かしましい
と、鼻で笑うか。
構ったことじゃない。
一羽の兎が駆けるのよ。
雪肌の兎が跳ねるのよ。
あちらからこちらへ。
こちらからあちらへ。
草原を鳴らせ。
きゃ ....
心ひとつに見る夢が
叶わず
今日 も
空
中
遊
....
白と黒の狭間で
{ルビ女郎花=をみなへし} 一輪 揺るぐ
その花
は
強いらしいので
ぼくは
ぼんやり見つめるだけです
忍び寄る夜 ....
ほかほか陽気の午後
誰かの肩に寄り掛かりたいような
一人きりでぼんやり過ごしたいような
暖かくて穏やかな日曜日
― 夢心地 ―
はたはた揺らめく洗濯物
待ち侘びた春到 ....
雨粒
ぱく り
うんと高いビルの一番上のレストランなんかより
うんと美味しいって知ってる?
食べつくせ
食べつくせ
七色が
ごちそうさまの合図
食べつくせ
食べつ ....
流れる車両に身を委ねて
世界に逆らって辿り着いた駅は
{ルビ鈍色=にびいろ}
還る人々に身を溶かして
改札を一歩 踏み出した途端に
{ルビ冷雨=ひやあめ}
いつからか
....
後姿を追いかけて
雑木林を抜けると
ほのか温もる世界
君が道しるべ
並んで見下ろした昨日は
水面が揺らめくように瞬く
ふたりで夢をみた。
からだ寄せて ....
混じり気なく、青
淡い空
閉じ込められた真白い下弦の月は
青が滲んで
あたしとおんなじ
空模様
昨日まで
が
{ルビ花氷=はなごおり}のように
硬く
わだかまった
かのように
感じても
やわらかく
まるく
溶けていくから
温かく ....
クックー
クックー
どこかではとがないたね。
クックー
クックー
おなかがすいたのかしら?
クックー
クックー
あたしには ....
いま何処に居るの、と
夢枕
教えてはくれないでしょう
窓の向こう
{ルビ東雲色=しののめいろ}に染まる前に
君に逢えるとは
決して夢にも思いませんが
ほろ苦い恋の香りに酔いしれる
今夜限りの甘い夢だけは
温もりに
ささやきに
夢中だった
オリオンの瞬きにも気付かず
君ばかりを見ていた
元気にしていますか?
仕事に慣れてい ....
{ルビ薄紅=うすくれない}のコスモス
花びらを摘まんだ
すき きらい すき きらい
{ルビ幼心=おさなごころ}が色めいて
スカートが揺れると陽が射した
庭のブランコ
ぎい、 ....
下らない嘘に心を乱す僕 もうそれ以上笑わないでよ
もういいや だってコーヒー冷めちゃうし。あの日の指きり果たせなくても
{ルビ如何許=いかばか}り請ひても君が言の葉に {ルビ真=まこと} ....
なびく髪に右手をかけて
岸壁で揺れる君
大丈夫よ、と言う声が
気のせいじゃなくて
確かに震えていた
けれども
僕は知らない振りを決め込んで
安堵のため息を漏らしてみせる
....
なんだか少し、変なかんじ。
君はもう少し、冷たいし。
でも、
上手く出来なくていい。
甘えておけばいい。
でも、
微笑んで見つめられるほど
あたし ....
佇みし
紅に身を寄す
我が心
幼き頃より
君は山茶花
鼻に凍みる空気の中に
佇む影、ふたつ
白く滲む息の向うに
浮かぶ紅、むっつ
それはいつかの如月
{ルビ山茶花=さざんか}の咲く、如月
古ぼけた色
懐かしい香
記憶を焦がすのは
揺れる翠緑
透ける群青
舞い上がれ、白々たる雲
―君の後姿を追ったあの日―
ただ甘さに酔っただけ
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