昨日まで
温もりを感じた父の身体

今日になって
冷めかけのお茶よりもぬるくなる。

一昨日まで
温もりを感じた父の身体

今日になって
明け方のこたつよりもぬるくなる。

三 ....
父の衣服が
風も無いのに揺れだした。

一人でうずくまる東京のアパートで。

死の間際
僅かな体力と精神力を右手に込めて
「お父ちゃん。お父ちゃん。」と呼ぶ娘たちの両手を
ほんの少しず ....
雪が解けた、駒ケ岳の峰。

麓に向かい、流れてゆく水が
悲しみも流してゆく。

不意に通り過ぎた突風が
父からの「がんばれよ。」にも聞こえたようで

南の方角に手を振った。

(生 ....
お別れの言葉

お父さん。おとうさん。
お別れの言葉と言われても、何を書いたらいいのか解かりません。
かといって、等おじさんの様に感謝と思い出を素直に綴ったものを書くことすら出来ません。
だ ....
父の祭壇の後ろに回りこみ
白い布の結び目をほどき
小さなロケットの中に1・2本の欠片を入れた。

「ごめんなさい。ごめんなさい。お父さんごめんなさい。」

近くに居て欲しいと願い
いたず ....
最後を惜しみながら、父の顔に手を置いた。

最後を惜しみながら、閉じた瞼と睫毛に触れた。

最後を惜しみながら、聞こえるであろうはずの耳に話し掛けた。

最後を惜しみながら、車を見送り
 ....
カランカラン・・・・。と、骨が笑う。
カランカラン・・・・。と、骨が笑う。

「それは父がよこした、私への返事。」

問いかけても
話しかけても

手のひらに置いた骨を握り締めても
 ....
気持ちを、大きく放つ。

砲台を唇に

爆弾代わりの言葉をセットして。

(囁いて・問いかけて・叫んで・・・・。)

零れ落ちる感情を

受け止め切ることが出来ない。

あなた ....
物を落とした日

探しても見つからないと

諦めて無かった事にした。

(心の針を一巻きして、出会う前の私に戻ってゆく・・・・。)

顔と名前がちぐはぐで

「あなた、誰?」すらも ....
死を待つ女が一人

手を組んでいる。

これまでの歩みと

関わった人々に感謝を表すかのように。

父が死んだ日は声を殺し

読経が響く斎場の前列で

ひたすらに泣いた。

 ....
名前を呼ぶのは、心を満たしたいと願うから。

前を行く背中が遠くに見えて、少しだけでも触れたいと伸ばす手が無意識に振りほどかれて行く。

「居なくなってからでは、もう遅い。」

しゃり…。 ....
(傷口が、膿み始めた。)
誰にも見えない六畳間で。

山盛りの塗り薬をこぼしながら
ぺたぺたと肌に塗っている。

(傷口が、泣き出した。)
細く赤い線を描きながら。

「 ....
ぽつん・・・・。ぽつん・・・・。ぽつん・・・・。

ダイニングテーブルに、私ひとり。

ぽつん・・・・。ぽつん・・・・。ぽつん・・・・。

時刻は、夜20;00過ぎ。

硬くなった肉を ....
何かあれば心で語りかけ

父の姿を探すようになった。

残された教えを守り

地道に生きよう。と

父に感謝をするようになった。

(死にたい。死のう。)と思い始めたとき

父 ....
「それは、違う。」と

言いかけた・・・・。

「それは、違う。」と

遮った・・・・。

「それは、違う。」と

平手打ちをした・・・・。

「めんどうくさい。」と言われたら ....
あなたが好きだったものを食べるとき

こけた頬の凹凸と

「水が飲みたい。水が飲みたい。」と

湯飲みを差し出した事を思い出します。

「いただきます。」と手を合わせ

皿の上のも ....
父の額に手を置いて

硬く冷たい頬をなでながら

最後の言葉を贈る。

「ありがとう、お父ちゃん。ありがとう。。。

次もまた、お父ちゃんの子供に生まれたいなあ・・・・。」

風に ....
はらはらと舞うぼたん雪は

遺された女たちを労わるように包み込む。

「パーッパッパー。」と高らかになる霊柩車のクラクション。

それは多分

物言わぬ父が告げたさようなら。

白 ....
温かな人肌が

冷たく・硬くなっても

置いた手の感覚が無くなりそうになっても

その場から離れることは出来ない・・・・。

(あったかいなあ。お父ちゃん・・・・あったかいなあ・・・・ ....
開かれた扉と
銀の台に置かれた白い破片。

崩れながらも形を残すそれは
熱い熱いと焼かれていった
愛する父の姿であります。

「お父ちゃん、お帰り・・・・。熱かったねえ・・・・。」

 ....
誰かの心に寄り添って

ただ

静かに手を握ろう・・・・。

ほんの少しだけ立ち止まり

ひとまわりした視界の先で

こぼれた涙を見たならば・・・・。

「声を聞いて欲しい。声 ....
千切れた身体を引きずり

たどり着いた場所で

残った肉体を地中に埋めた。

遠くで呼んでいたはずの名前は聞こえなくなり

冷たい空気の元

よりよく澄んだ空を眺め

静かにた ....
子供と呼ぶには

失礼だと感じ取った。

突き放してしまうのは

しこりが残るほど何かが重い。

抱きしめたいとは思っていても

震える両手はそれを許さない。

まっすぐな心を ....
綺麗なものが見たいと呟いて

角っこの先を歩いてみたくなった。

(観たいものが見えるまで、心を空にして彷徨うがいい。)

足は

石畳の階段を

アスレチックみたいに飛び跳ねる。 ....
別れる時に辛いのなら

一歩下がればよいのだろうか・・・・?

(軽やかに舞う身体。)

(杖に支えられる身体。)

相反する二人が

「さようなら・・・・。」と

呟いた。
 ....
人との繋がりが失われたとき

まず自らを責めなくてはなりません。。

(返答の無いメール/繋がらない電話。)

ー指先だけの関係に、求めるものは無いー

苦しみ

耐え抜き

 ....
「もうすぐです。その日が、来るのかも知れない・・・・。」

(あと、5年です・・・・。)と言われたけれど

2倍の10年目になります。

正面を向いた顔が髑髏に見えて

ぞっとしました ....
心を

言葉に託すのだ・・・・。

限られた時間を

色濃くする為に・・・・。

ただ一言

「すき。」を伝えてゆこう。

たった2文字のひらがなで

誰かが幸せになるよう ....
電池パックの裏蓋に写真を貼り付けて
心に姿を浮かべながら
身体の代わりに携帯電話を抱きしめる。。

コピー詩集を携えて
下町の路地を歩けば

スカイツリーによじ登り
ひしめく街並みの中 ....
泣くまい泣くまいと

ねじ込みを覚えだした時

泣くという行為の存在を

少しずつ忘れようとしたらしい・・・・。

細くなった父の手を握り返し

「ありがとう。」の一言を伝えたら
 ....
梓ゆい(388)
タイトル カテゴリ Point 日付
今日になって。自由詩215/3/2 15:11
形見。自由詩415/2/28 15:29
月命日。自由詩415/2/27 22:42
お別れの言葉。散文(批評 ...115/2/27 22:19
49日。自由詩315/2/24 18:23
惜しみながら。自由詩315/2/24 3:17
手のひら。自由詩215/2/23 19:19
○○。自由詩215/2/13 18:52
封印。自由詩015/2/13 18:50
死の間際。自由詩215/2/13 18:49
リセットボタン自由詩215/2/11 21:55
塗り薬。自由詩115/2/8 1:19
ごはん。自由詩215/2/7 22:58
よちよち歩き。自由詩115/2/7 22:21
反抗。自由詩215/2/3 8:57
いただきます。自由詩315/2/3 8:42
ありがとう。自由詩715/2/3 2:18
お見送り。自由詩215/1/23 22:44
ひとねむり。自由詩215/1/23 4:47
白い破片。自由詩215/1/22 17:51
無音。自由詩115/1/12 23:50
去り際。自由詩115/1/12 5:01
天秤。自由詩015/1/11 21:32
みちくさ。自由詩014/12/29 8:26
ゆらぎ。自由詩014/12/24 22:37
懺悔。自由詩014/12/8 1:50
無題。自由詩014/12/7 23:43
光沢。自由詩1*14/12/7 23:12
願いごと。自由詩3*14/11/30 4:18
無題。自由詩214/11/24 13:55

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