一瞬、のゆれに
目をあけると車内は
きれいに一人だった
座席という場所には
わたしひとり

ひとりのわたしが
はまりこむのは
手入れされた苔に寝転がるような
世界を一望するような
 ....
そのときが来たら
必ずいってしまう
わかっているのに
訪れるのは唐突で
待って、と言って
新芽をのばすのに
青く繁るようにと
その場をゆずられ
未熟な葉桜は枝を
ざわざわとゆらす
 ....
「休学することにしたんだって」


悩む顔も
丸めた体も
涙も

しらない

割れてるのでいいでしょ?てくれたお土産のかぼすゴーフレットしか
じゃまだといって押し退けた肉付きの ....
19歳の
尽きる気がしない
かいわ
わらいごえ
めせん

森のなかで

こういうものさ

オオカミがおなかをさする
その
おなかのなかで

こういうものなのかしら
と ....
崩れたものがあったのだとして
その日まではこうみょうに
わたしを生かしていた
 
みじかいはさみで
木工用ボンドで
十二色の絵の具で
ただつくる時間を愛する少年が

思いあたるのは
 ....
宇宙の一年草
「ネメシアシューティングスター」
画面に映る文字
からうまれたわたしだけの天体空間にあらわれる
きみはまさに綺羅の{ルビ宇宙=スペース}

気のよさそうなお姉さんに紹介される ....
りんごが落ちないように

333

くるっとおわりまで

333

何度もれんしゅう

333

りんごを入れてみようかな

るるる

りんごを落とすな

るる ....
いきぐるしさには

髪の含む人工の香りを

かすれるまで吸い込ませ

記憶がしびれるほどに


生白いわたしは

のみこまれやすいよう

出来るだけ

出来るだけたねにな ....
するするする
春をする

用水路も
ミンツも
サッカー少年も

するするする
春をする

辺縁系も
UFOも
カーリーヘアも

くるくるくる
春がくる
ベッドのへりからあおむけで見つめる
まるい蛍光灯
目を閉じて追いかける残像は
欠けたのか
届かないのか
つながらない輪の形をして

黒の中に赤く燃えて
中も外も見えないほど燃えて
そ ....
遠くからでも

やわらかい色がよく目立つ

このまままっすぐ歩けば

ふたりきりになれる

目だけが呼吸してる

吸い込まれる―


また、先を越された


彼をみあげ ....
牛乳の膜を静かに

針が飛び出しまた潜って

刺繍をクルクル繰り返す

オレンジの軌跡が寄り集まって

丸く浮かぶ

太陽の象徴みたいに


明日になると果汁が染み出し

 ....
先週末は雨だった

今朝は誰より早起きをした

窓が光るみたいに明るい

今日は春らしい陽気になるでしょう

テレビ画面にはもう成人した最高気温

卵の焼ける匂いが

部屋のく ....
「いまきたとこ。」笑って裂けた唇を何度も舌で撫ぜるチューリップ
 
 
 {ルビ辛夷=こぶし}です、わたしはずっと。咲き終わりの白木蓮じゃありません
  
 
 長身のあなたは隣にいないけ ....
わたしがメキシコへ行くのなら

まずメキシコを思います


わたしが右へ行くのなら

まず右を向いてみます



行きたいところがあるのなら

行きたいところを思います

 ....
静けさを握りつぶして
太鼓の乱打が鼓動を追い越し迫ってくる

振動
風圧
轟音

脆い胸の壁を叩いているのは
半鐘のように打ち鳴らすのは
共鳴した


生きている生きている生 ....
まっすぐ伸びた茎に
まだ開ききらない
若いガーベラ

その素直に親しみ
その芯を持て余した

ガーベラ
まぶたの間に
顕れた苦しみ
黒目を大写しにする
苦い海水のような涙
喉に ....
人が住む箱ばかりのくせに
午前一時の住宅街は
音を立てるのは容れものだけ
人の声がきこえない

公園に並ぶ枝ばかりの木は
夜空より暗く
影絵のようで
冷たい踝で立つ枝の真下は
無音だ ....
今日は月いっぺんの手作り市
作品たちがそこいらじゅうで自己主張してる
おばあちゃんにおばあちゃんに
おじいちゃんにおばちゃん
小っちゃい子から大っきい子まで
月いっぺんのお楽しみ

 そ ....
食べ物をこぼすと

 誰かが 食べたかったみたいねえ

子供のような声でいう
お母さん

あなたが
好き
いつもと変わらない椅子席で眺める
連なる街路樹
葉の不規則な動線
石畳の歩道
日の当たりは白く

珈琲の香りで縁どられた窓枠の中に
挑むような口
軽やかな髪で
無造作に過ぎる横顔
 ....
不対電子のように
喉の奥でふるえてる
飲み込んだのかは知らない
吐き出すことは許されない
飛び出し
奪い
安定しても
結局
誰かが一つなの
鬼ごっこ

生まれない
生まれない
 ....
わたしが「タバコはキライ」って知ってるあなたは

わたしが「タバコ吸う人はスキ」だとは知らない


わたしの傍からあなたが離れてく時は

だいたいタバコタイムで

あの部屋では

 ....
最近私はポエジーが生まれると
魚拓のようにポエたくをとるようになった
昔はそんな方法を思いつきもしなかったので
残せぬまま何年も過ごしてきた

ポエたくは大昔から在ったのだが
自らのポエジ ....
まだ青系の光が外を支配している
舗装したての車道
履きなれた運動靴で
全速力
走り出す
足首に感じる
くっついては押し出すように離れる
アスファルトの粘着質

足のまわりの音を掻き消 ....
根無し草は
好奇心で出来ていた
先端にとらえためづらしいものに
気ままにくっついては離れ
色んなものと親しくなった

根のある草は
彼をさびしい草だと言った
大地に根をはってこそ
 ....
空を見て落下してくる梅の匂いを名残惜しんで一歩踏出す


日が翳る誰もいない市役所の裏 目が合いひっそり笑む白牡丹


図書館のそばを過ぎる自転車のチェーンの音が時を巻き取る



 ....
その{ルビ瞳=め}には装填されたカレイドスコープ塵芥に宝箱を映しだす ぼくは大きな釜に出会った


冷たい緑色の海で




コロシアムのような釜の内側では


みんなが僕を待っているような気がした




釜の中へ


 ....
涙形たくさん流れたその夜にさみしく集まり生まれた果実


芳香と白い繊維に守られて動かずじっと傷付かずにいる


指先のぬくもりを流し込みながら少しずつでも剥いでください
ポッケ(74)
タイトル カテゴリ Point 日付
迷子自由詩2*07/4/26 19:13
いってしまう自由詩4*07/4/23 17:54
はる風自由詩4*07/4/19 20:14
ひとり自由詩3*07/4/18 22:01
少年歯自由詩3*07/4/16 16:20
シューティングスター、地上で自由詩3*07/4/14 13:08
か き か た自由詩0*07/4/12 16:46
子葉自由詩3*07/4/11 22:23
すくすく自由詩1*07/4/5 17:17
回帰自由詩6*07/4/5 0:35
この恋自由詩3*07/3/31 16:32
繍陽自由詩5*07/3/29 12:12
月曜日自由詩7*07/3/26 15:11
花三つ短歌2*07/3/26 0:28
針路自由詩4*07/3/24 9:45
燈し火自由詩4*07/3/21 20:22
ガーベラ自由詩10+*07/3/19 16:49
自由詩5*07/3/17 17:13
お祭り自由詩3*07/3/16 1:33
自由詩10*07/3/15 21:28
あの人は自由詩7*07/3/14 11:08
不対電子自由詩1*07/3/12 19:47
タバコタイム自由詩6*07/3/10 18:22
ポエたく自由詩1*07/3/10 0:20
朝の前未詩・独白3*07/3/8 14:52
根無しの実自由詩5+*07/3/5 15:04
散歩短歌1*07/3/2 19:08
宝箱短歌1*07/3/1 15:29
海で未詩・独白2*07/2/27 12:55
グレープフルーツ短歌2*07/2/24 18:14

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