いつでも急いで履くし
履きかけで何歩も歩いてしまうので
かかとから靴はいつでも痛んでしまう
妻も老いた母からも
もっと大事に履けとか
みっともないから止めろと言われるが
そういうことに構う ....
食い違う夢 −『私たちの欠落(夏の日の)』藤丘 我流読解−
批評祭に寄せて、ふたつの文章を書く構想でいた。ひとつは、フォーラムの
外で書かれたものについて、もうひとつはここに書かれたも ....
これは明日のパンだと言われた
これは明日に辿り着く岬
丁寧に描かれたここは通路
これはあなたの横顔を書いたつもり
気遅れした線が
紙への浸透で変わっていく
並べられた額縁のそれぞれのう ....
墓に酒を傾ける
世間の片隅でありつづけた君に
酒で石が黒くひかる
夜明けに
しらじら壁を見上げた
死ぬとはどういうこと
墓に酒を傾ける
羽虫がいっとき酩酊している
....
濡れ縁に向かって
みずみずしい素足
包絡線ぎりぎりで飛ぶ
剥がされたもの
必要無かったもの
水に自分の貌を写したり
他愛無いうたにひるんでみたり
はるかな結末への
錯誤ははじま ....
は
なので
しないでください
通りすがりの商店の
入り口の看板
赤い文字のところが脱色して
(何故たいてい赤なんだろう)
黒い文字だけが残った
「葉なので ....
受信器をゆさぶる
星の名残
罅割れて
物言う石
ひどく間違えて
あなたの中に探した
有意信号
嘆き
ではないよ
轟き
深い軸
渦
の息吹
....
君を連れていこう
この 干上げられてゆく都会の
最後の楽園へ
マンションに包囲されながら
奇跡のように生き残った
ちいさな田園のそばへ
君を連れていこう
この 干上げられてゆく都会の ....
「腹が減っては女も犯せん」
と
三度三度の食事が何よりも大切な
実験艦シュレスヴィヒ・ホルスタインではこの度
今次航海の慢性的(万世にあらず)生鮮食料品の不足を解消するため
クランケ艦長のポ ....
洋介のなかに
空洞が巣喰いはじめた
仕事をしてさえいれば
誰とも話をしないで済んだ
忘れたいものばかりがあって
日々をやり過ごすうち
世界そのものをやり過ごしてしまった
....
フルエテイルノハ ミミ
フルエテイルノハ ノド
フルエテイルノハ ヒトミ
フルエテイルノハ 伸バシタ腕
カラダガ共鳴シテルンダロ
大キナ{ルビ球体=すふぃあ}ガ ウシロデ歌ウ
バラバラニナ ....
いまさら詩人になりたいなどと
言われたって遅い
きみのして来た事がきみの今だ
時間が過ぎれば何だって腐る
ロープだって約束だって
あの顔をまた見るようになった
自分でも忘れていた悪 ....
−1−
徒らに笑おう
僕らが苦心して果たそうとした事は
どうやら徒労に終るようだから
中味の無い箱が産業道路を溢れ
空疎な前向きの歌がチューブを溢れ
考える事をしなくなったひとたちが
....
陸に上がったSUBWAYで
奴が通りかかるのを待つ
ことばの坩堝でそいつは産まれた
ひいひい泣いて誘う雄の男食らい
餌場はもう分かったので
俺としては待ち伏せのあいだ
詩でも書いて暇を潰そ ....
きみの中に青白い強い炎がある きみがきみ
ひとりで燃やしてきた炎 ほかの誰によっても燃やすことの出来な
い炎 刺すような傷の痛み
再生される記憶 およ ....
牛屋は牛食わず、とか
わけの分からないことを口走りながら、
牛に呼び掛ける詩を書いたことがある。
「ホルスタイン。
詩を書きたい。
ずぶ濡れのお前に向かって。」なんて、
決心にしては妙 ....
(『ゴゲンナンゴ』
なんでスッテ)
(『語源難語』)
名前ノ由来ガ分かラ−ナい
沢山の名前ヲ印シテ来たモノなノニ
絮(jo)トハ蔽緜(heiken)ナリ
即チ繭屑(ま ....
(何も求めなければ済む)
白紙の闇
きみのあらゆる叫び
墨以外のものは持っていない
黒く印すほかない
黒い蛍が舞い始める
2006/11/30
眠りの川面に
櫓を漕ぐ音が響く
木の葉も鳥の影も無い
冬のあとさき
ふりさけ見れば
男ひとりの舟
踏んばれば
ぬめるように揺れ
もうひとりの遺骸を
投 ....
うふふふふ。
いいもんだ。
もう引き返さなくて良いのは。
良かったじゃないか。
僕なんかの思い通りに
ならなくって。
すべてうっちゃらかして、ぶらぶら。
ご近所の真っ昼間 ....
これは6月にはじまる
怒りのものがたり
無にされたひとの墓碑
降り続く雨のなかに
いつのまにか青く牙を開いた樹
物言わぬものが
そんなにも美しいか
君!
大文字で書かれたNOT ....
花つき言葉 −もとこへ−
一周年の祝いに
なにか書いてみせようと思ったが
気負いのせいかどうもうまく書けず
かといって最初の年に
なんにもなしでは済まないぞと思い
月並みだが ....
どぎついサンセットで終わった一日
夜のはじまりに静まり返る東シナ海
水平線の果て光り輝く香港の淫売宿を目指して
我等が実験艦シュレスヴィッヒ・ホルスタインがひた走る
ふらふら揺れながら傾きなが ....
ふり返れば
ずいぶん長い春だった
ということになるんだろ
誰でも実際には数日から5〜6年
長くてもせいぜい半世紀
保険会社の再建策を綴った白い封書が届く
居留守電話には彼からのメッセー ....
降りるんだ
地上へ
見せかけじゃなく
水面下へ
沈むなら羽田沖
沈めるだけ
沈んで
10月は過ぎ
11月は過ぎ
手には
しなびた無花果
怒りが必要だ
チダマ ....
呼ぶ声は誰のために
呼ぶ声は誰のために
遠くから来た人は家を建てた
終(ついえ)の住み処に
なるとは知らずに
往く人は誰のために
往く人は誰のために
墓碑に添えられたコップ
....
誰かが夜中にノックした
コツンと一度きりノックした
ドアの後ろからそっと覗くと
蛍光灯の通路が白く乾いている
あるいは秘めごとの嫌がらせに
甲虫が当たっただけかもしれない
ベトナムの木 ....
かくとは
どういうことだ
なまくらの安包丁
長く使い過ぎ
先がひん曲がって
薄肉を切るにも逸らされる
研石を買ってはみたが
いま切るのには役立たない
天井に匂いが立ちこ ....
− 素子へ、特別版 −
子供の頃は戦後のモータリゼーションが
発展し始めた時期で
うちの車は初代パブリカのデラックス
その頃は車のグレードと言った ....
気狂いに刃物
猿に電車
ガキにプール
妻に避妊具
配達員に写メール
青菜に塩
梅干に鰻
童貞にこんにゃく
並木に青虫
女優にバナナ
牛車にロケット
鈍器に着け火
電車曲がる軋む ....
大村 浩一
(104)
タイトル
カテゴリ
Point
日付
創書日和「靴」 靴はいつでも痛んでしまう
[group]
自由詩
9*
08/1/31 23:35
批評祭参加作品■食い違う夢 −『私たちの欠落(夏の日の)』藤 ...
[group]
散文(批評 ...
8*
08/1/28 12:57
創書日和「指」 Touch
[group]
自由詩
6*
07/11/27 21:34
創書日和【酒】 墓酒
[group]
自由詩
7*
07/10/31 12:52
Presto(プレスト)
自由詩
10*
07/10/3 6:36
創書日和「淡」 蒸発看板
[group]
自由詩
13*
07/9/30 8:27
創書日和「星」 空電
[group]
自由詩
6*
07/7/31 18:37
中野島
自由詩
24*
07/7/24 20:57
冷凍船を拿捕する実験艦シュレスヴィヒ・ホルスタイン
自由詩
4*
07/7/7 17:13
創書日和「窓」 窓紅
[group]
自由詩
3
07/6/29 19:30
創書日和「風」 フラッター
[group]
自由詩
6
07/5/31 21:19
創書日和「縁」 伏線
[group]
自由詩
7*
07/4/30 23:38
創書日和「歌」 お憂偽うた
[group]
自由詩
9+*
07/3/29 21:15
ERASER −紙切れに−
自由詩
4*
07/3/16 18:06
創書日和「炎」 Own Fire
[group]
自由詩
7*
07/2/27 20:01
わが実験艦シュレスヴィッヒ・ホルスタイン
自由詩
10*
07/2/13 12:40
創書日和「紙」 絮紙 −jo shi−
[group]
自由詩
3
06/12/29 20:50
創書日和「白」 余白
[group]
自由詩
5
06/11/30 17:17
創書日和「流」 Lost Motion
[group]
自由詩
8*
06/10/25 18:40
マーキング
自由詩
18*
06/8/17 9:02
ジューン・ブライド
自由詩
7*
06/7/22 22:00
花つき言葉
自由詩
22+*
06/7/17 15:26
夜に向かう実験艦シュレスヴィッヒ・ホルスタイン
自由詩
15+*
06/5/9 12:40
saraba
自由詩
10*
06/3/9 12:56
REVERSE!
自由詩
6*
06/1/23 19:03
Far song
自由詩
11*
05/11/18 18:15
降霊
自由詩
10*
05/9/2 18:50
包丁
自由詩
10*
05/8/9 12:27
スタンダード
[group]
自由詩
55*
05/5/4 20:31
Armed
自由詩
5*
05/4/27 12:47
1
2
3
4
0.17sec.