くだものまるごとのみこんだ
ひとくちめで水がうまれて
ふたくちめに街がうまれた
もうひとくちはいらない

だれかの世界にこぼれ落ち
やわらかい素足に踏みつぶされて
かたちを失って色は破裂 ....
封筒の右端に犬小屋を建てました。
赤いペンキで塗りました。
そこで手紙を書きました。
とても短い鉛筆で。

さいしょに友達の名前を書きました。
つぎに夜のあいさつをしました。
あたらしい ....
しおと、こしょうを、まぶしましょうよ
あかい、たいようの、詰まった、手で
打ちあげられた、小さなトマト
静かな、浜辺に、添えましょうよ

しおと、こしょうを、まぶしましょうよ
あおい、海を ....
ひらがなは、いやだ
ひらがなは、かっこわるい
ぼくは、かたかなになりたかった
もっと、すぽーつかーみたいに
まっかなからだで
びゅんびゅん、はしってみたかった
そうして、あのこをむかえにい ....
鏡の前でポーズをとる双子の弟
の背中を手鏡ごしに見つめる双子の兄
その兄の姿を鏡に映す双子の妹
を鏡ごしに見つめる双子の姉
それらを外からカーブミラー越しに観察しながら
どの子とババ抜きをし ....
ことばをつぐみ、すいへいせんを、
ゆびでなぞれば、やわらかいひふの、
あいだから、ひんやりとした、くうきと、
あまいたいえきが、あふれて、
できそこないの、くすりゆびを、
だらしなく、ぬらし ....
ガムをかみ
かなしい時間をつかまえた
大人っていっつも
こんな気持ちなんだろうか
いっそこのまま
九九でも唄って
神隠しに遭いたい
半ズボンに
両手を突っ込んで
味のしないガムを
 ....
嫁入り道具に緑黄色野菜
箪笥の中に
新しい郁ができたから
外套を仕立てて
真冬の海を越えよう

汽船は
象の浅い眠りを北上する
腐葉土の寝台の上で
僕らは窓枠を外し
マッチで焼き殺 ....
死ぬように廊下へ寝そべり「冷たくて気持ちいい。」と言う幸福そうに

分度器が空から一億降ってきて 空がまばたきしているみたいだ

放課後に人体模型の目を隠し リトマス試験紙こっそりなめろ

 ....
世界地図に
 
架空の国を書き足して
 
架空の通貨を流通させて
 
架空の片道切符で
 
架空の街に住む
 
架空の友人に逢いに行く
 
架空の列車から
 
架空の鉄橋の ....
君が記憶の裏庭で
水浴びを楽しんでいる間
僕の記憶の天井は雨漏りで
傘の中、数えきれない雨粒を
指折り数えている
 
頭の中にはいくつかの泥濘が作られ
天使が次々と身を投げる
それを手 ....
僕の右手はいつも深爪で
それはバイトの関係上しようがない事で
いつもクッキーの缶の口に貼られた
シールを剥がすのに苦労したり
痒いところに手を伸ばしても
いまいち、こう、快感がなく
ついつ ....
箱のなか人々が踊る 砂になる
音楽を絶やさず人の形を忘れて
夜の湿度を 完璧に奪いに行く
一滴の水分さえ拒んで踊り続け
かかとが少しずつ崩れて ポゴ
ダンスできない それでも踊る
ことを止 ....
魚影のない河川
子どもの工場見学
秋空にぎんぶち眼鏡のつがい
おとなの暗い話題
 
人のかたちを真似るビルと
ビルのかたちを真似る人
沈む色紙の太陽
三角座りのキリ ....
夜空を聴診する
U・F・O
テキサスの広大な田園が
宇宙のカルテ
 

 
住所不定の人工衛星
ポップアップトースターみたいな
不思議なかたち
通信する明日の ....
ただいま。
とは言わずに
疲れた。
と言って玄関を開けると
五年ぶりの父は
風呂にでも入れ、と言った。

ただいま。
とは言わずに
なんだお前か。
と言って五年ぶりの兄は
新聞を ....
おとこはよるに
ねむれぬよるに
ひとつ便器を
みがくのです


まあるいおんなを抱くように
できそこないの陶器を愛でるように
裸電球のよる
おとこは奉仕するのです


そうして ....
車窓のない列車は
「夜目」という名の駅に向かい
走行していた

乗客は皆、無口だった
そして窓外の景色でも見るかのように
ただ壁の方に視線を向けていた

車窓のない列車というものは実に ....
おんがくもことばも欲しくないとき
私は夜の校庭にいく
数珠のような虫の音を拾いに。
夜の小学校は夜の公園みたいに
うずまいていないところが好きだ。
物腰というか、何か平べったい姿勢を感じる
 ....
機械を買った。
何の役にも立たない機械

球体を半分に切った形の
透明なガラスケースの中に
小さな羽根のついたモーターと
豆電球だけが配線され
丁寧にハンダ付けされた
小さな機械

 ....
お葬式よりも
静かな洗濯機を買いました。
しめやかに洗濯工程が行われ
私はにぎやかだった母を
懐かしむ。
がらん、とした外野席から君だけが一人
僕しか立っていないグラウンドに向けて
精いっぱいの声援を送っている
昔っから運動が不出来だったが
バッターボックスから飛んで来る
白球を捕えて、ホームべ ....
いずれ花咲く
若くて、柔い、芽が息吹く校庭で
空気をめいっぱいに吸い込んだサッカーボールに
さらに熱っぽい感情を注入する
衛生的な授業をしています。
僕らの内壁を蹴破って再生される豊かな球体 ....
ここが僕の新しい寝床だ
うず高い廃家電のベッド
人懐こい重油の匂い
腹の虫をアジる革命のような
焼き立てパンの香りも
まさかここまで追ってきやしないだろうから
もう安心して唾液を胃に刺せる ....
明日、地球が滅亡するから
 
賞味期限が切れそうな
冷凍チャーハン食べて
美容院と歯医者の予約はキャンセルして
会社の苦手な先輩に
「明日の歓迎会どうします?」
って念のため確認とって
 ....
羊飼いが恋する
花売りの少女に
警官がピストルと花束を
同時に突き付けている

そこに偶然、居合わせてしまった
いつも大口を叩いてばかりの
女主人の大口はさらに大口を開き、ポカン。
ド ....
天井の電球をひねるために相応しい
高さにまで積まれた
人一人の半生の記録集から
無雑作に選んだ一冊を
うすい指腹で繰ってゆく
健康な子どもに絵本を読み聞かす
古めかしい速度で


い ....
パルとニュウはあやとり専門学校で出会った。
二人は毎日仲良く電車に乗って家に帰る。
MP3プレイヤーのイヤホンを二人で耳に片方ずつ着け、
パンクバンド「五体満足」のファーストアルバムを聞きながら ....
仄暗い湖、青銅色の水底から
水面に浮かんだ
満月をつかもうと
水草のようにやわらかく
つるりとした腕を伸ばしている
月曜日の子どもたち

ランプの火影に怯える
動物園のオオカミが
故 ....
なにか良い案がひらめくとき
人のあたまの上で電球が点ります
あたまをいくらひねっても
なんにも思いつかないのなら
そろそろ電球の交換をしてもらいましょう

今日も電気屋さんは
町のみんな ....
かいぶつ(93)
タイトル カテゴリ Point 日付
ピオーネ自由詩1313/9/29 2:05
ジョン、より。自由詩3312/12/14 23:07
ソルト・アンド・ペッパー自由詩212/10/18 4:21
こくご自由詩512/7/13 6:09
双子自由詩212/2/12 0:56
ときのわすれもの自由詩211/11/26 3:40
珈琲ガム自由詩611/11/16 1:53
ハネムーン自由詩311/11/12 22:43
学校に行きたい短歌411/11/6 3:39
架空自由詩311/10/29 7:57
水の器自由詩511/10/29 4:15
眼球を刳り貫き放り投げるバイト自由詩511/10/28 1:10
ポゴ自由詩111/10/27 3:51
かみなりのおとをききながら自由詩7+11/10/10 2:22
星に願いを自由詩411/6/12 2:55
家族自由詩10+11/6/12 1:01
おとこはよるに自由詩511/4/10 2:45
夜ノ目自由詩211/3/24 5:05
千秋楽自由詩011/3/20 2:58
機械にまつわる夜の話自由詩511/1/26 3:52
式日自由詩411/1/23 1:04
浮かんでは消える。自由詩310/9/26 3:14
天空的教室 自由詩110/7/8 23:25
Tonight Tonight自由詩210/6/6 2:17
明日、地球が滅亡するから自由詩510/1/29 3:56
祝福自由詩110/1/20 1:40
「わたし」の日記自由詩9+09/10/4 1:15
アリクイの一生自由詩309/8/26 1:01
星々の悲しみ自由詩609/7/24 1:57
ひらめけ!電球自由詩309/3/6 5:18

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