あまりに鮮やかな景色なので
手ですくってみる
途端に枯れしぼんでいく
ちいさな玉になり
突然はじける
はじけた景色はちりぢりに
もとの場所に還っていく
わたしは苦笑し
せめてもと
景 ....
扇風機なあなたに。ふきとばしてください
シャワーなあなたに。うるおしてください
百円ライターなあなたに。もやしてください
植木鉢なあなたに。うめてください
そばにいたくなる。なにかをください
着ているのを忘れるほど着なれたにおいの上に
すっとしてほっとするほのかなにおいをはおり
むわりと包み込んでくる空気を受け流しながら
いろいろな顔の一面をのぞきにいった
家から抱えてきたざらざら ....
物心がついた頃
私の首には、細い紐で作られた長い首輪が掛けられていた
その時の結び目は確か、みっつ
毎年、誕生日に紐が切れる
だから毎年結び目が増える、ひとつ
そして毎年、少しずつ短くな ....
強い日差しに誘われてか
日傘をさしたおばあちゃんが
ひもをぐいぐいとひきながら歩いている
たれた舌からよだれをたらしながら
よたよたとついていく若い犬
首輪がよせる三段腹は
ささやかな抵抗 ....
ぼくは
きみのヒーローでいたい
きみの目に
ぼくは強くて、かっこよくて、やさしくみえる
そんな魔法を
きみにかけているつもり
きみの前でやらかしちゃったときは
きみの目をみて確か ....
閉ざすとみえることがある
開くとみえることがある
両方同時にはみられない
欲張りなわたしは迷う
さあ、どうしようか
目を、口を、耳を
心は、出会う人々が勝手に開閉していく
わたし ....
はじめて自転車で転んだとき
きれいな模様の種をひろった
部屋のすみに小さな鉢を置いてまいた
はじめて喧嘩をしたとき
種から芽がでてきた
塾通いを始めてから
すくすくと成長して葉が繁 ....
ほっとして、心地いい
でも、いつものばかりだと退屈しちゃうから
たまには思い切って、新しいいつものを探す冒険に出よう
好奇心と不安が入りまじって
すこし落ち着かない気分だけど
そんなこと言っ ....
いちど曲げたところを
直線に戻そうとすると
ほかのところが曲がる
針金のように
朝、直らない寝癖を気にしつつ外に出る
夏物の服をまとめ買いする
雲行きが怪しくなる
寝癖はまだ直らない
昼、直らない寝癖を気にしつつ外に出る
一週間分の家族の食糧を買いだめする
寝癖は ....
うまく舞い上がれないボクは
がっかりして
ただっぴろい草原でふて寝をしていた
しばらくすると
とりさんがふわふわと舞い降りて
ボクの前まできた
そのやわらかい羽でふわふわとあおぎだした ....
道を歩いていると
絶壁のように立ちはだかったそれは
登りきると平らになった
傷が癒えていきます
でも
いろいろな声が遠くなっていきます
いろいろな景色が霞んでいきます
嬉しいのでしょうか
悲しいのでしょうか
少し涙が滲んできます
ある朝
寝ぼうした
とりさんは
ふかふかの羽根にくるまれた
とりさんは
夢ごこち
あっちへふわふわ
こっちへふわふわ
風にとばされてしまわないか
ボクは気が気じゃないよ
夢ごこちで ....
星だけが輝く夜。
一人の少年が、
その手に持つテニスボールを思い切りアスファルトに投げつけた。
ポオォーーーーーン・・・・・
闇に溶け込むほどに高く跳ね上がったボールは一瞬、
乳白色のやわら ....
おおきな鯨がうかんでいる
ぽかんと
こいのぼりの口になる
とおくの鯨ならたべられそうだ
なまぬるい風が
めんどくさそうに胸をざわつかせていく
幸せらしきものが水たまりにうかんでいる ....
ある日
ひとりぼっちの海は
せつなくて せつなくて
ハァ〜〜って
ため息をしてみたんだ
そしたら
白いため息は
フヮ〜〜って
すました空にのぼっていった
ひとりぼっちの白いため息 ....
うねっても
まっすぐ
ひねくれても
まっすぐ
うっすらでも
まっすぐ
とぎれても
まっすぐ
まじわっても
へいこうでも
からまっても
それは、まっすぐ
昼下がり
のほほんと
うたた寝をしていた
ぴよっ、ぴよっ、ぴよっ
どこか
近くで声がする
ぴよっ、ぴよっ、ぴよっ
もしかして
頭の中
左のほうで
ひっきりなしに鳴いている
お ....
無機質な白い瞬きから
開放される
鳥の群れ
きらきらと羽ばたく所へ
ざざざ・・・、ざざざ・・・
心地よい雑音
身をゆだねる
私の心
おだやかに波打つ
生真面目な針から離れる
すべて ....
空と大地のすきまで
虹が寝そべっている
お日さまが顔を出して
おはよう、と挨拶したら
寝ぼけた虹はどこかへかくれんぼ
たまには雲に見つかって
雨を降らされ怒りだす
おどろいた雲は逃げ出し ....
私の身体は
ブリキのようにきしみ
もう一人の私が
背中にしがみついて離れない
心を
闇の鎖がしばり
壁の見えない
洞窟の中に立つ私には
消えかけたたいまつの照らす
貧しい灯りしか見え ....
あまりに心地よい
春の日差し
もったいない
私
穏やかな空気をフリージングバッグにつめた
冷凍室にいれた
翌日
雨が降った
肌寒かった
私
冷凍室をのぞいてみた
くしゃくしゃにな ....
突然まわりが真っ暗になり
右も左もわからない
上も下もわからない
からだの感覚がすべてなくなったかのように
いや、もしそうならば暗いという認識すらないだろう
なにも感じないのだから
右 ....
アリははたらき者だって
みんな思ってるのかな
たぶんサボってるやつ、いると思うよ
えさをさがして歩いてるときに
まよったふりして
石のかげで休んでたり
けびょうつかって
すのなかでまる一 ....
月が眼の見えない日
紙の欠片が寝返りをうつと
月の手からこぼれ落ち
ゆらり、ゆらり空に泳ぐ
慈愛の翼に煽られては
喜び香る
ひとひらの
さくらの花びらとなり
情熱の翼に煽ら ....
私はベルトコンベアーに乗っていた
高い天井が見える
顔を持ち上げ
ベルトコンベアーの動く先を見ると
何台もの大きな機械が一列に並んでいる
私はなす術も無く
巨大な芋虫に飲み込まれて ....
私がホームセンターで
百五円で買ってきたアリッサム
少し大きめの鉢に植え替えて
ベランダの日陰に置いた
毎朝少しずつ水をあげて
眺める
心の中で「おはよう」
少しエネルギーを貰えた気 ....
ふゆがきた
からだがさむいとき
でんきすとーぶが
あたためてくれる
こころがさむいとき
あたためてくれる
すとーぶ
うってませんか
そうですか
うってない ....
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