夏が終わるね
少年が
風鈴の音を撒きながら走り抜けた
この胸元ではまだ 汗のビーズが貼り付いていて
蝉しぐれが落ちてくる 私たちの地上では
色付きの花々が 太陽を仰いでいるけれど
ゆきの花 ....
熱帯夜 真夜中未満 体内温度をくぐって
ヒーローなんかじゃない不器用な男が
芯部でうごめくスイッチに アクセスしようとする

疑心暗鬼の力で やさしいふりで触れても
理性の不誠実さを あらわ ....
初めてのつゆ入りを見上げていた日
雲を貫くプリズムに 神様の声をきいた
試練のときはいつか来るけれど
今日の良き日のあじさいの 透明な露を忘れないで


孔雀色の眼差しが十字架を射止めると ....
体育の後の教室
濡れ髪のフローラルを手でおおいながら
つかのまの夏に飛び込んだ
空の青は私の青を許してくれる青で
急アングルにめまいながら
ただ 何かを得たいと思っていた


胸が腫れ ....
こんにちは
頼りのない足取りの青年が囁く
こんにちは
つぼみのままの桔梗のようなからだが
治療病棟の個室に吸いこまれる
「若松さん。」
人の傷跡が残る廊下に ただよう消毒液のにおい
若松 ....
今朝
彼女はブランマンジェ
ねぼけまなこ ねがえりのような相づち
ひばりの上昇にのっかって ざわついている私の毛穴
素肌は 夏の掛けぶとんにくるまれた甘味
横たわる小柄な肢体は きっと
や ....
平日のストレンジャーは 知ったかぶりでを街を読む
河岸を撫で上げて 風は
わかい緑のたちこめる
捕まって あおられて 木漏れ日の空を仰ぐ
油断だらけの表皮に 羽は
微動の小虫 無数の交差 半 ....
もうすぐ船が発ちます
朝までには雨の都に着きます
深い夜にさしかかる船室で
二分の一の足取りの 旅の者は寝床に誘われ
誰も彼ものまぶたが重く まどろんだ呼吸が漂っています

共犯者のあなた ....
昼下がり
あなたが汗を降らせて
春の風
ひよどりが笑う
日が出ているのに くらやみ祭り?
そう

日を見送ったまち
どぉぉん…
真っ白い麻のシャツ  灼けている手の甲
見つめても  ....
<早朝のめまい>
無数の針が 雪の地平線に整列してゆく
朝日に小刻みに照らされて
瀬戸際の美しさを
告げている
銀色の予感はめまいの中で
怖れながら起立する
人肌の息を含んで 撚りをかけ ....
きれいだよ
声は
寒空を切り裂いて
一万カラットの流星を産みおとした
ありがとう


たましいとからだは別のもの
暴言を
内臓にしまい続けてから
もう


泣きぬれて びしょ ....
部屋の明かりを閉じると
雪のシャワーが見える
毎日見下ろす家々の存在が
ゆるやかに散りゆくのを追っている
濃紺に不透明水彩をのせた
薄桃と薄紫
小さな明かりの秘やかなおしゃべり
シャワー ....
にゃーん、と発情期の猫のようになるときがある。
しかし性的つながりだけが好きなわけではない。

私は思春期の頃から惚れっぽい。
惚れられると惚れる。
本能だったり、思考する脳だったりが愛を渇 ....
2月になりはしても 北方の冬は
大雪の屋根に腰掛けたまま
目を細めて今日も 微笑んでいる
南風の萌黄色のシフォンスカートを
夜明けごといたずらに ほつれさせながら

生まれた街では凍える ....
地下鉄の吊革に左手をかけて
全てをあずけていた
座席の学生服の三人組が目を泳がせていた
真ん中が左斜め前の女を指さす
「これ?!」
右の学生がコントのように真ん中の頭を手の平ではたく
「声 ....
からだにはいつも火の精が住んでいて
受け入れる場所で炎を上げる
紅をさしたような君の唇からは
水の精がそっと頬を濡らす

「知っていますか、
 とってもやわらかいんだ。」

強く抱かれ ....
結晶の白いシャワー
恩寵がふりむかせた光のはしご
大気圏からの使いは 一冬の住みかをさがす

意図しない早起きの終週の締めくくりには
水分を奪われてゆく洗い髪のはぐれ糸が
はんなりの追い風 ....
私は大丈夫をいくつ届けたのだろう

透明な彼女は
今にも白い光の中 消えゆきそうだったのだ
”四六時中”は彼女のそばにあるけれど
重い闇だったと泣いていた
透明な手足をうんと伸ばして 世界 ....
定刻の十分前に飛び出した
マンションの駐車場では雨の余韻
生まれたての水たまりには波紋
また 小雨
浸るよりも先に 走らなくてはいけない

休み 休み 土曜は休み
流れる空気の弾力さえも ....
夜は
雫を運ぶ
こぼれ落ちる
白い小粒
背中から墜ちそうになった
平行ではいられない
夜は

漆黒の中に有って
そそる姿
寄り道ごっこがもうすぐ終わる

無数の冷たい針が
多 ....
100円の森であなたを捜す
あなたは私の5cm上で
森と遊ぶ

母さん
私は5歳です
あなたを見つけられなくて
今にも泣き出しそうなんです
今は大人の身体に居るから
平気なふりで立っ ....
たちばなまこと(111)
タイトル カテゴリ Point 日付
ゆきの花自由詩13*05/8/29 9:12
芯実自由詩5*05/8/6 21:11
日陰のふたり自由詩5*05/8/5 15:34
デザイナー自由詩9*05/7/4 8:16
こんにちは 若松さん自由詩11*05/6/19 8:01
朝のブランマンジェ自由詩2*05/6/13 22:23
緑のヌード自由詩4*05/5/22 22:06
約束自由詩405/5/15 21:11
くらやみ祭り自由詩205/5/11 8:38
予感 その2自由詩6*05/4/5 16:17
青のせりふ自由詩205/4/3 2:50
美笛峠自由詩205/4/2 12:43
したい訳散文(批評 ...3*05/3/30 22:57
青灰の夕暮れ自由詩9*05/2/4 0:32
自意識過剰にもなるだろう未詩・独白505/1/4 11:10
想うからだ自由詩705/1/4 11:00
越冬自由詩304/12/21 0:38
透明な彼女自由詩7*04/11/30 22:05
土曜日の上気自由詩604/11/28 21:06
プラチナ・イン・フォール自由詩704/11/26 0:40
母は100円の森で自由詩15*04/11/25 0:39

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