あの人と繋がらない
さっきから何度も
接続に失敗している
アンテナは
立っているのに

馬蹄が大地を掴む
断続的なリズム
(どっ どっ
焦燥のなかにも
涙腺を圧されるような
安心 ....
夏の日の夕暮れ
いつまでも続け
つないだ手のぬくもりほどの
せつなさを抱えて

メビウスのまんなかに
つかのま立ち止まり
見つめ合った、ぼくら
いまよりもずっと
不器用で、素直だった ....
制服を仕立てにいくと言って
行ってしまった

トイレや脱衣所の扉が
足音に反応して閉められる
ほろにがい痛みをともなう
(バタン、カチャ
ちゃんと閉めなさい、なんて
言ってたのは
い ....
うみにくると
ふるさとに
かえってきたような
きもちになるのは
なんだろう

こくどうから
ながめわたす
ささーん ささーん

おおきくみえたはずの
うねりが
かたちをなくして ....
プールの授業は嫌いだから
学校を休みたいという
息継ぎが
うまくできないらしい

ネットで検索してみる
吐かなければ息は吸えない
水中で吐くこと
頭をあげる向きと
タイミングにコツが ....
ある場所で
点、として生じた光りが
わずかな距離を移動して
塵となる
それを一生という

かきあつめたもの
握りしめたもの
すべて消滅してしまう
けれども

細い雨のあとの
植 ....
不器用だから
泣きじゃくって
のりしろは全部
切り落としてしまった

僕、という立体を
通りぬけてゆく風
端っこがめくれて
ビラビラしている

無理しないでね、と
幻のような声を ....
いろんなことあるよ
いろんなこと過ぎていくよ
だいじょうぶ
手をつないでいこう

みんな
のぼっていくね
空には
酸素がいっぱいなんだって
誰かいってた

くらげはね
水にとけ ....
先生を壊したら
新しい先生が出てきた
この先生を壊しても
きっと同じだろう
マトリョーシカ
そういえば
前よりもいくらか小振りである

小さいくせに
目の中に入れても痛くない
など ....
葱。
葱をみている
きざみ葱を頼まれたが
青い部分ばかりで一パックこの値段とは
いかにも法外である

ひと振りの葱を取り、握りを確かめる
銘刀「下仁田」ほどではないが
なかなかの白鞘で ....
動き出した車窓が
景色をゆっくり手放すように
やさしくほどかれる季節は
まだ寝ぼけていたい春の子が
ようやく
んー と
背伸びをしたみたい

かしこい子も
そうでもない子も
とにか ....
堅く握り込んだ
こぶしをひらくと
てのひらに花が生まれる

目を閉じて
かすかな匂いを取り込み
脳によろこびを与える

水をはった
ガラス鉢に浮かべて
しばらく眺める
しずかな、 ....
近くなり遠ざかる海のかさなり
乳白色の巻貝の奥に
うずくまる内蔵
砂となった記憶の粒を探して
耳の感覚だけになる

ふくらみ、しぼむ浅い眠り
とうに輪郭をなくした風の面影に
なつかしい ....
ひとであったような気がする
初めから
ただの意識だったのかもしれない
どちらにしても
たいして変わりないだろう

何がしたい、なんて
真面目にきくなよ
浮かんだそばから
シャボンみた ....
何もないところから生まれて
ふりそそぐ雪片
その結晶の
ひとつひとつを確かめたい
純粋で
静かな構成に
私は憧れる

かつて卵だったころ
なにも知らなかった
幸せも、不幸も
ただ ....
海の見える場所に
足を止めた
海岸線は弓なりに身をそらせ
波を抱えてふるえている

少女が砂に座っている
束ねられた長い髪
白い顎の輪郭が
背景の蒼を深めている

(うまくいってる ....
おまえが将来
大人になれば
ときには重い困難を抱えて
たぐる糸もなく
色を失った世界に
途方にくれることもあるだろう
そんなとき
思いがけず差し伸べられる
手のひら
それが、ありがと ....
よってたかって
酷いことを言うから
精神科に行って
大変な目にあってみました

夏を飛びこして着地した僕は
金木犀のまじった朝露を
深呼吸する
勝ち組、負け組、と問えば
緊張した行司 ....
駅近くの喫茶の壁に
抽象画が貼ってある
焦点の合わない
橙色の幾何学模様
隅に小さく署名がある

さいたりる

若い女主人に聞くと
以前よくきていたが
最近はまったくこないという
 ....
湯船に沈んで
樋から流れ落ちる
雨の音を聴いている
植物石鹸の楕円と
豊潤な湿度

*

砂時計の沈み込む
流砂を視ている
ぼくたちは砂漠のなかの
バンドウイルカ
疲れたら、休 ....
網戸越しに世界を見つめている
そうしたときのコテツ様は
ひどく冷静で、明晰で
私は
そのしずかな横顔に憧れる

うつ伏せて
同じ目線で目を凝らすが
すぐに飽きてしまう
私は
無防備 ....
その工場には
淀むことのなく
エルガーの旋律が流れる
木管を低く震わせる安定した音色
勇壮な大河に抱かれる

誰彼の何気ない表現は
神々しい余韻を含み
小さなアイデアは
淡い発明の光 ....
あるかなきかの
かすかな身じろぎに
あるいは
とりとめのない
呼吸の満ち引きに
歩幅を合わせる

小さな宇宙の
無限のひろがりを浮遊する
みる、でもなく
わかる、でもなく
ただ感 ....
彼氏彼女という言葉を
つい使ってしまう僕らこそ
恋人、という言葉を選びたい

透明な香りのなかに
いかにも誠実な覚悟がある

修飾語が何であれ
その語尾からは
謙虚な羞恥 ....
真夜中のきみの痛み
どんな言葉も選べないから
表情だけを送り
そして
きみの表情を受け止める

時間差と記号
最小限の情報のなかに
くのう、なきがお
そして、きみの
ありがとうを理 ....
線路の向こう
ビルの谷間の三角地
そういう辿り着けない場所に
オレンジ色のコスモスが
揺れている

ささやかな風景は
しかし、すぐに電車の音に
塗りつぶされてしまう
それでも
元気 ....
がらんどうの僕の胸に
柔らかにきみがふくらむから
メールではなく
涼しい便箋の手紙を送ろう

ああ、住所をしらない
しらないから
ギクシャクしちゃう
もっと練習しておくんだった
いろ ....
月のコンセントは
抜いてしまったから
今夜は
星ばかりが天に満ちている

恵みを受けて
生かされて
うずくまるひとよ
すべてを失ったとしても
あのひとの教えてくれた
花の名前を覚え ....
電話がかかってきて
行ってしまった
幸せになるんだ
といって

コケリンドウの
花をみつけた
ちいさな青
の付け根のあたり
淡く
消えそうなものに
私はいつも憧れる

たくさ ....
みんなで
海、行こう
今すぐ行こう
水中メガネなんて
海で買えばいいよ

母さんの
あの向日葵のボレロな
裾をめくって
叱られる前に
駆けぬけようぜ

追いかけて
波を追いか ....
佐野権太(209)
タイトル カテゴリ Point 日付
文書グループ
武士道文書グループ13/4/1
家族の肖像文書グループ13/3/22
回遊する少女文書グループ08/11/7
こころの風景(携帯詩)文書グループ08/11/7
たん、たん、短歌文書グループ08/11/7
投稿作品
馬群自由詩4*14/10/30 22:50
それでね。携帯写真+ ...10*14/7/31 19:23
卒業自由詩7*14/3/4 17:59
うみ自由詩8*14/1/4 7:24
水のハーブ自由詩9*13/7/12 12:56
六月のミーティア自由詩12*13/6/14 17:20
僕、という立体自由詩7*13/4/26 8:52
海月自由詩413/4/5 19:56
ちぇんちぇー自由詩213/4/3 17:52
ネギ侍[group]自由詩8*13/4/1 11:43
サクラブルー自由詩5*13/3/28 9:31
春工房自由詩4*13/3/22 9:51
春の巻貝自由詩7*13/3/19 9:07
すぎてゆくもの自由詩9*13/3/1 6:46
雪片自由詩11*13/2/16 3:09
海の破断面自由詩5*13/2/5 12:39
贈るほどでもない言葉自由詩7*13/1/9 18:30
キャラメル自由詩312/11/22 8:39
斉田りる自由詩312/4/18 20:31
かすかなひとたちへ自由詩512/4/13 23:06
コテツ様自由詩8*11/12/9 22:29
希望と栄光の工場自由詩5*11/11/18 19:15
ちっちゃいもの倶楽部自由詩7*11/10/26 19:51
恋人携帯写真+ ...8*11/9/22 13:05
あかい蛍自由詩4*11/8/24 23:12
なんとか水曜日まで生きてきました自由詩11*11/8/12 21:57
お願いジュール自由詩5*11/8/6 2:30
がんばれ、なんていえない自由詩3*11/4/6 0:59
りんどう自由詩21*10/9/7 13:02
海ロード自由詩9*10/7/8 11:37

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