戦士は傷ついていた
胸に深い傷を負っていた
傷口から溢れる透明の血には
誰ひとり気づかなかった
時が経ち
傷は癒えたかのようだった
時々傷跡の奥深くがじりじりと痛む ....
「元気がないね、どうしたの?」
って、たったひとことが欲しかったのだと思う。
私は幼いままに、日常の緊張や苛立ちを吐き出した。
そのたびに同じように
緊張を
苛立ちを
募らせた。
....
ちいさい頃の憧れは、特別な雰囲気で語り合うおとなたち
おいしいご馳走に夢中なふりして盗み見た、心底楽しそうな笑顔
何が楽しいのかは、これっぽっちもわからなかったけど
あれから何度も繰り返す
....
黒い海の渦の中みたいに
一生抜け出せない気がしてしようがない夜
ごめんね
どうしたらいいの?
そんなの、僕が聞きたい
痛みを忘れるためには
より大きな痛みが必要だというね
....
しあわせ は
たぶんきっと飴色で
涙かでるほど甘いものでしょう?
なんども見逃してきた、と思うので
どういうものか とか
どうやったらなれるのか とか
教科書にのっ ....
愛
希望
絆
優しさ
そんなものはクソクラエ
君の涙
僕の未来
ひとつのこらずヤミノナカ
傷をつける方と
傷を受け ....
一面の青と青と青
どこまでも広がるそれに
羊たちが跳ねる
迷える僕らは
それでもただ夢中になって跳ねる
最終目標とか
そんなものはなくて
すべてを越え ....
まぶたを落として
眠りにつくまでの間
平凡な今日のこと
それから
ほんの少し明日のことを
考える
カレンが歌っていた
「雨の日と月曜日はゆううつだわ」 ....
ごめん と、君が言う
おなかのあたりがきゅうとなって
こっちこそごめん と、思う
その言葉は
おなかの中でドロドロに溶けて
体中をめぐる
ときどぎ色のない涙となって
....
駆け抜ける山道
懐かしい光を脇目に
稲穂の黄は柔く
木々の緑は深く
雲の白は遥か
空の青は澄んで
過ぎ去った日々の美しさに
胸がつまる
そしてまた駆け抜ける
....
人は誰しも悲しい過去を抱えて大人になる
被害者意識は膨らんで 膨らんで
引きずられた幼い日々は忌むべき記憶
それはそれは鮮やかに
今は嘘と真の境も見えない
....
新しい一年の目標は 少しずつでも成長することだった
望まなかった
それなのに
流れゆく
移りゆく
包まれて身動きひとつ とれず
見えない力にただ苛立ち
こ ....
+桃色檸檬+
辛いもの好きだけれど激辛を中辛と言えないあたしは甘い女
左胸青と赤が輝くくせに澄ました顔でピンクレモネード
+泡沫檸檬+
ビーフカレー当然のように辛口な ....
手の平
すり抜けて
失ったもの
ひとつ
ふたつ
いくつ
手の平
合わせて
守ったもの
ほんの
かすか
わずか
最後の夢見 ....
ぼくは 最後のヒーローになる
剣も盾もいらない
魔法なんて使えなくていい
救いたいのは 一輪の野の花
救えるのは 一輪の野の花
君が{ルビ咲=わら}ったその時
ぼ ....
小指と小指を結んで
二人は一羽になった
風を切って越えたかった
孤独という時間
失ったことなどない、と
いつしか
可笑しな錯覚に囚われて
七色の丘は見逃したのだろうか
....
変わらなことへの怒り
やり場がないから丸めて食べた。
ちっともおいしくなくて
涙がポロポロでたんだ。
氷を3つ浮かべたグリーンティ
涙 ....
夜空の真ん中に浮かぶ月のように、きれいな顔。
ちいさくて
ちいさくて
ちいさくて
ちいさくて
ちいさくて
死んでるの?ほんとうに?
写真を見なかったら、記憶とは重ならなかった。
....
胸を焦がす通い路に
記憶が潤う水無月の
雨を追って滴るは
留められぬ水晶の
溢れて已まぬ隠恋慕
君を想おう
いついつまでも
はじめての
「好きです」
見下ろした世界は温かくて
零れた
寄り添う最後の波は
引いて
見えなくなる
けれど
強く
強く焼き付けた
見上 ....
心呼吸
嵐前夜の群青に染まる午前七時
「めげない。」
と誓う
トンボ玉 八つ
転がって描く
虹色の軌跡
もろくて
たくましい
トンボ玉 八つ
ふ と
交わる明日模様
終わらない
明日へ
今 ....
影を追った 皐月
梅雨はまだ来ないね
もう一度 駆け出して
もういいかい
翳りの無いコンクリートは
熱に浮かされて
揺れる
霞む影
まあだだよ
幻に ....
つつじよ つつじ
覚えていますか
あの子も まだ ななつ
指切りの 次に 甘い蜜
目覚めるほどに あか
明日は
見惚れるほどに もも
どうし ....
夜空に{ルビ創=キズ}をつけたのは誰
遠く西の果てに
冷えた白銀の
夜空に{ルビ創=キズ}をつけたのは誰
眩暈に頭を揺らしながら
川縁が
薄く紫黒に滲みる間に
辿れば
....
山の端に
射しかかる
大粒の茜雫
沈んでゆくのでしょう
と
想像は燃える
しゅう と
空気を震わせて
跡形もなく茜雫
山の端に
滲み込んでゆきました
泣きたい
を
こらえて
袖を惹いた
仕合せ
が
霞んでゆくから
千切れる想い
影に溶かして
あとどれくらい
幻の傍で
さくらんぼ
さくらんぼ
いつ実る
さくらんぼ
さくらんぼ
はらはら花びら風となる
さくらんぼ
さくらんぼ
そろそろ涙も河となる
さくらんぼ
さくらんぼ
....
淡紅が揺れるから心が騒ぐ
フェンス越しの桜並木
隙間から覗くと学び舎が重なって
霞む
春の魔法にかかった
お別れはずいぶん昔に済ませたのに
世界が淡紅一色に染まる頃
すれ違った昇 ....
びいどろの中でしか生きられぬ
無縫の衣
纏い
舞う
御姿 艶めかし
ゆるり
ゆらる
煙管より一燻
放ち
湿る
御御脚 い ....
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