瞳の湖には魚が住んでいる
普段はのん気に暮らしているが
ときどき湖が氾濫して
涙の滝となりそんな時には
湖から流れ落ちぬよう
人知れず遡上しているのだ
この事実は案外知られていない
つら ....
あの日の雨は
小さな川になりました
ときどき私はその川へ行き
釣りをします
ときどき私はその川で
見たこともない美しい
小さな魚を釣ります
私は家の水槽で
その魚を飼います
しかしな ....
ものがあふれている
それらを所有しようとは思わない
ものがあふれている
それらは心を満たさない

田舎にひっこんで
つつましく暮らし
ものがあふれている都会に
ときどき遊びにくれば
 ....
いろんなひとの
いろんな種類の
いろんな引力にひっぱられ
自分が自分でなくなってゆく
からだの底深く私は
コアに力をこめて
自分が自分であろうとする
なつかしい
あの日の朝を
少し色褪せた
あの日の朝を
キャンバスに
あざやかに
描いたような朝
鳥の声だけが
あの日のままの
言うに言えないことがあって
親友たちに相談しても
そのひとことだけが言えなくて
言えるとしたら
その相手とはすなわち
あなたではない誰か

そっちに行くのはめんどうで
それでも行きたい ....
恋をしているひとは
強い匂いを発している

ところが
恋をしているはずなのに
匂いを発しないひとも稀にいる

心のどこかに多少嘘があるとか
思った以上に相手に正直になれていないとか
 ....
軽い気持ちで家出して
ほんの少しだけ楽しんで
それだけだったのに
帰るに帰れなくなって

あの家に帰りたい
今すぐ帰りたい
父の厳しさと
母の愛が待つ家に

などという昔の歌のBG ....
今夜は
さらに遠く
水の音も
ガラスに砕け
落ちて
また落ちて
雨のむこう
古家の奥から
弱い風の声
待っている
ほおずきの頬
待っている
遠まわりの道
破れたページに
隠 ....
友達になろうと言う前に
もう友達になってる

デートしようと言う前に
もうデートしてる

つきあおうと言う前に
もうつきあってる

セックスしようと言う前に
もうセックスしてる
 ....
思い出の糸を手繰り寄せる

思い出の数だけ増えた糸は
今や無数にあるけれども

手繰り寄せる糸の手応えは
どれもあきれるほど弱く

数だけが増えた思い出の糸

これだけの思い出が
 ....
それは夢ではなく
暗闇の中ひとりベッドの上で涙してる自分を
俯瞰から眺めてるデジャブ

突然ひらりとベッドの上から
蝶のように鏡台の前に舞い降りてみて
かみそりを手首にぴたりと当ててみるフ ....
道ばたに咲く美しい花を見て、
ああ、きれいね、
とだけ思えばいいのに、
なぜぼくはわざわざ、
その花をもぎとり、
家に持ち帰り、
花瓶にさし、
自分のものにしようとするのだろう。

 ....
雨が降ると誰かが
迎えに来てくれるような
気持ちになります

傘を持っていないふりをして
しばらく軒下に立ってたら
偶然あなたはあらわれました

雨、ありがとう。
照明をを落とした夜のワンルーム

音を消したテレビが無機質に
目の前の裸体を点滅させている

果実から流れ落ちて乾いた液体の匂い

ワンルームの部屋中に充満し
くちのまわりには
唾液 ....
ひとは誰かと接しながら
頭の中のキャンバスのようなものに
相手の絵を描いているようなところがないだろうか

デッサンがうまくいかなくて
何度も何度も描き直し苦心している絵

とりあえずの ....
仕事ばかりしていると
季節を知るどころではない

ネットで世界のすべてを
知ったような顔していても
お得意さんと話して
業界のすべてを
知ったような顔していても
僕はなにひとつ
わか ....
コーヒーとミルクを混ぜると
カフェ・オ・レになる

コーヒーだけでは味わえない
ミルクだけでも味わえない
おいしい飲み物になる

カフェ・オ・レを
コーヒーとミルクに分けるには
化学 ....
その日
少女はふられた

暮れ泥む夕日に背を向けて

永遠であるはずの
太陽の時代の終焉に
背を向けるように

湖を前に立ち

鏡の静かな凪の湖に
少女の影
日がしずむほど
 ....
懐かしい春の匂いと君の顔 はじめて会った
気がしないのは
なぜだろう

やさしいまなざし
知っているのは
なぜだろう

話しながら左手を右手で
撫でる癖を知っているのは
なぜだろう

その手のぬくもりに ....
小川 葉(1581)
タイトル カテゴリ Point 日付
遡上自由詩7*07/4/30 0:33
自由詩707/4/29 17:13
もの自由詩207/4/29 6:17
惑星自由詩307/4/28 16:18
自由詩407/4/28 1:38
春の種自由詩307/4/27 0:08
匂い自由詩807/4/26 1:23
家出自由詩307/4/25 5:07
遠まわり自由詩207/4/23 23:09
言う前に自由詩5*07/4/22 21:41
自由詩3*07/4/22 19:56
ブランコ自由詩3*07/4/22 2:32
花、さようなら自由詩4*07/4/21 18:21
自由詩10*07/4/21 14:30
ベランダ自由詩3*07/4/21 1:19
画廊自由詩2*07/4/20 0:45
まぶしさ自由詩3*07/4/18 1:40
カフェ・オ・レ自由詩3*07/4/18 0:29
凪の湖に自由詩0*07/4/16 23:30
俳句2*07/4/15 22:59
初対面自由詩7*07/4/15 22:20

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