ひとつの
あいまいな

それでも
確かに
ちいさな明かりに
包まれていた


吸い込んだ潮風が
いつの間にか
冷ややかで
胸いっぱいに
広がるから

{引用=もう少し
 ....
いのち

ちいさな

いのちが

受け継がれていく


まぶしい朝日
小鳥のさえずりが
まだ眠っているカラダに
呼びかける

食卓につき
そっと目を閉じると
広がる世界 ....
むせ返る
暑風に運ばれる
火薬の 
あの夏のにおいが
けむたくて
目を伏せてしまいそうなほど

短い季節の 
そのページがまぶしくて
栞もはさまず
本をとじた


夏の
暗 ....
{引用=月夜の{ルビ泡沫=うたかた}
ひらいた辞書に
針をおとす}

夜の端を
そっとめくると
月は
その裏側で
輪郭をにじませる

言の葉は
月影を背負い
蝉時雨の風と
果 ....
水たまりをこえて
スキップ/ステップ
ちいさな虹が
雨あがりの足のした
まあるく架かる

地球を蹴って
スキップ/ステップ
みずいろのドロップ
ほおばって
たかくたかく
大気圏を ....
はじめは
音もなくただ
切り取られた絵を
見ているようだった

気付けば
あたりいちめん
降り続いていた
ほそく長い銀色の

むせ返す空気を
土に
留めておくように


 ....
 {引用=見上げた空のたかさを
  とおく 感じて}

皮膚はまるで
とうめいなガラスのようだった
ふりそそぐひかりを
全身で吸収していく


こころに咲いた
まだせかいを
知ら ....
どうして伝えたいんだろうね
未来は
自分の中にある


それは一瞬
輝いていた星砂、だったから
{ルビ現在=いま}に立っていても
ときどき砂にまぎれて
きらきらと見えてしまう

 ....
ことばの森の中
今日も歩き続ける

迷い込んだ
ずっと奥深く
流れていく
ささやかな小川は
さら さら と
どこに
流れ着くのだろう

ことば
それはただの
ツールにすぎない ....
淡いブルーの
ツメを乾かしたら
出かけよう
サンダルをはいて
軽やかに
白いプリーツを
ひるがえす


出会いはいつも自由


風を探しに
電車に乗って
どこまで行こう
 ....
とおくで声を聞いた、
少しだけ厚い雲の下
足を止めその先を探す

   *

意味なんてなかった
ただ身体が伝えようと
やわらかな 部分に


{引用=ずっとずっと、とおくにいる ....
{引用=(身体がふたたび目覚めはじめる)}

窓の内側
さわやかな風が
やわらかいレースの
カーテンをひるがえす
初夏のひかりが
まぶしすぎた

屋根の上
反射する水面の
ゆれる ....
静かな夜に
とけ込むのは
喉を鳴らして
響く声

追憶の波際で
鳴り響いては
なんとか
つなぎとめている

窓から見上げた空
あの星に
届きそうもない距離を思い
見上げた角度 ....
見上げた空から
はらはら 葉が
ながれていた

なみだ、かと思った
それは
落ちていたのではなく
夕暮れの空
まっすぐいちれつに
ならんで昇っていた


りょうてから
ふわり ....
{ルビ人気=ひとけ}の少ない
菜の花ロード
あなたと肩を並べ
静かに歩き始める

記憶の隅っこを
居場所に選んだ
幼い記憶をたどって

とおくとおく
忘れてはいけない

ささい ....
花火 のよう
ではなかった
燃え上がった炎

お互いのいのちを
内側から削り合って
混ぜ合わせた粉に
火矢を放つ

一瞬の火花の中
求め合い
探り合う 
薄い皮膚だけ保たれて
 ....
閉ざされた想い
祈り合わせた手から
こぼれ落ちた
二枚貝

黄金色
さざめく波に乗せて
あらゆる方向から放たれる光の線を
波には乗らず
その透明さを感じながら
髪をなびかせ
駆け抜ける

ひたいの汗
ぎゅっと握りしめた手からは
こぼれ落ちそうな
ちいさな希望のかけら
 ....
音の高さ

まわりの人たちが聴いたとして

その範囲内の

微妙なずれ、は

気付かない

気にしない

音の高低


ときどき

気付かないふり
元気ですか、で始まり
元気ですか、で終わる
始まりと終わりが手をつないで
ぐるぐる回りだす
後ろの正面だあれ

立ち止まると
旅人が集う酒場で
ときどき
伝説になった君の
噂話を聞 ....
いちばんはじめに遡ったとして
今までずっと片すみに
咲いていたのだろうか

つりがねが揺れるたび
薄皮は内側から剥がされ
はら はら
こぼれ落ちる

ただ見つめる
伸ばした手で何も ....
いっそこのまま
身体ごと
海の果てまで

落ちゆく夕日
きらめく波に
目を細め
静かに
銀の砂浜
立ちつくす

心だけ奪われた
もうすでに消えそうな私は

水平線の向こう
 ....
君の、記憶の色をたどり始める


少し暖かくなってきたね、と
それでもふたり半分ずつ
かさなりあって歩いた

はや足のきみに
半歩だけ遅れる、わたし

つないだ手と手


暖 ....
打ち寄せる波が
群青色の夜に輝く頃
誰かが届けた二枚貝


時を刻み

異国の景色を

映し出す
頼りなく緩やかに
指し示した指先から
また、ひとつ
こぼれ落ちる

まるで
時間をかけて浮かび上がる
あぶり絵のよう

そっとのぞき込む君に
また、ひと雫
オレンジを搾る

 ....
わたしの中、唯一
開かれた小さな窓から
ぼうっと眺める

つながる点と、点たち
ペンシルが弧を描き
強弱をつけながら
行き先を定める

それは幾重にも覆われ
その鼓動さえも

 ....
もうすでに
切ったはずのスイッチ
なのにまだ
じわじわと温め続ける

あの時この手で
切ったはずのスイッチ
なのにまだ
どこか心の奥の方で

このまま
切れたスイッチのまま
も ....
霧立ちこめる
蒼白い朝もやの中
ぼんやり浮かび上がる
朱色の門

奇跡的に護られたという
幾年もの時代
立ち続け
幾人もの人々を
見送った

陽はゆるやかに昇り
山々を包み込む ....
今まで歩いてきた道のりは
華々しいことなんか
なんにもなくて

ずっと思い描いていた
理想の自分
それは、もっと


でも
そうやって歩いてきた道のりが
わたしそのものなんだ、と ....
終わりでも
始まりでもなく
ただ

膨らんだシャボン玉が
ストローから
離れるか
離れないか

そんな感じ


だから私は
ちょっとした揺れを
感じながら

静かに
 ....
こゆり(59)
タイトル カテゴリ Point 日付
波打ち際の自由詩6*08/9/28 9:29
ちいさな輝き自由詩5*08/8/24 14:05
夏夜自由詩5*08/8/16 13:01
月と夜の森自由詩13*08/7/30 21:04
フリスビーを追って自由詩9*08/7/3 0:33
銀の針のような雨が自由詩8*08/6/22 11:34
こころに写る空の色自由詩8*08/6/11 16:27
砂時計自由詩4*08/6/11 15:54
アリス自由詩16*08/6/1 10:19
風がやさしくキスをする自由詩6*08/5/23 23:20
ひみつの散歩道自由詩9*08/5/15 20:43
青の深呼吸自由詩15*08/5/6 15:27
未完成のアンサンブル自由詩9*08/5/4 19:54
空はわたしを抱く自由詩20*08/4/27 11:35
私からあなたへ自由詩9*08/4/22 23:06
マグネシウム自由詩7*08/4/20 19:07
流された貝自由詩6*08/4/18 22:42
わたしマラソン自由詩5*08/4/18 17:30
チューニング携帯写真+ ...4*08/4/17 21:18
既視感自由詩4*08/4/15 20:10
ジキタリス自由詩4*08/4/12 20:38
潮騒自由詩11*08/4/6 20:52
桜、道しるべ自由詩9*08/4/2 16:29
異国の貝自由詩10*08/3/30 10:48
オレンジ自由詩3*08/3/28 23:14
わたしステーション自由詩8*08/3/25 9:37
温かい場所携帯写真+ ...6*08/3/23 11:55
見送りの門自由詩6*08/3/22 7:48
わたし歴史館自由詩6*08/3/21 11:37
流れゆく日々自由詩4*08/3/20 10:41

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