心臓が集まるとファンタジーになる

初秋に夏をふり返る日
スパイスをスプーンいっぱいほおばるような
日常のすてきな刺激のような
心臓がより添うときを
見たような日

旅から戻ったベ ....
熱帯夜から放たれた八月のあなた
雨戸もガラス戸もカーテンも開けて
短い髪に風を受ける
シャンプーの香りがよせてはかえす
秋の虫が聴こえる
蝉の絶えそうな羽音も渇いたように
風がはためかせた ....
雨が屋根をたたいている
夜は
この街の夜は いつも雨
世界を願う歌や 戦う人の歌を聴いた
胸焼けがするほどに湧いてくる
愛する人を失って家を無くしたら
私が家になればいいの きっと
わか ....
熱い帯にタイダイの笑い声が響く
電気工事のおじさん
駐輪場のおじさん
建設現場のおじさん
交通整備のおじさん
ペンキ塗りのおじさん
たくさんのおじさん
設備工事の父さんも
あんな風にタ ....
もう ラヴソングも描けないのさ
日の入りが終わった天空の
マゼンタがきれいでね
良い絵が描けた後の
水入れみたいでね
そんなことを伝える人も居ないのさ

眼球の奥でつくられる
とろんと ....
パンの焼けるにおいだけが明るい
苔が吐く息だけが甘い
朝になりかけのままの朝
小石をなげる雨のいたずらに
幾たびも眼を開ける

エメラルドの雨を泳いで渡る
赤い自転車は泣くだろうか
傘 ....
はじめまして うさぎ
大きなうさぎ
隠れ家のうたげまで
丸いしっぽを振ってさ
顔と変わらないでかさのヘッドフォンなんかが
かつて愛を共に真似た
Northって名まえのしろくまに似ている
 ....
きみが少し元気なときに
庭に植えた白梅に
真珠の粒がころころと
それは春の序章とも言える

きみが好きだった春の 前髪が見えて
それはきみの季節とも言えるが
メディアから塗りつけられる春 ....
自転車に飛び乗って聖蹟桜ヶ丘へと漕ぎ出す
夕刻は燃えはじめていて
ペンタブレットを壊してくれた天使に少し感謝して
関戸橋
私みたいに粋がった多摩川を見下ろした
嵐がえぐった流域は
新しく生 ....
背中でみず色をうたっている
こんなにも乾いているから
詩のたましいを“ふたあつ”もつ子の
みずのうた

誰もいない広場に
けやきやいちょうが積もっている
小さなひざをミルフィーユに沈める ....
地上へと繋がるエレベーターに
パステルカラーの女の子
うふふ
こんにちは
抱いている子ども
腕から飛び出しそうに笑って
照れて
くりんくりんって頭を回す
いししー
あっ 笑ったぁ
 ....
Wednesday
規則正しく星が灯る
首都高では夜が始まる
助手席 たばこをふかす父親
知らない光景をあげる
教えてもらった光景たちには
かないそうにないけれど
シュマリナイ湖のキャン ....
病気になると みんな
入院すると思ってる

ずっと入院されていたんですよね
お見舞いに伺いたいのですが どちらの病院ですか
病院にいた方が 苦しくないんじゃないか
病院にいた方が 安心なん ....
午前4時
ほの白く ほの青い 四角い窓から
まちの寝息が
明かりの粒子が 舞い込んでくる
街灯は 夏の虫を誘って
ゆれるように強く

黒い瞳に ひとつずつ
真珠を入れて
まばたきもせ ....
裏通りに 傾いた陽が落ちてくる頃
放課後の声たちが 初夏の帯にのって
泳いでくる
バギーの乗客を覗いて
ほんのり口角を上げて
青いランドセルが追い越してゆく
まだかたそうなランドセル
さ ....
青色と赤紫色
重たい宙をかいて 混ざり合おうとする
あの思い出
あの肌の{ルビ音=ね}
手をつないで
たよりなく握り会って
こくこくと
室温の仕業の汗をかく
夜は常に進み
太陽は ....
きみが生まれた病院へゆこう
インフルエンザの季節だから
まだ赤い きみのBCGみたいに
痛い注射を刺されにゆこう
歯の無いきみの笑い顔を抱っこして
きみを産んだ病院へゆこう

晴れて乾い ....
マホガニーは薄明で 薄命の夜を始める
教室の窓から身を乗り出していたら
まさにいま
夢中で描いている赤い紫のペイズリーが
絨毯が
迎えに来ないかしら、と よぎる
若者よりもはしゃぐ現在進行 ....
夕刻よ もっと光をください
冬の息づかいが とても つめたい
雲のミルフィーユ レースの裾に
遠い日のさくらのような
幻想の海が広がっている

雲の山 空の海ね
幼い頬のかけらが 溶かさ ....
夜明け前 ぼくらの宇宙(そら)では
屋根ではじけた流星が うるおいの濃紺に飛び散るんだ
プレアデスの向こう 溢れ出てくる流星を
君の瞳に刺しゅうして
対になった星の光が ちかちか燃えるのを見て ....
最後の煙草は 空に昇るまでおあずけだった
何千本と 香の煙を浴びてから

あなたをおじいちゃんと呼んだことはなくて
先生と
呼んでいた
社長で先生
おなかが出てる
父さんと釣りをしなが ....
誰もいない
誰もいない
病室 間接照明 真夜中の廊下 スリッポンの平たい音
刻まれるあなたの心音
怖くない
怖くない
携帯には父親からの祈りが届いて
振り幅が広くなると 私は息を吐いて
 ....
あなたはいつも少しかなしい
春の肌の女の子 薄桃色の乳首のように
きれい
「あなたはいつも少しかなしい」
ハッカのにおい
耳たぶをふるわせた「かなしい」を思い出して
まるくなる
私は ....
北国生まれにとって 凍えない秋は不思議
河の彼方 海を思う日常に 溶け込めたような午後


真理
真夏に連れてった海のこと覚えてる?
君とならあのジャンボ機にも
漕いでって 飛んでって  ....
さようなら 悲しい人
そのアクセスは朝未きまで途切れなく
届かない女を探り続ける
あの秋
重い鎖は切られることなく ウインクひとつでとけた
遅い朝 手を伸ばしても
溜め息ですら拾えない
 ....
秋はいいよね
ストーブは焚けない季節だから
おふとんの中
冬のおふとんはあったかすぎるから
パジャマのボタンを外して
背中に手を伸ばし合う
私の胸の脂肪は つぶれて横にはみ出る
私は君の ....
洋裁系専門学校に入学し札幌に住み始めて1年、大学生の友人に行きつけの珈琲屋があるから一緒に行こうと誘われた。思えばあれが珈琲屋マジックにかかった記念すべき日だ。

授業を早く抜け出しては珈琲、バイ ....
秋の夕暮れを過ぎて
白熱灯のオレンジたちが 時間にいかりをおろした
らせんにおちてゆく綿毛の夜
雑踏の生きたたましいを ちょっとぬすんで
二の腕や首すじを やわらかくかすめる
ワトソン紙にに ....
呼んでる
わたしは はんぶんだけの さいぼうだけれど
くらくて とくんとうごく かべのへや
まってる

淋しいと 引っ込むみたい
雨が浸みると 歩くのいやいやって するみたい
満ち潮
 ....
朝一番の教習所
仄青い雨に濡れ 人々が集う
配車係のカウンターには 秋の虫
鳴いている鈴が耳打ちをする
“ぼくらはさようならの虫なのさ”
明日には居ない私の影
古びた床にすり込む 秋の靴
 ....
たちばなまこと(111)
タイトル カテゴリ Point 日付
おかえり自由詩24*08/9/9 0:19
秋、一番自由詩18*08/8/31 21:44
home 2自由詩13*08/8/24 21:09
タイダイのおじさん自由詩22*08/7/12 13:03
みかん(未完)自由詩30*08/6/17 19:13
エメラルド自由詩9*08/4/9 0:44
うさぎ自由詩11*08/3/28 16:36
さくら さよら さら さら自由詩37*08/3/24 13:42
夕刻・聖蹟桜ヶ丘自由詩8*07/12/14 17:32
みずのうた自由詩8*07/12/7 14:53
color’s自由詩7*07/12/1 7:06
Wednesday(In the Milky Way of ...自由詩17*07/11/22 23:28
入院自由詩32*07/11/18 9:48
午前4時・真珠自由詩19*07/6/27 7:19
青いランドセル自由詩17*07/6/10 11:44
あじさい自由詩9*07/6/2 1:16
内科 小児科 産婦人科自由詩6*06/12/8 21:09
レインミュージックはマホガニーの薄明で 自由詩8*06/12/3 9:45
afterglow自由詩15*06/11/19 13:06
流星を刺しゅうして自由詩9*06/10/29 9:55
先生のおなか自由詩7*06/8/1 18:42
Birthday自由詩7*06/7/31 21:02
あなたはいつも少しかなしい自由詩18*06/5/2 10:53
真理のゆめ自由詩306/1/24 8:19
悲しい人自由詩505/10/31 12:53
おふとんのとり自由詩605/10/24 21:48
珈琲屋のはなし散文(批評 ...3*05/10/24 14:01
誰でもどこでもない君自由詩5*05/10/1 7:51
満ち潮自由詩7*05/9/20 20:01
さよう、なら。の虫自由詩4*05/9/19 11:09

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