タケイ・リエの詩集『まひるにおよぐふたつの背骨』は、詩を書くときの自我、あるいは詩を書くときにかかわらず、人間が本源的に備えている自我の在り方について、詩という形式の持つ直接性を用いて我々に訴えかけ ....
少年は、CDの最後の曲が鳴り止んだ後の時間が苦手だった。少年はいつもヘッドフォンで音楽を聴いていたが、最後の曲が終わってしばらくするとCDが停止する、そのときのズン、という音が苦手だった。曲が終わって ....
起床から睡眠に至るまでにいくつもの粒子が整列していた。それらは貝や木の実や爪だったりしたが、あちこちを眺め回しては倦怠で門のようなものを開くのだった。年齢という数字が記号でもあり連続でもある、そして ....
夢の中に置き忘れられた風景、その中で僕は置き忘れられました、その中では今も風が吹き木々が揺れ、人が悲しんでいるでしょう、どこにでもある宇宙の外れ、その崖の下へ僕は投身しました、崖はいくらでも増え続け、 ....
地面とじかに触れ合う春は
たった一つの落し物をした
そのたった一つの落し物が
みるみるうちに散らばっていって
こんなに豊かな花々になった
花々は凍り続ける
大気が花々を許すその日まで
....
音楽も断ち、ネットも断ち、ひたすら大気を眺め、大気の中を歩いていく。この木も小屋も春の花々も鳥たちも、すべては大気の装飾物。ひたすら大気の動きと色と広がりに滲みこんでいく。私は装飾物になるには若干重す ....
2012年04月08日(日)2 tweets
ソース取得:
社会というものはいくら入り込んでもいつの間にかすり抜けているというわけのわからないものでした、さて学校と ....
愛してるそんな言葉を載せられる川の流れと笹舟さがす
僕と君名前を交換し合わないか嫌いな名を捨て好きな名になる
歳を取ってその分きれいになったよね僕もそろそろ白が混じった
ほんとうの言 ....
――D.K.へ
訃報を受けた次の日、近場にある温泉宿へと自転車で行った帰り道、途中にある長い坂を登りながら、私に不意に訪れるものがあった。あなたの位牌の前で深々と頭 ....
人生という苦手な課程を落第し続けた僕の
その沢山ある蝶番のうちの
どこへと君は紛れ込んだのだろうか
君は笑っているね
君はすべてを笑っている
君は人生とも社会とも言葉とも
笑顔で向き合って ....
痛ましい日々を相殺するように
僕の体は卑小になる
すべてが抜け落ちた後に
核のようなものが残った
その核はただれている
時間が湾曲して僕から逃げていく
望まれない永遠のなかで
ただ生きる ....
この金糸雀は殺して妻の墓に埋めてもようございましょうね。奥さん。
でなければ、私は奥さんのような女の方の前では、きっと目をそむけるか、うつむいていたでしょう。人生の半分を見ないようにしていてくれ ....
特に忘れることができないのは、私がこれらの作品のうちの多くを、決して冗談でなく、遺書と考えて書いたということだ。そして純粋に自分一人のために、私というただ一人の読者のために、力を尽して書いたということ ....
酒 灯油・ガス販売店
ヤマハ (有)ヒシヌマオートセンター
西方まさふみ 後援会事務所
矯正歯科・一般歯科 なかたに歯科医院 43・1818 ↑
居酒屋ようこ
JA新あぶ ....
熟+語+順+番+長+寿+命+
日+没+落+葉+脈+拍+手+
相+性+格+言+動+物+欲+
望+外+国+策+略+取+材+
料+金+目+標+的+確+実+
質+問+責+任+用+意+思+
想+念+ ....
0.序論
詩は言葉の信用性を失墜させていないだろうか。詩は、一方で、表現主体の内面を最も率直に表現する媒体として使用され、もう一方で、読者にとって美しくなければならないという要求のために真実を ....
階段が、坂が、川が、ゆっくりと幅を狭めて、水から炎へ、その蔓の雨から暴風に向かって、感覚を遠く、近く、また遠くへと、ねじれた船舶の直線をたわませて、神殿は太陽を覆した、階段が、また階段へと、大理石の ....
海はどこに隠れた? こんなにも空は涼しく、こんなにも山は遠慮しているのに。/それが教授と愛人との踏みならされた日々の果実のような疑問だった。/僕は居てはいけない人間なんです。あらゆる部屋、階段、交差点 ....
0.はじめに
詩人が、詩を知らない友人に詩を紹介する。さて、よくありそうなこの風景の中では、いったい何が行われているのだろうか?
まず、詩人は詩には価値があると考えているだろう。ではなぜ、 ....
連想●関係○構築*破壊*憎悪*殺人
関係●交流○会話*音声*録音*媒体
交流●挨拶○礼儀*方式*差異*別離
挨拶●笑顔○好感*元気*行動*失敗
笑顔●筋肉○骨格*硬度*数字*計算
筋肉●運動 ....
0.はじめに
殿岡秀秋は弱い人間である。だがこの弱さは詩人にとって必要な弱さである。まず、殿岡は武装しない。思想や理論や謀略や機知をことさらにめぐらすことをせず、時間や連想の流れの中に素肌で漂 ....
私が初めて感銘を受けた絵はピカソの「ゲルニカ」である。中学のときだった。白と黒だけの焼けつくような不毛さの中に、形体と形体との矛盾が組み敷かれていた。牛や目や人が、本質へと刈り込まれた後の鋭さで、生 ....
1
すこやかな悪魔が科学の哀しみをそぎ落とす、見下ろす風景に書かれた哲学を精密に削り出している。緑色の空の稜線を白い葉が伝っていく、清潔な堕天のおしゃべりに体積をついやしている。悪魔はしなやかな ....
私の中には時折他人が入ってくる。私が食器を洗っていたとき、気がついたら私は田淵さんだった。田淵さんは私の部屋に勝手に入ってしまったことを申し訳なく思い、靴をはいて部屋の外に出たが、そのとき田淵さんは ....
0.はじめに
心斎橋を歩いていると、すれ違う人々の肛門の悉くに言葉の端子を捻じ込んでやりたい衝動に駆られることがある。(中略)だがその無数の肛門に捻じ込みたい言葉は、なぜか優しさに満ちている。
....
0.はじめに
廿楽順治の詩集『たかくおよぐや』(思潮社、2007年)を語るには、その規範逸脱の仕方やモチーフの特殊性に言及するのが恐らく適切であろう。閉ざされた空間ですべき愚痴や否定的感情の吐 ....
この地球を彫り上げる彫刻家と
話をする機会があった
「初めまして。僕は日の光のように形を持たないのですが、日の光のように、物の形を影として作り上げます。ですが僕が作り上げるのは影です。影は光を ....
1
君の眼の内容に鉱脈が続く。僕は君の眼の地軸が太いことを君に隠してきた。君には幻覚を売る権利がある。そして眼の先端を選ぶ権利も。僕には君の血の流れる音がまぶしすぎて、脂肪の宛先を忘れてしまう。 ....
1
静かな糸で縛られたふたつの命。命が影のように伸びていくといつか人間にぶつかる。初めまして、僕らこんなに遠かったんだね。お互い嫌いなほうの手で握手しよう。服さえあれば知らない街でもさかのぼって ....
0.はじめに
例えば外を歩くという行為を考えてみよう。その際私は歩く場所として歩道を選択し、車道は歩かないだろう。そのとき、歩き方は「人間は歩道を歩くべきだ」という一定の社会的な規範に従ってい ....
7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
0.13sec.