが極端に少ないと気づいたのは30代に入ってからだった。「何も覚えていない」と人に言われることが時折あるのだ。そもそも私には思い出話をする習慣も無い。そう、私は「今」か「これか ....
見慣れた日本橋を歩いていたが、風景がいつもと違って見えた。どうやら午前中のお祭り目当ての人出があったようで、いつもより歩いている人の数が多かった。ヨーロッパの街並みのように広い「中央通り」は高島屋か ....
ゆれるゆれる秋桜の群れ
さわわ さわわと秋の風にゆれる
わたしの方へ傾いてゆれる
一面の花
花は献身的だといつか聞いた
それはほんとう
うす紅 こい紅
すべての花がいっせいに
わた ....
楽器屋で ためし弾きする ドレミレド
無聊の慰め 20万円ナリ
35年間監禁されていた ずっと
ものごころついたとき から
拘束されていた だから
それが当たり前だと信じていた
湿った壁がどんなに冷たくとも・・
当たり前という名の無機質な檻
前提と ....
油断をしているとひょっこり顔を出す灰色の気分
そんなに煩わせることもないんだがありがたいもんじゃない
すっかり気を取られる騒ぎの中でもこっそり潜んでいて
忙しさの途切れた空白に現われ ....
花散れど 姿残れる むねのうち
目にはその色 鼻にはその香
なにかほしいものは無いか
なにが欲しい
なんでも買ってあげよう
遠慮せずに言いなさい
それでは花が欲しいです
白くて大きなユリの花
オリエンタルリリーの花が
わたしのいちばん好きなも ....
ことばを交わしたあのときから
あなたの姿を探すようになった
さとられないように
勇気をだして見つめた瞳の中
楽園がひろがっていく
みるみるうちに
目を伏せた ....
革のソファ こげ茶いろの
にぶいつやの おじいさんソファ
スルスルすべって
キュキュキュとすわる
ぶ厚い背もたれの ぶこつなソファ
淡いオレンジの光に
ほぐ ....
包丁で指を切っちゃうと
流れる血を止めようとバンソウコウを貼るし
強く打って歯が欠けちゃうと
詰め物をするし
カゼをひいて熱が出ると
クスリを飲んでフトンで寝 ....
穴のような家に一日潜んでから
日が暮れて
空気を吸いに外に出る
あてもなく街を歩き
喫茶店と本屋をはしごして
何をしたいということもない
そうして雨に降られて
人気の無い大通りを ....
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