灰の空が落ちてくる
はやく家へ辿りつかないと
この町の人間は残らず溶けて消えるだろう
本日の天気予報は晴れ時々劇薬です
曇天のなかに真っ赤な嘘みたいなポスト
投函口は無論赤子を拒む小 ....
両の手で抱え込んだ頭が生きているかどうか
確かめるために むに、と頬をつまんでみる。
―反応なし
つまんだ指を瞼に移動させて白目にしてみる。
―反応なし
「生きてるよ、なぁ? ....
声聞くと安心して眠くなって
電話の向こうとこっちでお互いあくび
なんかα波でてるんだよなぁって
しばし沈黙を共有
貴方が其処に生きていることを
知ることが出来るから電話が好きにな ....
稲光りから10秒以内の落雷
夥しい光 光
これは誰の罪だろうか
くるり廻る赤い傘
永遠に続く暗い日曜日
昏い世界に血みたいに赤い
赤い君の内部
世界を切り裂く ....
黒蝶の舞う白昼夢
サイレン サイレン 白い首
35ミリで愛していたいよ
世界の終わりごっこを君としながら
夜はまだ目覚めたばかりで
残像タブロイド
君を綺麗に壊したいの
怖くない
苦しくないよ
神様、ねぇ ....
一日のうちに「馬鹿」を一生分連呼したかと思えば
一晩の3/4「怖い」と脅えてすすり泣く
まったくもって理解不能な人間−自分。
カミソリより冷たく痛々しく冴えてくる頭は
どう考えたって眠れる ....
心の檻に新入りのキヲクがひとつ
不安定で今にも泣きそうな灰色のキヲク
真夜中、泣きながら作った不味いドリップコーヒー
砂糖はじゃりじゃり口のなかを汚す
熱湯注ぎながら
あーこれ頭からひっ ....
シュルレアリズムの沈む浴槽
蛇口をひねれば あの子の首は捩れて切れる
瞳のね、綺麗な子だよ 可哀想に
真紅のね、似合う柔肌だよ 気の毒に
美は死と補い合って時に共倒れするから
三月から五 ....
基本的に明日はないと思って生きてる
だから毎日いさぎよく生きてる
好きって思ったら好きって云う
キスしたいと思ったらキスする
声ききたかったら電話する
ためらっても実行する
…明日 ....
ティースプーンで幸せをひとすくい
お味は如何かしら?
きらきらスプーンの上で溶けていく優しさ
粗目の砂糖に緩火の太陽
ブルーベリィの熱い紅茶
築40年の古アパートの一室
....
溺死なんて醜いのは御免だわ
そうだね、でも
でも?
君の白い体が血に染まった湯船に浮かんでいるのは美しいな
それはどうも有難う、私も同じ意見よ けれど
けれど? ....
狭小なベッドのうえに月明かり
飲み散らかしたアルコォルの残滓
明日を闇雲に信じてやまない僕らは
同じことを考えて違う言葉を喋る
「好きだよ」
「そんなことはよく、知っているよ」
....
(傅き給え、
狂い夜の餞に)
頭上から声
頭を垂れようとしても
目を瞑るには三半規管が微弱
嗚呼
我を救うは誰ぞ
嗚呼
我を愛すは汝のみ
やさし ....
ココロから曇天が去って
次に来るのは雷雨か晴天か
分からないけれど君が好きだと唄うよ
取るに足らないこの命
ひとつきり懸けて唄うよ
ナミダから哀しみが去って
次に溢れるのは憐情か愛情か ....
白い眼帯が夜色の世界に映える。
ざぁざぁ狂い風。
外は寒いね。
ここも寒いよ。
そうだね。
そうだよ。
どちらからともなく命を込めてキス。
眼帯を嵌めた君とキスするのはなんだ ....
もう少し、
もう少しだけ此処に居させて。
君の隣りに居させて。
この夜の体温を感じさせて。
もう少し、
もう少しだけ残酷に愛して。
残酷に夢を切り刻んでしまって。
手遅れになった私を ....
明日 天気になぁれ
私に触れなくなった この冷たいてのひらも
ひかりを浴びたなら
きっとまた息をするから
明日 天気になぁれ
明日 天気になぁれ
(君がはいる箱には金平 ....
トランス トランス
理論武装はくだらない
タイムラグは暗い森のなか
赤い糸 赤い空 赤い海
トランス トランス
灰になり消えるグノーシス
君は何処へ行ってしま ....
吐き気がして目が覚める。
目覚めは無論最悪、だ。
身体が熱を持っていて体温計を手探りで探しながら思う。
こんな人間でも生きている。
熱を持っているものなぁ、この肉体が。
体内のなにか ....
食べては吐いて、を何度となく繰り返す。それなのにどうして私は尚も食べ続けるのだろう。クリームサンドのクラッカー、ピーナッツチョコレート、苺ジャムのマシュマロにチェリーコーク。袋はどれもあいていて、中身 ....
君がこの世に存在しなくなってから
今日で四年になります
朝、起きて 静かに静かに
君が横たわっていた場所にたたずんでみる
二月とは云え 雪も降る
あの日もとても寒かったよね
....
夢を見なくなる日
その日にこそ私は死ぬのだろう
泣いたりしないって
消えたりしないって
誓って
今すぐに誓って
このくちびるも
この肌もすべて
誰にも渡しはしないから
足の爪 ....
端的に云うと「死にたい」、自分嫌いも程々にしろと思うが年々酷くなり好きになれそうな気配は皆無、時間を巻き戻すことは出来ないことで、どうして私はいつもこうなんだろって嘆く 嘆く 嘆く なのに性懲りもなく ....
屈葬の密度で眠りにつく夜も
優しい体温の横で大あくびしながら起きる朝も
情緒不安定になりながらも仕事している昼も
君を染め上げるひとつの要因としての私
恐らくは
いつも化粧っ気なくてごめ ....
7並べの途中で彼が突然、呟いた。
「オレ浮気するかも」
手元のトランプ 出せるカードがない ない ない
「あーそう」
ぬけぬけと目の前でハートのクイーンを出 ....
りんご飴、ねぇ買って
と君は舌っ足らずに僕の袖をひいた
正月でもなければ夏祭りもない三月の夜空
りんご飴なんて何処で手に入るの
問うと君は平然として
じゃあ花 ....
自分が肉の一片に成ってしまう夢など
誰が望んでみるものですか
(けれど毎夜、私はふつりふつりと千切れていく)
私以外の誰かが望んでいるとしか思えませんね
この体たらく この ....
「逢えない」の四文字が私に死刑宣告を下す
目の前が真っ暗になって
泣きたくなんかないのに 涙はぽろぽろ
受話器の向こうの死刑宣告
大袈裟だって笑う?
今日も明日も逢いたいよ
....
「今、決めた。 君、明日 銃殺ね」
不感症の空の夢
肩にオウムをのせた男がそう告げて終わる夢
ざらり
咽喉が渇いて
冷たい白い空を見る
夜のあいだに生まれたばかりのかまきり ....
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