右肩から首筋に響く痛みは
今日も自由を食い潰して
幾許かの金を得るためにだけ
言い訳をした証しに他ならず

晩夏の空が奏でる歌は
甲高い声で泣く女がするフリのよう
欠片さえ心象を捉えるこ ....
室内灯の明りを落とし
明日の為にと目を閉じて
今週は何を片付けようかと
算段を繰り返している

かつては夢を見ない夜が嫌いだった
意識が途切れてから数秒後には
当たり前の朝を迎えていたか ....
ふとホテルの窓を開けて
景色を眺めてみたくなった

泊まり慣れたビジネスホテル
四缶目の酒を呷りつつ
少し薄くなった頭髪を気にする
まだ大丈夫だとは思うけど

目的も夢も自分自身でさえ ....
僕の妄想の中で懐かしき貴様らはと言えば
自らの幸福と比較し無意味な自答を連ねる自愛の様を垣間見て
ひたすらにありきたりと置いてけぼりの過去を重ねて嘲るだろう

見えているようで見えていなかった ....
狂えてしまえれば
逃れられるだろうに

面影の無い残骸は
夢の端々に散らばり
短く浅い夢の中でさえ
仕事をしている姿がある

何度問い続けただろう
幾年振り返り続けたろう
半年後に ....
いつもより早く仕事を済ませたとて
やりたい事など特別何も無い現状
無理やりに酔っ払ってでもいないと
押しつぶされそうなのは心ばかりでもない

逃避するほど豊かな精神性も無く
すがるほど人を ....
電車に乗ってどこかへ行こうとしていた

何処へ向かおうとしているのかは分からない
病院だったような気がしないでもなく
山奥の施設のような気がしないでもない

見たことのある風景同士が
直 ....
この空間は何だろう

時間にしておよそ三十分前後
圧縮された孤独に包囲され
今にも寂しさに泣き出しそう
逃げなければ心が殺される
自覚した頃には全ては手遅れ

社会人になって背負った
 ....
埃に塗れたガラスに映る
くたびれ果てた繕い笑顔
二日酔いで始まる月曜日
やるべき事が頭を巡る

子供の声とエンジン音とが
交互に僕を追い越していく
皆一様に行くべき場所へ
望む望まぬの ....
紙の資料と液晶の画面を見比べながら
音のない空間で独り言を繰り返す
大概が自身への愚痴でしかなく
誰かに聞かせる類とは言い難い

大型連休の中日とはいえ
どうせ家に居てもやる事もなく
約 ....
吸い込む煙に咽こんで
突き抜ける頭痛に把握する現在
何より無く何故も無く
成すべきと定めた納期を
遣り繰りするだけに生きている

山陽道に横たわるモグラ線を
時速三百キロで駆け抜ける退屈 ....
隣部屋から漏れる電話の呼び鈴に
ふと現実に立ち返る瞬間を感じる
さっきまでホテルの窓から見えた
電光掲示板の宣伝文句を
眺めてばかりいただけだった

月が見えるほど暗くなく
星が瞬くほど ....
文字面をいかに心地よく整えたところで
性根の卑しさを隠す事などできやしない

やけにくっきりと見える山と空の境で
手を伸ばしてみたいと嘆く現在
俺は俺自身を手始めに
軽々しく詠う輩を殴りた ....
他愛の無い言葉に紛れた
温もりに微かでも触れたくて
いつもよりおどけながら
どうでも良い話題を振ってみた

事情も聞かずに笑う声が
わざとらしく作られた優しさよりも
草臥れた心根に染みて ....
まだ二十代になりたてだった頃は
自分が周りに溶け込めない原因を
責任転嫁することばかり考えていた

全社会議が終わり、その後は飲み会
いつものように空気を読まない発言と
オチに使われる存在 ....
柔らかい雨が降っていた
右手を空にかざして
雲の向こう側から届くだろう
君の言葉を待っていた

冷たすぎることもなく
温かいはずなんてない
冷静に考えてみれば
いつもと同じ雨だけど
 ....
暖かな微笑を浮かべて
僕の話を聞いていた
君が居なくなってから
もう何年たったかな

そろそろ記憶も薄れてきて
君への呼び名でさえも
その通りだったか自信が無い

ただあの屈服した春 ....
しあわせな言葉ったらし共が
今日も社会と隔離された理想郷で
中身の無い幸福を謳っているとき

俺はと言うと九州の西端で
印刷するたびに一行ずつずれていく
請求書のデザインを直していた

 ....
今日君が流した涙
心の窪みに溜まって
いつか差す光に照らされ
キラキラ輝くだろうから

言いたいこと
どれほど伝えられたのかい
聞きたいこと
どれだけ話してくれたのかい
今日は風がと ....
耳の隙間を縫って
りぃんと響く音
とても遠くにあるようで
とても近くにあるようで

嘆く声と笑い声
誰もが耳を傾けるのは
偽りの眩しさが差し込む
重さの無い物語

誇張と顕示が彩っ ....
気忙しく流転する景色の片隅で
只管に平凡を刻んでいく人生を
ただ無造作に転がして
ただ締まりなく垂れ流す

雑居ビルの合間に重なった
生ゴミに卑しく貪りつく
道行く視線に無頓着を気取る
 ....
会社の屋上から見える山が
今日は少しだけ近くに見えた

霞がかった空を
悠然と跳ね烏が
羨ましくて仕方ない

肩や腰だけじゃなく
心も重い溜息の日曜日
遠くから聞こえる笑い声に
何 ....
引き出しの奥にしまってあった
ずっと昔に書いた詩達
青臭い感傷に身を委ね
世界に種が撒けると信じた
尊大なナルシズムに塗れていた

胸から羞恥が沸いてくる
若き己が描いた夢により
今の ....
その能天気な声
できれば二度と聞きたくない

開口一番閉口せざるを得ないほど
無残にも引き裂かれたのは
一時と言えども夢見た優しさで

ショッピングモールの喧騒で
知ることはないだろう ....
灰が落ちそうなんですが

無理に引っ張ったら
何か違ったものまで取れそう
どうしてこんな状況なのか
無闇に冴えた頭脳で分析しよう

そうか!
乾燥肌に二月の空気
つけっぱなしの暖房
 ....
まどろみの中で聞いた
雨音は幻だったのかな

差し込んできた光に目を覚ます
少し強い風が吹いているようで
外では木々がゆらゆら踊る
当たり前に包まれた休日の昼

迷惑メールの受信履歴が ....
日の当たらない屋上で
ぷかぷかと煙をふかす
何も考えたくないけれど
よぎるのは同じ事ばかり

この前誰かに問われた
何の為に誰の為に
苦笑してやり過ごす位しか
誤魔化す術も思いつかない ....
思えば貴女に求めていたものは
包んでくれた掌の温もりだけに過ぎなかった

十分な言葉を交わしたつもりもなく
ただ何ヶ月か遅れて忍び寄ってきた
心に突き刺さる冬の冷たい空気から
守って欲しか ....
窓ガラスが曇りすぎていて
朝の陽射しが眩しすぎて
景色がよく見えない

平坦な道のはずだから
何処にも隠れる場所は無く
見覚えのある標識を過ぎて
がむしゃらに向かっていれば

いずれ ....
見えないものなど何も無いと
空に嘯いてみたとして
足元に転がる雑多なガラクタの中
光る石ころが拾えないならば
いかほどに意味があるのだろう

振りかざす善意に埋もれた慟哭
今日も薄っぺら ....
松本 卓也(291)
タイトル カテゴリ Point 日付
ワイシャツ自由詩008/8/24 22:19
夢を見ないで眠りたい自由詩408/8/11 0:49
向日葵自由詩508/7/15 22:13
過剰な自意識が産む嘲笑自由詩108/6/21 22:30
雨に塗れる自由詩208/6/19 22:22
数多分の一の本音自由詩208/6/9 21:10
奇妙な夢の記憶自由詩308/6/4 0:15
孤酒呷々自由詩008/5/26 1:01
二日酔い自由詩408/5/13 1:14
休日出勤自由詩508/5/6 22:41
指折り自由詩6+08/4/23 0:09
無機質な夜自由詩608/4/16 0:00
いらだち自由詩208/4/15 0:05
君の声が聞きたい自由詩408/4/13 0:47
会社の飲み会自由詩208/4/6 21:56
柔らかい雨自由詩408/3/30 22:37
祈りの季節自由詩108/3/25 0:48
俺はと言うと自由詩408/3/22 23:42
この雨上がれ自由詩408/3/20 1:03
虚偽往来自由詩008/3/18 22:48
野良でさえもない自由詩008/3/18 0:19
春は来る自由詩2*08/3/17 0:09
平民一号は今日も嘆きを詩にする自由詩108/3/8 1:26
もう終わった話自由詩208/3/7 0:58
上唇に煙草のフィルターが張り付いた件について自由詩208/2/27 1:15
冬色自由詩208/2/24 23:24
自由詩108/2/8 1:13
偽りではなかったけれど自由詩108/1/25 1:44
今はまだ相応しくない自由詩108/1/7 1:02
『和氏の壁』の逸話のように自由詩207/12/24 0:03

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 
0.11sec.