ああ なんていい風だろう
みんみん蝉が緑の木立に鳴いて
大きな鳥が素早く飛び立ち
鬱々とした気分が
涼やかに洗い落とされていく
この高曇りの八月十一日
[目を閉じれば未だ
橙 ....
響きの粒子揺れている
暗がりから明るみへ
ゆらゆら粒子の揺れに揺れ
生きる糧としての音楽は
わたしの孤立を心の穴を
響く旋律振動で充たし
新たな力を注ぎ込む
そうしてわたしは立ち上が ....
暗闇のなか
玉ねぎを炒める香が
道向こうの団地から
風に乗ってやって来る
瞬間、
懐かしい顔顔顔 浮かんで
自然と涙が溢れ流れる
〈温ったかいな温ったかいな〉
僕は公園のベンチに座りな ....
……キャッチ出来ない
近づき逃れ 逃れ接近
既にそれを背負わされ
足場は崩れ消滅した
青くぽっぽと熱を吐く、
大地の割れて真っ二つ
天は激しく咆哮し、
蒼くぼぉぼぉ燃え盛る
幻想を ....
不均衡の渦 巻き
ひたすら待つ
平静を保ち
選び取らず
(眩む陽射しに
呑み込まれ
倒れたまま
途方に暮れ)
黄白く青に 染まる己
....
さざめいている
ざわめいている
どよめいている
私の頭のなかで
何かが、
輝いている
光っている
凍っている
巨大な明滅凝視、、
近づいている
波打っている
....
宙に 浮かんだまま 漂っている
意識
が
ふらふら
ふわふわ
流れ続ける時のなか
痛みながら呻きながら
肉と繋がり
引き留められ
わたしの在り処を
探してい ....
死んだらどうなるのだろうと
私は考えていたが
わたしは私の体を見ていたから
既に死んでいたわけで
なのに考えているのだから
生きているのか
と思ったが
ひょっとして
思うことは
生き ....
燃えている
寝床でノートを一枚破り
くしゃくしゃに丸め宙に投げたら
燃えている
めらめら青白く
宙に浮いたまま
ぼんやり見上げていると
大きくなったり小さくなったりしなが ....
落ちてゆく
ゆっくりひたすら落ちてゆく
何物もない何か在る
青い天蓋の底の底
炸裂する世界に
裏返る在るへ
落ちてゆく落ちてゆく
ひたすらゆっくり遡りながら
旋律響きの奥にすむ
....
道端で色褪せていく
この盛夏に色褪せていく紫陽花よ
アゲハ蝶がその繊細な触角を動かし
咲き誇った花から花へと優雅に飛び廻る時
あの青々と濡れ光っていたおまえは
早くも凋落の一途を辿っている
....
ああ まただ!
ものというもの浮き上がる
異なる位置占め、それぞれに
明確な輪郭保ち、しっかりと
在る在る、いつしか重なり合い
在る在る、各々の色は保たれ
(己 も また、
在る ....
光に
射抜かれた
夢と現の間で
光が
私を射抜いた
夜が明け始めて
キ
ヅ
ク
ト
私は光そのものとなり
白く発光する薄いプレートとなり
浮 ....
雨が降る
紫陽花濡らし
雨が降る
時は刻々と移り進み
季節は淡々と入れ代わり
命は生まれ育ち輝き枯れて
人は何かに導かれつつ自らを更新し
雨が降る
紫陽花青々と
雨が降る
から だった
前進しようと思えば未だできたが
から だった
寝ても覚めても
あんまりカラカラと鳴るばかりで
もう嫌気がさしちまった
(なのに夢の空はまた
淡い淡い紅に染まり
何 ....
明日は長男の誕生日だ
生きていれば十一歳だ
たぶん生きていると思うが
確かなことは言えない
離婚した妻が家族ごと夜逃げしたのは四年半程前のことだった
離婚するに当たって当時高二だった ....
静けさ
ちょこんと
夜底に
座っていた
剥き出しの界、像なき界
それは決して混沌ではなく
何かを伝え何かを造形している
響き木霊し無限の力の生動する
もう一つの界、 ....
外の日を入れよ、
外の日を
目を、眼を
ひたすら瞑り
泣きたい時はただ泣けばいい
自分で自分を哀れむことは大切なこと
深く哀れみ自ずと涙が流れるとき
涙の温かみは己の命の熱の ....
生きていくことの
ぬかるみにはまったの?
それで そこから
君の繊細な驚きに充ちた
生き生きとした漆黒の瞳は
何処まで持ち堪たえられるかな?
欺瞞に充ちたこの社会で
只忙しく生命が消 ....
貴女は秋のあの日、
夜明け前の碧い天蓋に
独り揺らめき身を投げた
硬く冷たい肉体を現に残し
何処までも独り遠く逃れ去り
貴女という魂は私の中で生き
私という魂は貴女の中で生き
何度と ....
流出する
わたしが
あなたの中に
あなたの温かな肉に
包み込まれ開放され
蕩けていく溶けていき
突き抜ける意識の脱落こそ
私という生きた魂の露呈
[響き澄んで 、 澄んで響き]
....
曇り空を見ていた
コンビニのベンチで
缶コーヒーを飲みながら
部屋に篭っていると
自らの身体の痛みに
意識が集中してしまうから
近所のコンビニのベンチで
ずっと空を見て座っていた ....
西の空が淡い紅に染まり
旺盛に繁茂した用水路沿いの草木たち
一息尽く頃
私は鉛の我が身をベットに横たえ
もういいだろう?もういいだろう?
朦朧とそう空白に問い掛ける
応えはもちろんない ....
揺らめいている
天井隅の空間が
静けさに包まれ
揺らめいている
揺らめきは
静けさを呑み
三億年前の生き物の
真っ赤な蠕動を今の今
一瞬見事に開いたり
見たこともない
幾何学模 ....
舞う舞うイマージュ
舞い散るイマージュ
太陽さんさん、開く古代
巨大な赤貝 白岩畳に蠕動する
一瞬の遡行、一気に酸化
人の意識に刻まれて
時空の光景は消失し
舞う舞うイマージ ....
肉を蝕ばんでいく
命を物へと粉砕していく
サクサクシャリシャリ響き
その処刑機械の不断の作動が
私から生き続ける気力を奪い取る
もう疲れたよ休ませてくれよ
夜底に転がる一つの自我が ....
像の消失した世界、
ふとした瞬間に立ち上がる
全て失い弱り果てている時に
神経尖んがり一杯一杯の時に
無視しても無駄だゾウ
ソレは混沌を超えた
異様な響き力動の界
剥き身の形象世 ....
肉の激痛、全身を貫くなか
魂の認識、一層鮮明に
意識保ち、いずれ帰郷する
フルサトは
星達の天から滾滾と
響きとなり湧出する
影絵となり弾む旋律たちの反復に
貫く主音の自在に伸び沈み躍る
ー音色は何処までも深く柔らかく
かつて己の属していた
界の掬われ ....
遠くで春雷鳴っている
遠い遠い国からの
流出する熱、光
此処は既に
隙間だらけのあばら家だ
板張りの破れ目から
熱の光の炸裂する
俺は戦慄錯乱、
混沌渦!混沌渦!
呑まれのた ....
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