終電のすいてる車内の空席に 
リュックサックを放り投げ 
{ルビ転寝=うたたね}をする僕に 

(ちょっと・・・邪魔)と言い 
わざわざリュックをどけて座り 
{ルビ草臥=くたび}れスーツ ....
車椅子のお婆ちゃんの 
トイレ介助にゆこうとしたら 
誕生会の司会者さんに 
(ひとことを・・・)と呼び出され 
お婆ちゃんは同僚にまかせて 
会場に向かってわたしは走っていったのです 
 ....
らんぷの灯の下で
古書を開く深夜のひと時 

遠い過去から 
著者のたましいが 
私にそっと、語りかける。 

いのちの宿る一行に 
無心で引いてゆく線は 
宇宙を貫く、流星です 
 ....
かけがえのない友が
生きる場を失い 
追い詰められてゆく 

無慈悲な社会の偶像に 
人波の渦の中で立ち尽くす僕は 
只、拳を握り締めている。 

君に電話するといつも   ....
休憩室の入口に 
逆さに置かれた、左右の靴。 

すれ違いそうになりながら 
互いは離れられないように 
日向で{ルビ時間=とき}を、止めていた。 

(ひとりっきりの靴ほど 
 寂し ....
「 赤イ羽根共同募金ノ御協力、オ願イイタシマス 」 
後輩ふたりを左右に、僕はまん中で募金箱を首から下げて 
通り過ぎゆく人々の誰かの胸へ、ひとつの声が届くよう 
道化のふりした明るさで、一心に ....
僕が司会する「ぽえとりー劇場」という 
詩の夜で毎回ふるすいんぐする4番打者の存在感で 
波乱万丈の人生と難聴障害もろともせずにはね飛ばし 
今日という日の舞台に上がる、詩人・TASKEは ....
「コシヒカリ」の袋を抱え 
{ルビ米櫃=こめびつ}の入口へ、ざああああ 
と無数の米粒を流しこむ 

その音を聞いてるうちに 
無数の米粒の一つ一つに 
無数の顔が浮かび上がり 
ふたつ ....
故郷の坂道を曲がりくねって下る途中で 
あの日の野球少年達が歓声を上げていた 
懐かしい公園が、見えて来る。 

場所取りで他校の生徒と 
取っ組みあいの喧嘩になった 
乱闘事件を思い出す ....
夕暮れの食品売場で 
偶然、2年前に他界した 
認知症の婆ちゃんの、嫁さんに会った。 

「あの・・・デイサービスのはっとりです」 
「あら・・・私達とっても感謝してますよ」 
「いえいえ ....
つくし等は、地面に並び 
風に身をしならせ 
世界をすっぽり包む 
まあるい空を、仰いでいる。 

( 独りだけがこちらを向いて 
  僕に何かを、云っている ) 

風の行方をからだ ....
無人の霊園に吹き抜ける
夕暮れの風を頬に受けて  
墓石の下に隠れた祖母に 
両手を、合わせる。  

背後を振り返り 
見渡す故郷の山々に 
あの頃よりも増えた家々は埋もれ ....
夜の公園で座敷を広げ 
若者達は楽しげに 
互いの盃を、交わしてた。 

「あ」 

ひとりが真っ赤な顔で立ちあがり 
いつのまにか、山間に 
ひょっこり顔を出していた 
まあるい月 ....
わたしの好む世界は 
少々浮世を、離れています。 

月の世界に住んでた頃の 
懐かしい夢を今も時折見るのです  
月の地上の遠い夜から 
宇宙にぽつんと浮いている 
青い惑星を眺めては ....
たとえばCafeのテーブルで 
頬杖をつくひと時 
ふいに美しい夜想曲が聞こえて来るように 
哀しみのゆくえなど 
何処かへ流れてゆけばいい 

たとえばCafeのテーブルで   ....
受けたくもない 
カイゴフクシシの書類に貼る 
証明写真を撮るために 
3分写真の小部屋に、入る。 

頭と顎を 
正面に映る自画像の 
上と下の曲線に嵌めて 
にぃっと一人、笑ってみ ....
私という一艘の船は、ふたたび羅針盤の針を航路に向けるか? 
心の空には、あの遠い記憶の鶴が舞い戻って来るか? 
風の唄声は、幾重もの{ルビ小波=さざなみ}の上を息吹くか? 
深い海から吸い寄せら ....
 皆さんこんにちは。昨日は少々仕事にくたびれて?僕は相も変わらず街をふらふらしつつ、先ほど自宅に帰って来ました。窓の外では蝉がじいじい鳴いており、僕の背後で首を振る扇風機が、風を送ってくれています。先 ....  この数日間、僕は東京に所用があり、一人の時間はぶらぶらと気の向くままに、都内を歩いていました。数日間の休みの間に僕が心温まった「ちょっといい話」を、旅の便りのように皆様に贈るのもいいかなと思い、この .... (その悲劇は約ひと月前・・・
 マイクの電地を交換しようと思い 
 なぜかマイクの頭をこじ開けた時、
 配線をぶっちぎった事から始まったのであ〜る) 


お年寄りのゲームの司会で 
お ....
 今晩は。久しぶりの開口一番、とてもいい雰囲気で、嬉しいです。えぇ〜・・・(ギターの方は)お名前何でしたっけ?〜「○○です」〜あぁそうですか、○○さん、BGMの演奏は、どんな注文を出してもいいんですよ .... ドアを開いて休憩室に入れば 
あちらこちらに、誰かの靴が 
散らばっている。 

人々の足並みを揃えるのは、難しい 

僕の小さいこの手では 
無数の靴の転がりを 
とっても整列できな ....
雨が降ってきたので 
ビニール傘を開いたら 
突風が吹いて 
傘が捲り上がりそうなところで 
むむっと踏んばり、持ち直した。 

たとえ突風が吹こうとも 
傘の柄をがしっと持って 
自 ....
夏の夜風にあたろうと 
歩いたいつもの道影に 
黒い{ルビ塊=かたまり}が、ひとつ。 

四つん這いの蛙はぢっと 
夜闇を、睨みつけていた 

翌朝歩いた{ルビ同=おんな}じ場所に 
 ....
私は私の砲丸を 
(その重みを片手に乗せて) 
投げる事が、できるだろうか? 

今日という日を、生きるのか 
屍のように{ルビ彷徨=さまよ}うのか 
きっと二つに一つの事で 

いつ ....
風呂上がりの 
弱りきった小さいお婆さんの体を 
気の早いOさんがタオルで拭き 
気の付くMさんが傾きを支え 
気の穏かなIさんが、パンツを穿かせている。 

日頃ああでもないこうでもない ....
少々頭に来ちまった 
昨晩の 
やさぐれた日記なんぞは 
修正液でまっしろに 
消してしまえばいいのです 
暦を一枚、捲った下に 
「我事に於て後悔せず」 
と云う、宮本武蔵の一行が 
過去から語りかけていた。 

侍の幻影、目の玉を動かさず  
うらやかに 空 を観る  

暦を一枚、捲 ....
「倒れかけた鉄塔」という唄を 
口ずさんで、歩いていた。 

道の傍らに、全身は枯れながら 
太陽の顔を燃やしている 
向日葵達は 
只 
夏空を仰いで 
密かな合唱を、奏でていた。  ....
旅人は路地裏に入り 
とあるギャラリーの戸を開いた 

暗がりの壁に映し出された 
ノートの縦線という「牢獄」の 
内側に立つ 
ひとりの囚人の絵が 
何かを語りかけていた 

椅子 ....
服部 剛(2148)
タイトル カテゴリ Point 日付
月夜の口笛 自由詩509/10/13 19:12
はっとりんの誕生会演説ー職場の老人ホームにてー 自由詩109/10/13 18:47
らんぷの灯の下で ー深夜の読書ー 自由詩609/10/10 1:52
Protest Song 自由詩3*09/10/7 23:04
一足の靴 自由詩209/10/6 22:55
赤い羽音共同募金 自由詩5*09/10/2 1:33
TASKEさんに捧ぐ ー七転び八起き列伝ノ夜ー 自由詩209/9/24 22:41
米を、入れる。 自由詩4*09/9/22 22:25
地球という、夢 自由詩109/9/22 21:29
観音像の笑う夕暮れ 自由詩109/9/22 21:18
つくしの家族 自由詩309/9/21 21:28
夕闇の暮れる、その前に ー祖母の墓前にてー 自由詩6*09/9/17 20:22
お月見の夜 自由詩309/9/15 21:12
月の住人 自由詩109/9/15 0:16
野良犬の唄自由詩109/9/14 22:46
「 証明写真 」 自由詩209/9/9 23:04
エーゲ海 ♯1 自由詩109/9/9 22:17
今日の読書記・其ノ一 ー リルケ・小林秀雄・ヘルダーリン・西 ...散文(批評 ...4*09/9/6 15:17
喫茶さぼうるにて ー神保町探訪記ー 散文(批評 ...5+*09/9/3 1:43
マイク事件 ーはっとりんの反省文ー 自由詩4*09/9/3 0:58
開口一番での即興トークより。 散文(批評 ...209/9/1 23:03
汚れた靴 自由詩3*09/9/1 22:12
傘をひらく 自由詩3*09/8/31 16:54
蛙の亡骸 自由詩6*09/8/28 20:18
ひとつの砲丸 自由詩309/8/25 23:19
私は、見た。 自由詩6*09/8/22 21:09
やさぐれ日記 自由詩009/8/22 20:57
武蔵ノ伝言自由詩309/8/20 6:42
夏の終わり 自由詩609/8/18 20:34
囚人ノ絵 自由詩409/8/17 21:39

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