鼻がピーピーとうるさいので息を止めて一回死んでみた。
今度は心の声が生き返りたいとうるさいので仕方なく蘇った。
夢中になれる何か一つ、見つかるといいね。
どん兵衛にお湯を注いだことも忘れる程のね。
背広を脱いだ父の背中は思いのほか小さく薄かった。
広大な海ではなく、本当は庭先の水溜まりほどだった。
僕の走馬灯をポニーテールの君は駆けるだろう。
その美しいしっぽを揺らし、君は駆け抜けるだろう。
両祖父とも僕の初恋を待たずして逝ってしまった。
父とは出来ない色んな話、3人でしてみたかったなぁ。
昔からコッペパン食べるとコペンハーゲン行きたくなる。
小4の秋、昼休みに裏門から脱走したのも、きっとそのせい。
異国のバーバーで髭を剃ってもらうのが夢です。
僕の髭はその為に生まれ、その日を夢見て生え揃う。
Zippoで点けてくれた誕生日ケーキの火。
あの人の寿命が縮むなか、僕は健やかに成長した。
僕のため息、偏西風にのって、飛んでいく。
憂鬱な窒素のかたまり、いとも簡単に渡米する。
回転扉に入り損ねて、社会人になり損ねた。
せっかく書いた履歴書、せっかく晴れ渡った秋空。
人差し指の指紋、混み合う等圧線、嵐の予感。
絶対に押しちゃいけないスイッチ、押してしまえ。
鼻すすりながら、屋台ラーメン、身にしみる。
店主のおっちゃんの養子になりたい程、寒い夜。
最後の一粒を吸収する前に切られる臍の緒。
人間がみんな不完全なのは、そのせいかもね。
雪平鍋に鍛金職人の金づちの跡、沢山。
雪平鍋という雪原に彼らの足跡、沢山。
秋の山中に巨大なプレーンオムレツあらわる。
黄金のイチョウの木々、楓はケチャップソースなり。
こんな下らない世界にて、僕のお腹は下ります。
全人類が空へ上った後も、僕のお腹だけは下ります。
指の骨をポキッと鳴らし、さぁ僕は男になるぞ!
左の小指だけ鳴らなかったんで、やっぱりやめます!
知らないうちに僕も大人になっていた。
絵柄を見ずにコアラのマーチを食べていた。
鼻が低いせいで眼鏡がずれる?
眼鏡がずれるために鼻が低い!
グラウンドの白線、きっと来世は飛行機雲。
白線引いた体育の先生、きっと来世はパイロット。
どうしてそんなに一番になりたいの?
映画館の一番前の席は、首が痛くなるだけだよ。
大盛りのカツ丼、君と半分こ。
食べ終えたら、お互い、半分ずつ自供する。
喉に喉仏が詰まって青年は言葉に詰まる。
そんな鬱屈した季節にて青年は心の詩人となる。
食パンの耳に独り言を聞かれてしまった。
どうしよう、はずかしい、あああー、ぱくっ。
水掻きは退化していった。
恋人繋ぎがしやすいように。
海馬という大海原を泳ぐイルカの群れ。
彼らが空へ跳ねる度、僕は自由を思い出す。
買った古本に挟まっていた褪せたレシート。
97―8―3、1:28PM、遠い夏のかけら。
君のあくびを僕にうつしてください。
その可愛いウイルスに感染したいのです。
夜明けに除光液の匂い、どこからか。
夜がせっせと濃紺のマニキュア落としてる。
三日月のブランコから靴飛ばす。
履き潰したオールスター、流れ星となれ。
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